8月14日午前2時30分からCSテレビのムービープラスで観た。
映画が墓地での葬儀から始まり、中年の男が過去の少年時代・11歳の年を回想していく。
『アトランティスのこころ』(原題: Hearts in Atlantis)はアメリカの作家スティーヴン・キングが1999年に発表した小説である。
本作は5つの中短編より構成され、登場人物、場所、出来事などが密接に絡み合い、時系列上に進行してゆく。
本作は(キング自身も属する)ベビーブーマー世代のアメリカ人の人生について書かれている。 本作は2001年に映画化された。
1960年 黄色いコートの下衆男たち
作品中もっとも長い第一部「黄色いコートの下衆男たち」は、1960年を舞台として、少年ボビー・ガーフィールドを軸に展開する。
ボビー少年はコネティカットのハーウィックで、自己中心的な母親リズと二人で生活している。
彼は自転車を欲しがっているが、リズはそんなお金はないと言いながら、自分では新しい服を次々と買っている。
ボビーの11歳の誕生日に、リズは誕生日カードに挟んで成人用の図書館カードをプレゼントする。
このときはまだボビーは、自分の母親が仕事場の上司ドン・バイダマンに性的な関係を強いられていることに気づいていない。
ボビーはこの時期を、二人の親友、ジョン・サリー・サリバンとキャロル・ギャーバーと一緒に過ごしている。
初老の紳士テッド・ブローティガンが、ボビーと母親の住むアパートの2階上に引っ越してくる。
母親リズはテッドをあからさまに嫌うが、ボビーは違った。テッドはボビーと本の話をして過ごし、彼に「蠅の王」を渡す。この本はボビーに大きな影響を与える。
母親リズは、テッドがボビーに性的虐待をするのではないかと言って不安がるのだが、その不安は自分が息子をおざなりに扱っていることへの自責やらとないまぜになっている。
ボビーはそういう複雑な状況を理解してはいるものの、うまく言葉では表現することができず、母親とテッドを引き合わせないことで事なきをえる。
テッドが自分を一人の大人として扱うことは、ボビーに新鮮な驚きを与える。テッドは最近目が悪くなってきたと言って、新聞を毎日読み聞かせてくれればお金を払うとボビーに持ちかける。
そのうちにボビーは、テッドがたびたび瞑想状態に陥るのを目にし、やがてテッドが超能力を持っていることに気づいてしまう。
物語はボビーとテッドが交流を深めていく様子、子供たちの夏の帰らぬ日々、そして怖れと成長を描く。
本作はキングのライフワークでもある『ダーク・タワー』シリーズとも密接な関連を持つ。
2001年公開。原作の「1960年 黄色いコートの下衆男たち」、「1999年 天国のような夜が降ってくる」をメインプロットに用いている。主人公のボビーは原作とは異なり、カメラマンになっている。また、『ダーク・タワー』に繋がる要素は全面的にカットされており、物語は作品の中で完結する。本編約101分。米国ではMPAAによりRG-13(年齢制限はないが13歳未満の入場には保護者の厳重な注意が必要)の指定がかかっている。
この映画は、公開の数か月前に心臓発作で亡くなった撮影監督ピョートル・ソボチンスキーに捧げられた。
キャスト
スタッフ
解説
自分のことしか頭にない母と二人で暮らす11歳の少年が、不思議な力を持つ老人と出会い、人生という現実の感動と悲しみを体験する奇跡の物語。
原作は「グリーン・マイル」のスティーブン・キング。
監督は「シャイン」のスコット・ヒックス。
脚本は「ミザリー」のウィリアム・ゴールドマン。出演は「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス、「15ミニッツ」のアントン・イェルチン、「パトリオット」のミカ・ブーレムほか。
2001年製作/101分/アメリカ
原題:Hearts in Atlantis
配給:ワーナー・ブラザース映画

ストーリー
アメリカ。50歳の写真家ボビー・フィールド(デイビッド・モース)は、二度と戻らない11歳の夏を思い出す。
当時、父を幼い頃に亡くしたボビー(アントン・イェルチン)は、若く美しい母リズ(ホープ・デイビス)と小さな田舎町で暮らしていた。
リズは自分の装飾品にはお金をかけるが、ボビーにはかまわなかった。
二人の家の二階に、テッド(アンソニー・ホプキンス)という老人が下宿することになる。
驚くほど知的な彼は、どこか謎めいた男だった。
目の悪くなっているテッドは、ボビーに新聞を読む仕事を頼む。
そして、「よく周りを見て、感覚を敏感にしておくこと」と言う。
実はテッドは人の心を読む超能力者で、その力を利用しようと企む政府の機関から逃げていた。
テッドは能力を求められているが、それを重荷に感じていた。
歳の離れたボビーとテッドだが、二人は心を開き合いかけがえのない友達になった。
「小さい頃は楽しいことばかりで、アトランティスのような幻の国にいるようだ。
大人になると幻の国は消える」とテッドはボビーに今を大切にすることを伝えるが、リズによって政府の機関にテッドは連れ去られてしまう。ボビーはリズと引っ越すために、その思い出の町を離れたのだった。
2001年のスコット・ヒックス監督作品。原作はキング。
1960年、子供より自分のことを優先する母とアメリカの片田舎で暮らす少年ボブは貧しいながらも友人たちと楽しく過ごしていた。ある日ふしぎな老人テッドが家の2階を間借りする。彼に新聞を読み聞かせるアルバイトを始めたボブは、彼が持つ不思議な能力を知る。そしてテッドは何者かに追われていた…。
成長期の少年の心と不思議な能力をめぐるキングらしい物語。プロットそのものはシンプルだが俳優の存在感と演技力で品格のある映画になっている。アンソニー・ホプキンスは言うに及ばず主人公の少年ボビーを演じたアントン・イェルチンが素晴らしい。残念なことに彼は交通事故により27歳で死去した。
本作の背景となっているのは東西冷戦下で実際に米ソの軍隊や諜報機関が行ったと言われる超能力研究で、Stargate Projectなどが有名。
その影響は今でも『SPYxFAMILY』といったコンテンツに引き継がれているし、生物の信号や作用を電子的に捉えるサイバネティクスがリアルに検討された時代でもあった。