解散後初の日曜日。最近の選挙戦の主戦場は、轟音の選挙カーから、無音のSNSへシフトしているようですが、それでも駅前は各陣営の幟旗・連呼・ビラ撒きでごった返しているので、某党候補にだけそっと笑顔を返して、足速に駅へ駆け込みました。
行き先は2年振りの公募展巡り。まずは六本木の新美術館の《二紀展》へ。ご指導いただいているM先生、Y先生、S先生らの大作に再会して、コロナ前が甦りました。残念だったのは、日曜の昼過ぎにもかかわらず来場者が例年の半分以下だったこと。その分、若い作家たちの意欲作をゆっくり味わって、上野へと向かいました。
東京都美術館の《一線展》には、高校の同級生T君と、大学の絵画サークル仲間のI君から、招待券が2通届き、両君の力作を公平に眺めてきました。見終えて隣の会場を覗くと、《太平洋美術会・東京支部展》の看板が! もしや、明治の洋画黎明期に小山正太郎・浅井忠らが立ち上げた《明治美術会》の流れを汲む、あの我が国初の在野美術団体⁈ 半信半疑で受付の紳士に聞くと、「そうです、よくご存知で!」と、うやうやしく『出品目録』を手渡され、招き入れられました。多くが小品で伝統的な画風が並ぶこの会場は、ずっと現代風のモダンアートばかり見続けてきた我が目には、畳と障子の座敷に寝そべるような居心地の良さで、見終えて美術館2階の精養軒で飲んだグラスビールが、めっぽう美味かった。
冷たい雨の上野の山は、”ひと目パンダ”の親子連れと、ゴッホ展だけ、長蛇の列でした。
(注)《二紀展》と《太平洋美術会展》の作品は掲載を控えます。
T君『阿弥陀来迎図』
I君『御苑樹下』