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トレントの日記

コバケンの第九

2008-12-18 23:59:59 | *Music
小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会が池袋の東京芸術劇場で開かれた。

メインディッシュはもちろん、ベートーヴェン 交響曲第九番 『合唱』

コバケンの指揮は噂通りというべきか、“熱い” ものだった。あれだけ声を出し、体を揺すってタクトを振る指揮者を初めて見た。

音楽の内容はというと、やはりその熱さが先行してか、一言で言うと線の太い表現だったように思う。

この楽曲で最も大切な第一楽章は、もう少しテンポを緩めて掘り深く、心臓をえぐり取るような表現が欲しかったし、第三楽章はもっと神がかり的な、神々しい雰囲気があって良かった。

まぁ、この辺はオケの実力との兼ね合いだが、もう少し丁寧な、繊細かつなめらかな描写があっても良かったように思う。いかにも荒削りな場面が多くあった。

しかし、第四楽章になるとそれまでの楽章における未完成感は不思議と鳴りを潜め、まるで水を得た魚のように、抑えるべきは抑え、歌わせるところは歌わせ、飛ばすべきは思い切り飛ばす、というメリハリの効いた明快なものだった。ゴーダのスピードがぐんぐん上昇して行くさまもなかなか良かった。

とりわけ感激したのは、ゴーダ最終部で小林が客席上方を指差し、「このまま神の世界に突入するんだぞ!」 とオケに指示していた一幕。

そうそうその通り!この曲の最後、そしてその続きはもう、神のみぞ知る世界なのだ。

オケもそれに応えるようにぐんぐんスピードを増し、最後は圧倒的な音響で幕を閉じた。

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最後にやはり浮き彫りになるのは、 『第九』 はどんな演奏を聴いても結局は感激・感動してしまう、希代の名曲であるという事実。

ベートーヴェンの精神世界にまた一歩、近付けたような感慨に浸る。

さぁ、明日のは新日本フィルハーモニー交響楽団の 『第九』 @サントリーホールだ!

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