夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

秋に想う

2022-10-10 11:47:53 | つれづれ
土に還る人の相は肉片となり虫も喰らう

膨らみ破れ崩れて骨となる

いかなる時の想いは残る

愛憎や

喜びや

哀しみや

いろんなものは漂うがそれはいちいち拾うわけにもいかぬ

肉親の情は深い

関わる友や愛する人との関わりも深い

親を見て

弱りゆく姿を見て

父のそうだったように

やがて骨になりゆく様を日々見てきた

頑強な筋肉質の肉体も

美しいかんばせも

みんな崩れゆくもの

だからこそ

今の瞬間の出会いや繋がりはあたたかい

まさに奇跡のように出会い触れ合う人々との語らいや笑顔や喜びは

風がきっとさらってゆく

そこにたとえ何もなくなったとしても

一陣の風が時折その瞬間の喜びを運び込む

秋の山から鹿の声が響き出せば

やがてくる厳しい冬の訪れを知る

悲しげなその声は山に響く

しかしその風は

いつか笑った

いつか感じた何かを運び込むことがある




人はたとえ無常の中にいても

ただ

そこにある

そこにある

何らかの確かなものを求めながら

そして黙って紡ぎながらひたすら歩む

導火線は生まれた日に

時という非常なものにより火が灯もされる

決して自分では消しはできないその導火線は

おるごーるのゼンマイのようでもある

精一杯歌うその歌をいつか止める日が来るからこそ

愛おしい

いつまでも永らえるなら

大切には想えないかもしれぬ



渡りゆく蝶を虫籠にとどめても

その色は朽ちて とどまらぬ

形として如何に保存しても

優雅なはばたきは戻らぬもの

標本にしても

その根源のエネルギーは

感じることは終にはできぬもの

一瞬の

今の輝きやエネルギーを

美しさと呼ぶのかもしれない

どこにいたとしても

どんな身なりをしていたとしても

どんなに衰えても

どんなに若い頃の輝きが失せたとしても



それをそのまんま感じられる何かを

失うことが

人として一番恐ろしく感じる時がある

それが秋のような気がするのだ
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする