我がお絵描き人生後半最初の一里塚となった8年前の作品を、もう一度ご披露します。
マイナス10℃の箱根外輪山でスケッチするなど、今思えば無謀な振る舞いでしたが、雪が溶けるまでの半年間通って、太宰治が『富嶽百景』の冒頭で、「北斎の三十度、広重の八十五度は誇張し過ぎ、陸軍の実測図では百二十度」と指摘していたのを、しかと確かめながら画き貯めた20枚のスケッチを基に、ひと夏かけて描いたのが本作でした。
2HとHBの鉛筆で下絵を2週間、色水のように薄めた透明水彩絵具を乾いては乗せ乾いては乗せを繰り返すこと2週間。振り返って、よくぞこれほどの根気が自分にあったものだと、アトランタ五輪の有森裕子さんの心境に共感しばしです。
《富嶽遠望(大観山)》 鉛筆と水彩 P20号 2016年
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