夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

萌黄に紅をさして

2014-02-03 22:38:23 | つれづれ

萌黄に紅をさして

そんないろの月だった

西の衣笠山の稜線からちかいところ

薄い舟のような上弦の月は

今にも沈みそうになりながらも

そこにとどまって

その色を見せていた

 

妖しくも美しいその姿に

わたしはしばし時を忘れて見入っていた。

 

そのまますいこまれて

もしも月の世界に行ったなら

どのような姿に変化するのだろうかと

 

そのようなことをふと想いながら

わたしは暖かな空気が漂う中

すさまじい風がひょうひょうと音を立てて

あしたからの寒さの前触れを奏でているのを聴いていた。

 

 

 誰が奏でているのか

 そんな不思議な音色だった。

 

ひょおおぉおおお~

ひゅおぉおおおぉ~

薄暗い山の方から

その風はまるで笛を吹くようにやってくるのだ

笛を吹く男が

その向こうにいるに違いない

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする