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Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

自治会加入費

2007-03-13 08:04:22 | ひとから学ぶ
 これもまた知人が扱っている問題であるが、「自治会加入に町が補助、加入促進につながるか?」というものである。加入費が高くて自治会に参加しない、という意識は確かにあるかもしれないが、その地域でなじんで暮らしていくという意識とはまた別の問題である。なぜそう思うかといえば、その地域固有の考え方というものがあるからだ。それに対して、このごろ自治体が自治会への加入を進めようとしている背景には、住民が自治体とどうかかわっていくかというところに密接な関係があるからだ。しかし、裏を返せば、自治体が住民とどう密接な関係を持って行くということであって、それを自治会に担わせようとしているところに問題の原点がある。本来は、地域の集団と自治体とは関係のないものであったのだろう。ところが、自治体が既存組織である自治会というものと密接になることで住民自治がやりやすいということを意識したことによって、自治体はより自治組織へ依存しようとしているような気もするのだ。わたしの住む地域では、現段階では自治体のこうした動きに批判的なことを言う人はいないが、はたして行政を行なう上で、自治組織に依存する方法が正しいのかどうかについては、疑問もある。ただ、人口が減り、自治体が財政難のなかで、さらには生活の上で起きているさまざまな問題を解決していくのに、どうしてもその組織を利用せざるを得ないという現実もある。だからあえて加入促進を推し進めることを批判するものではないが、こうした自治会への参加を行政が推し進めようという背景に納得のいかない部分もある。

 加入費が高い安いにかかわらず、地域になじもうとする以上は、参加せざるを得ないというのが、従来の「地域へ入る」という考えであったと思う。もちろんわたしもそういう意識で今の暮らしを築いてきた。それでも仕事と暮らしを両立させていくということは、地域内で仕事をしていないとどうしても難しい面はある。そういう現実そのものが、地域にとって「それはあなたの勝手」という捉え方をされても仕方のないことであって、まず地域で今まで築かれてきた信頼関係に、よそ者が入ることの試練だとわたしは思うのだ。次世代には正規な仲間入りができればよいが、果たして子どもたちがそうしたこの地域との関係を築いていくかはわからないことだ。

 古い地域の中へ飛び込んだ人が、従来の人たちとなんら変わらない暮らしをしていくのは簡単ではない。同じように発言すれば「なんだあいつは」と言われて当然である。そうした考え方は絶対ぬぐえないものであって、それを超越して人々を受け入れてくれるような地域は、壊滅的な集落か、あるいは新興の人たちが多く住む地域しかないはずだ。それほど人はそれぞれ思うものを持っていて当然なのだ。そういう意味では、加入費を安くして入りやすく、という考えは、結論的に良策とは思えないわけだ。確かに「ここは高いからこっちにしよう」なんていう細かい選択はあるかもしれないが、それ以上にその地域が住みやすいか住み難いかという判断の方が大きい。あくまでも自治体が、利用しやすい、あるいは組みやすしという気持ちで自治会加入を求めるのは、筋違いのようにも思えるわけだ。入ってもその後のさまざまな問題もある。ただ「それだけ(加入促進)」ではないことを認識しなくてはならない。

 わたしのには、この1年に3軒の新規加入者があった。わたしはこの地に住み始めて10年近くなるが、わたし以降新規加入された方は、この1年をのぞけば1軒のみだった。そのことを思うとこの1年の新規加入者の数は異常なほどの数字だが、わたしの加入したときと同じ8万円という加入費を払った。確かに高い金額ではある。しかし、金額だけの解決で地域でやっていけるとは思っていない。違うだろうか。 もっといえば、入らないと住みにくいという意識が薄れてきたからこそ、加入率が下がるのだ。それは住民組織が本当のところで、組織として生きていないことを証明しているようにも思う。住民がすでに無理強いして加入しなくてもいいじゃないか、と思っている節がかなりあるように思う。
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