澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

白井聡「国体論」「永続敗戦論」を読んでみた

2018年09月16日 04時06分19秒 | 

 暑い夏がようやく終わり、「読書の秋」がきたと言うのに、なかなかその気分になれない。

 「国体論 菊と星条旗」(白井聡著 集英社 2018年4月)が話題になっているので、早速買ってみたが、ちょっと読んだだけで投げ出していた。八月の初め、「プライムニュース」(BSフジ)に出演した白井聡を見て、「お坊ちゃまサヨク」だなあと感じた。お若いのに、旧岩波知識人みたいな物言いが多かったからだ。早大総長のご子息だとかで、早大政経→一橋大大学院社会学研究科博士課程修了(社会思想史)という、典型的なコース。学歴ロンダリングだなどとは言わないが、反東大、反権力という一橋大の「学風」(ただし社会学部・社会学研究科のみ)をしっかりと身に着けた人だ。京都精華大学専任講師という、現在の職も、典型的な「進歩的文化人」のポストだろう。

 「国体論」、「永続敗戦論~戦後日本の核心」(2013年 太田出版)、さらには「偽りの戦後日本」(2015年 角川書店 カレン・ヴァン・ウォフレンとの共著)で繰り返されるのは、戦後日本はずっと米国の属国であり、日本の「国体」は戦前の「菊=天皇」から「星条旗=米国」に変換されたという主張である。属国論は、左右両翼から手を変え品を変え出されてきた主張だ。「国体」変換論については、菊から星条旗に「国体」を切り替えた張本人は誰なのか明示されていない。 
 
 「国体論」でも取り上げられている「昭和天皇の戦後日本~《憲法・安保体制》にいたる道」(豊下楢彦著 岩波書店2015年)について、私はすでに感想を書いたことがある。その中で、「昭和天皇は、自らの戦争責任を免れるため、本書のサブタイトルでもある《憲法・安保体制》を受け入れ、米国への従属、属国化を積極的にすすめた。戦争責任を免れた後においても、共産主義勢力による「革命」を恐れ、自らの保身のために、米国にへつらい続けた」と記した。
 著者は何度もこの本を引用しているので、もしかしたら、上記と同様の結論を得ているのかも知れない。すなわち、昭和天皇こそが戦後日本を米国の属国に変換させた張本人なのだ、と。

 トランプ大統領の登場によって、「属国論」にも変化が生まれた。宗主国である米国が、未来永劫に渡って、日本を”護って”くれる保障などありえない。そのことをトランプは教えてくれている。

 著者の経歴や物言いなどは、正直好きではないが、対米従属のこの異常さを考える意味で、面白い本だった。




 
 
 

 



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