Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ピアノの発表会

2007-03-10 20:13:42 | ひとから学ぶ
 以前「ラ・カンパネラ」について触れた。息子が夏にピアノの発表会で演奏する曲だった。ところが、ピアノ教室の先生の身内に不幸があったりして、その発表会が延期され、半年あまり遅くなった今日、その発表会があった。プログラムを見ると息子の発表曲が印刷されている。しかし、そこに息子の姿はない。10年あまりお世話になっている教室だけに、今での発表会でさまざまに思いを育ませてくれた。だから、たとえそこに息子がいなくとも、みんなの発表の姿を見たいと思って足を運んだ。

 数年前までは、そこそこの生徒さんが年代ごとまんべんなくいて、賑わいがあった。低学年、いわゆる初歩の生徒から中学生のベテランまで、除所にその技術が上がることがわかるような発表順で、「いつかはあのお姉さんのように」というほど見事なピアノを弾く姿を見ながら、生徒も親も思いを育んだものである。しかし、ピアノを習う子どもたちが減少しているという印象は否めず、生徒の減少はなんとなくではあるが発表会からもわかる。そんななかでも、新しい子どもたちが参加してくることは救いではあるのだが、ベテランと言われる小学生高学年や中学生の姿は少ない。だからかつてのような「いつかはあのお姉さんのように」と思いを育むほどの発表会にはほど遠くなっている印象があって、残念な部分もある。

 息子は先々週末に自然気胸という病気にかかって病院に入院してしまった。4日間の入院であったが、脇から肺に向けてチューブを入れていたということで、医者からピアノは禁止された。せっかく半年も待った発表会であったのに、一応これが締めとなる発表会に参加できなかったわけだ。教室では小学6年生を終えると辞める生徒が何人かいる。そしてさらに中学を終えるとおおかたの生徒はこれで卒業である。だから中学最後となった今回の発表会は、息子にとってはいままでのひとつの区切りとなるものだった。ひところは練習するのも嫌で、なかなか苦労したものだが、今は趣味として続ける意欲はあるようだ。そこそこ弾けるようになったから、自ら自負のようなものもあるのだろう。高校へ進んでも少しずつ続けるという。だから今後の発表会にも趣味として参加してくれるだろう。勉強の塾ほどの講習料ではない。だから趣味でやっていくには、この程度で十分だ。そろそろいわゆる世間の歌にも興味を持っている。そんな時に、自分で演奏できる楽しみを生かせてくれるにちがいない。いまでは流行らなくなったピアノかも知れないが、趣味でよいのだ。おかげで息子は音楽で5をもらえた。趣味がかろうじて進学も手助けをしてくれたのだから、それでいいのだ。



 発表会は駒ヶ根高原美術館で行なわれた。故池田満寿夫の作品が主な展示品として知られている美術館である。発表後外に出ると、逆光の中に中央アルプスの宝剣岳が浮かんでいた。
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