澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「松岡洋右と日米開戦」「東亜全局の動揺」を読む

2020年11月28日 12時18分18秒 | 読書

 「東亜全局の動揺~我が国是と日支露の関係・満蒙の現状」(松岡洋右著 経営科学出版)及び「松岡洋右と日米開戦」(服部聡 著 吉川弘文館 2020年)を読む。


 

 「東亜全局の動揺」は松岡洋右の自著で、昭和6年に発刊されたが、戦後GHQによって「焚書」扱いにされた。最近になってネット扱いの書籍として復刻された。内容は、次のとおり。

第一章 序論 外交とは何ぞや 国際政局概観
第二章 対露外交 ソヴェット・ロシヤの一般対外関係 日露国      
    交回復の効果
第三章 対支外交 中華民国の現状 蒋介石、王正廷の放言
第四章 満蒙問題 展望 鉄道交渉 鮮農の圧迫 中村大尉事件
    田中内閣の足跡
第五章 世界不安の直視 満蒙に対する認識と政策の基 東亜の
    危局と国民の覚悟

 一方、服部聡「松岡洋右と日米開戦」は、松岡が外相に就任するまでの日本の政治外交について詳しく触れている。松岡の自著が言わば「自己主張」あるいは「自己弁護」の書であるのに対し、松岡の置かれた立場を客観的に叙述している。

 現代はグローバリズムの時代だが、その反動として外国人労働者に対する拒絶や保護貿易主義の台頭が見られる。「大衆の不満や閉塞感が高まり、無党派層が増大する一方でポピュリズム(大衆迎合主義)が発生し、強硬論や、思いつき、出任せまがいの無責任な政策を吐く政党や政治指導者が、世界各地で支持を集めるようになっている」と服部は記し、それに1920年代30年代との類似性を認める。「松岡が活躍した時代は、大衆の不満がポピュリズムと民族主義のイデオロギーによって集約され、国歌主義の下で、軍事力による対外進出という形で不満のはけ口が求められたのである。」

 日米開戦の原因をつくってしまった松岡洋右。ひとりのポピュリスト政治家が、一国を奈落の底に突き落としてしまう。
 現代の松岡洋右は誰なのかと考えたら、やはり橋下徹ではないかと思い至った。政治家に戻ってほしくはない人か。 

 

                   

 

 



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