嶽南亭主人 ディベート心得帳

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【ディベート甲子園2010】安楽死論題(7) 戸籍上の性別変更を「法的に認める」事例を考える

2010-07-22 22:50:52 | ディベート
○○を「法的に認める」ということについて、参考になる事例をお示ししたいと思う。

【事例研究】戸籍上の性別変更をめぐる制度変更

●制度改正前の”現状”=内因性および重要性

・性同一性障害とは、心と体の性別が一致せず、そのため身体の性別への違和感を訴える症状に対する診断名である。

・この概念が日本で社会的に認知されたのは、それほど昔のことではなく、日本精神神経学会が性同一性障害を医学的に治療対象にすることを決めたのは、1997年のこと。

・当事者には、精神的苦痛に加えて、外見と公的証明書上の性別記載が食い違うことから、差別や選挙の際の本人確認時のトラブル等、社会生活上の不都合が生じた。

・当事者の団体は、まず裁判所に訴えて、戸籍法に基づく戸籍訂正許可を申し立てた。しかし、条文の拡大解釈による措置は認められず、申し立てはいずれも却下。裁判所は「立法により解決されるべきである」とした。

●制度改正の内容=プラン

・この問題に対応する法改正は、2003年、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」によってなされた。同特例法は、2004年7月16日に施行された。初の適用事例は、2004年7月28日の那覇家庭裁判所による20代の戸籍上男性を女性に変更する審判であった、とのことである。

・同特例法では、専門的な知識を有する医師2名以上によって「性同一性障害」の診断を受けている者が、次のような要件を満たすとき、家庭裁判所の審判により性別変更が認められる、とされた。

 1.20歳以上であること
 2.現に婚姻をしていないこと
 3. 現に未成年の子がいないこと
 4.性別適合手術を受けていること(※この点、法文上は、2つの別の要件として記載される)。

・ちなみに、「現に未成年の子供がいないこと」という要件については、「そのような子供が死ねば、許可するということを意味しており、冷酷にすぎる」として、要件緩和を求める声が出てきている。

***

さて、お立ち会いのディベーター諸君。

この事例を、積極的安楽死になぞらえたら、どんなことが議論し得るだろうか? 

後は、お任せする。

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