貧困の原因、支援方法は?
2019年2月25日 2023年10月3日 子ども(貧困) 日本
近年の日本では、貧困に悩まされている子どもの数が多く問題となっています。政府は国をあげて対策を行っていますが、未だ問題の解決までは至っていません。
そこで今回は、「子どもの貧困問題」の実態や原因、そして私たちができる支援方法について紹介します。
子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは
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目次
日本の子どもの貧困とは?
貧困には絶対的貧困と相対的貧困の2種類あります。
絶対的貧困とは、着るものがない、食べるものがない、住む場所がないといった、衣・食・住において充実感を欠き、人間として最低限の生活を営むことができない状態のことを言います。
対して相対的貧困とは、国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の人々のことを指します。
つまり、金銭的に困っているのは相対的貧困、生活全てにおいて低水準で、貧しい思いをしているのが絶対的貧困ということです。
また、相対的貧困には前述したような目安となる基準がありますが、絶対的貧困は国や機関によって定義が様々です。
こういった違いがあるため貧困と言われてもどちらの貧困かで意味合いが大きく異なります。
日本の相対的貧困も子どもの生活や将来に大きな影響を与えます。また、経済の損失にもつながる重要な問題となっているため解決に向けた対策が必要です。
貧困には絶対的貧困と相対的貧困の2種類がある
絶対的貧困とは人間として最低限の生活を営むことができない状態のこと
相対的貧困とは国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の人々のこと
日本における子どもの貧困の現状は?
貧困の定義が分かったところで貧困家庭の子どもの現状について見ていきます。
厚生労働省が発表した「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、日本の子どもの貧困率は11.6%となっています。
このことからも日本の貧困問題は深刻であることがわかります。
また、貧困に苦しむ家庭の多くがひとり親世帯であることも大きな問題です。
ひとり親の場合、家事と仕事、育児を一人で行わなければなりません。家事や育児の比重が高いほど、生活がより苦しいものとなります。
金銭的な問題だけでなく日々の疲労やストレスが蓄積されていくと身体的・精神的な問題にもつながりかねません。
ひとり親世帯は子どもにも悪影響が出る可能性もあります。例えば、親はお金を稼がなくてはいけないため深夜まで仕事をし、家に帰れないというケースです。
そうなった場合、子どもは1人で過ごさなくてはいけなくなり、コミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。コミュニケーションは成長過程において重要な要素です。疎かになってしまうと子どもが大人になった時に苦労します。
また、一人では勉強でわからないことがあっても聞くことができず、宿題をする習慣も身に付かないなど学力低下につながる要因が多いのが実状です。さらに貧困が原因で塾や習い事など、学校以外で学習する機会が少ないことも教育格差につながります。
現に、日本財団が発表したデータによると一般的な水準の家庭よりも貧困家庭の子どもの方が学力が低い傾向があるという結果も出ています。幼少期から差が出始めると、大人になったときにより大きな経済・能力格差になってしまうのです。
日本の子どもの貧困率は11.6%となり、9人に1人が貧困状態
子どもの貧困率の11.6%のうちの多くがひとり親世帯である
一般的な水準の家庭よりも貧困家庭の子どもの方が学力が低い傾向がある
子どもの貧困問題の原因は?
ではなぜこのような事態に陥るのでしょう。原因は大きく分けて2つ考えられます。
一つ目は親の収入の問題です。親が仕事をしていない、またはアルバイトなどの非正規雇用のため給与が少ないなどが貧困の根本的な原因です。親が定職に就けるような仕組みを作る必要がありますが、難易度は高いでしょう。
二つ目はひとり親家庭の増加です。未婚の母や離婚によるひとり親家庭が増え、貧困家庭の多くがひとり親家庭であることは、内閣府が2018年に公表した「国における子どもの貧困対策にの取り組みについて*」を見てもわかります。
内閣府「ひとり親家庭の離婚後の収入 」によると、離婚後の養育費を支払っていない父親は8割以上であることがわかり、ひとり親家庭の貧困の原因の1つです**。
親が仕事をしていない、またはアルバイトなどの非正規雇用のため給与が少ないなどが貧困の根本的な原因
ひとり親家庭の増加
離婚後、8割の父親が養育を払っていない
(*出典:内閣府「国における子供の貧困対策の取組について」,2018)
(**出典:厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」,2016)
子どもの貧困はどんな問題を起こすか?
子どもの貧困は深刻な問題だと述べてきましたが、具体的に子どもの貧困はどのような問題を引き起こすのでしょう。
子どもの貧困がもたらす社会的損失
日本財団子どもの貧困対策チーム「子どもの貧困の社会的損失推計」の調査によれば、子どもの貧困がもたらす社会的損失は、42.9兆円に及ぶと言われています。なぜこれまでに膨大な金額となるのでしょうか。
貧困家庭の子どもは一般的な家庭と比べて学習環境が悪く、能力も低くなる傾向にあります。このことが社会的損失に直接つながるのです。
学力が低いと大学への進学はおろか、高校への進学も危ぶまれます。進学ができないということは非正規雇用や低い給料で働く可能性が高くなるということです。このような悪循環が日本全国、多くの人の間で起こってしまうとこの人たちが収める税金よりも生活保護などの支出が大きくなり、損失が生まれます。子どもの貧困問題は本人たちだけではなく私たち国民の問題でもあるのです。
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教育格差が生まれる
前で話したような事態は決して一過性のものではありません。そのまま放置すると、貧困層と富裕層の間で教育格差が生まれてしまい、今の日本の風潮では、教育格差はそのまま経済格差に直結します。この差が広がることで取り返しのつかない格差となり貧困層と富裕層の二極化へとつながります。
子どもの貧困がもたらす社会的損失は、42.9兆円に及ぶと言われている
貧困家庭の子どもは一般的な家庭と比べて学習環境が悪く、能力も低くなる傾向にあり社会的損失に直接つながる
進学ができないということは非正規雇用や低い給料で働かざるを得ない
海外や日本での子どもの貧困の現状、貧困が子どもにもたらす影響についてより詳しく紹介しているこちらの記事もご一読下さい。
>>子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは
貧困家庭の子どもに必要なことは?
子どもの貧困による現状・原因・未来への不安があるなかで私たちが子どもたちにできることはなんでしょう。
問題解決のために政府が様々な取り組みを行っていますが、限度があるため私たち国民一人ひとりが自分にできることを考え、行動していかなくてはいけません。
私たちにもできる子どもたちの支援の方法を実際の事例を交えて紹介します。
子どもが安心して過ごせる居場所
貧困家庭の子どもは学校から家に帰っても親が仕事でおらず、遅くまで1人で過ごさなくてはいけないケースがあります。
そんな子どもたちのために安心して楽しく過ごせる居場所を作ってあげることが重要です。
実際に行われている事例としては、「放課後児童クラブ」というものがあります。これは、共働き家庭などの留守家庭の10歳未満の子どもに対して放課後の児童に適切な遊びや生活の場を与えて、健全な育成を図ることを目的とした取り組みです。
放課後の児童に室内にて、学習支援や実験・工作などの体験プログラムを提供しています。13時から利用可能で学習だけでなくおやつの時間や遊びの時間も設けられています
「児童館」という施設は、児童に健全な遊びを与え、健康を促進し、情操を豊かにすることを目的とした児童福祉施設です。全国に4,500か所以上設置されており、設備には遊戯室や図書館があるため遊びと学習どちらも行えます。また、児童厚生員が配置されているので安心して過ごすことができます。
これらの施設があることで貧困家庭の子どもでも友達や大人とコミュニケーションを取ることができます。子どもだけでなく親にとっても心強い施設です。
認定NPO法人 カタリバは、自身ではどうすることもできない家庭環境などの課題を抱える子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を地域と連携しながら届ける活動などを行っています。
月1,000円の寄付で、生まれ育った家庭や災害など、様々な要因で苦しい思いをしている子どもたに学びの機会を届けられます。
あたたかい食事
暖かい食事は心身の発育に大変重要です。
貧困家庭の子どもは、親が夜遅くまで働き朝早く仕事に出かけることが多いため、ご飯を満足に食べることができない、栄養バランスの取れた食事ができない現状にあります。そんな子どもたちに救いの手を差し伸べているのが子ども食堂です。
近年急激に注目を浴び始め個人や企業、NPO法人が支援しています。2019年6月時点で全国に3,700箇所を超える「こども食堂」があり、今後も増え続けると予想されています。
利用料金は安価、もしくは無償で、貧困家庭でも問題なく利用できることから多くの子どもが利用しています。
認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえは、各地域のこども食堂ネットワークの支援などを行っています。
月1,000円の寄付でこども食堂で実施される多様なプログラム、こども食堂の現状を調査など、日本全体のこども食堂を支える活動をサポートできます。
>>むすびえついて詳しく見る
学習サポート
貧困家庭の子どもは、家に帰っても勉強を教えてくれる親がいないため、学習を定着させること困難です。また、朝食を摂っていないケースもあるため、授業に集中できない子どもが多いです。そんな子どもたちを対象とした学習サポートの事例として、「放課後子ども教室」というものがあります。
安全・安心な子どもの活動拠点を設け、地域の方々の参画を得て、学習やスポーツ・文化芸術活動等の機会を提供することを目的とした取り組みです。全国の小学校を中心に16,000か所以上で実施されています。
実施内容は、先述した「放課後児童クラブ」とほぼ同じですが、放課後児童補助員が、放課後の児童の様子を教員や親に情報共有してくれます。親も子どもがどのように過ごしているのかわかると安心です。
また、子どもも自分の学校生活を親に知ってもらえるのは嬉しいでしょう。
親が夜遅くに帰ってくるのでなかなか学校でのでき事を話すことはできません。それだけに放課後児童補助員の存在はとても大きいのです。
NPO法人 Learning for All は、さまざまな理由で生きづらさを抱える子どもたちに学習支援、居場所提供、食事提供などを行っています。
月1,000円の寄付で貧困に苦しむ子どもたちの心と学習面をサポートできます。
>>Learning for All について詳しく見る
放課後児童クラブは共働き家庭など留守家庭の10歳未満の子どもに対して放課後の児童に適切な遊びや生活の場を与えて健全な育成を図る
子ども食堂は、栄養バランスの取れた食事など、子どもたちに救いの手を差し伸べている
放課後子ども教室など安全・安心な子どもの活動拠点を設け学習やスポーツ・文化芸術活動等の機会を提供する
(出典:厚生労働省「放課後児童クラブ運営指針」の策定について)
かが難しいところだが、とても正当な論の進め方だと思う。今後どうすべきかも素晴らしい案なのに、賛同を得られるにはまだまだ大変そうである。私も色々勉強して事実をきっちり掴みたい。
【本文より引用】慰安婦問題は、「強制があったかどうか」以上に重要な問題ーー男性による女性の強姦や輪姦が、国家や男たちによって許されていた、という問題をわたしたちに突きつけている。
それは、強姦を別にすれば「合法」の名で許されていた、男性による女性の”手段化”、”モノ化”、”道具化”の状態だった。そしてそのような状況を支えていたのは、相手に対する差別意識である。
高橋源一郎をして「わたしは、これほどまでに孤独な本を読んだことがない」と言わしめた理由がよくわかる。
資料の偏りにより著しく根拠に欠けていたり、引用が意図的に操作され、都合のいい部分だけが採用されていると、研究者から厳しく批判を受けている本書ではあるが、しかし、それでもなお、本書は慰安婦問題における日韓の対立を解決に導く有効な道筋が記されている。
それは、帝国主義的観点から慰安婦を捉え直すことで見えてくる、日韓双方が被害者であり加害者であるという構図だ。日本語版刊行から1年後、慰安婦問題日韓合意が成された。しかし、そこには、肝心の帝国主義的視点が決定的に欠けている。そのような慰安婦問題の本質をスルーした政治的決着は、やがてこの問題を再再燃させる火種を大いに残している、かりそめの決着に他ならない。