幕末の田原藩家老・渡辺崋山は蛮社の獄で自刃して果てましたが、極貧の幼少時から絵を描き、国宝『鷹見泉石像』など迫真の肖像画などを多数残しました。中でも私が好きなのは、肌見離さず持ち歩いてメモ代わりに描いたという『一掃百態』や『游相日記』などの飾らない素描(スケッチ)で、半世紀前に買った画集を今でも時折手にします。華山があと四半世紀生き延びていたら、果たして開国日本にどんな足跡を残し、また画人としてどんな名画を残してくれたやら!? 歴史のたらればへの興味は尽きません。
晩秋の平塚田んぼ【久世樹】
渡辺崋山・相州漫遊の図