”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

第09回京急将棋まつり

2007年08月18日 | 羽生善治
 将棋まつり、今年は京急の初日、2日目に夏休みを取得して行ってきました。初日は、道場の先生が出演されるのでその応援と2日目たいがーメイン(もちろん羽生さん(^^))の下準備ということで。2日間全体を通しての感想。引退された佐伯先生が京急将棋まつりのホスト役、その補佐として精力的に動かれている中村修八段の姿が印象的でした。自分としては昨年の東急東横よりは楽しめました。ただ、購入しようと思っていた布盤がないなど東急東横よりは将棋関連商品の品揃えはイマイチだったかな?

 初日は道場仲間が集合して先生を盛り上げました。テーマは振り飛車。三間飛車の中田コーヤン、ゴキゲン中飛車の近藤六段、藤井システムの藤井九段、そして勝又教授、富岡八段、タカミチ九段。随処にミニ講座などあって面白かったです。コーヤン、ゴキゲン近藤六段のトークははきはきして聞きやすく、藤井九段はぼそぼそなんだけどナンダカ面白くて聞き入りました。がっかりだったのは勝又教授。滑舌がよくて聞き取りやすいんだけど、あの高飛車なもの言いと講座の内容が安易く期待倒れでした。

 2日目、われらが羽生三冠登場。羽生三冠は前日大阪阿倍野の近鉄将棋まつり参加で翌日この横浜と相変わらずのスケジュールです。そんな過密スケジュールを微塵も感じさせないタフネスぶりはただただ感心させられます。道場仲間Estuさんと「やっぱりどんな業界もそうかもしれないけど、トップに立つ人はタフじゃないと勤まらないんじゃない?」二人で頷くばかり。そして羽生三冠人気にあらためて驚き(*_*)、席は初日の2倍に増設。いやあ、凄い人でした。

 まずは特別対局、瀬川晶司四段戦。王座戦挑戦者決定戦、久保八段vs森内名人で見られたあの戦型へ。玲瓏データでは羽生さん将棋まつりバージョンがあって、アマチュアにわかりやすい駒さばき(?)でかつ飛車角が飛び交う空中戦にすることが多いようです。瀬川四段はバランス重視で反撃を試みるも羽生三冠に角をさばかせない形に押さえ込まれ、結果は羽生三冠の貫禄勝ち。瀬川四段「羽生さんはやっぱり強かったです。」

 次に羽生三冠お一人でのフリートークと鈴木環那女流司会での「羽生さんに聞いてみよう」コーナー。それではフリートークの内容を…。

 恒例化している夏のイベント「将棋まつり」ということではじめに主催者の方後援者の方に御礼の辞。「将棋まつり」、将棋ファンとしてはこれからも継続してほしいイベントです。対局する瀬川さんにまつわりアマプロ問題。将棋と相撲は古来アマ・プロの差は歴然と言われていたものの昨今は違うとのこと。やはりアマがプロ棋戦に参加できるようになったことが大きいとは羽生さん弁。羽生さんとしては、広く門戸を開くことになったプロへの道、瀬川さんのように実力もあって人柄もよくプロにふさわしい人にはもっと出てきていただきたいとも語っていました。

 この日行われていた羽生三冠杯将棋トーナメントにちなんで、ご自身が子供の頃にいろいろな大会に出たことについて。神奈川、東京、千葉(真っ先に神奈川をあげるなど細かいですが気遣いですね)の大会に参加して、森内名人、郷田九段、先崎八段と出会ったエピソード。「30年近く経ってもおんなじように将棋指してたりします(笑)」いやいや、なかなかそんな関係作れません(笑)

 将棋の良さの1つ、世代を超えられるということ。15歳でデビューして羽生さんのプロ2年目、御年72歳になる小堀先生と順位戦。終局自体深夜午前様になったがなんと朝5時まで感想戦をし、さすがに疲れて自ら「お先に失礼します」。いい思い出になったとのこと。また日本にある伝統的な存在であることも述べられました。お茶、お花と同じ家元制度から端を発している将棋。400年もの間ルールが不変であり続けること自体綿密さを物語っている。それから着物。タイトル戦で着物の着用が義務つけられていないがそういう不文律こそ伝統であり格式で大事にしていきたいと。

 将棋上達について。詰将棋を簡単なものでも毎日解く。ご自身が十代の頃は将棋図巧と将棋無双を解いたエピソード。3年半もの長い期間であったが、続ける重要性、「継続は力なり」を身をもって経験したとのこと。

 将棋はメンタルな戦い。そのときの状態に影響されやすい。一手詰めをうっかりして負けたことが鮮烈な思い出。プロとしては失格であり、相手もまさかの手にアワアワした様子。よく揮毫する「玲瓏」の心境、平常心でいること、冷静でいること、それを心がけている。

 そして「羽生さんに聞いてみよう」コーナー。

Q1.お子さんに将棋を教えたいですか?
A1.1度やらせたけど興味ないみたいです(苦笑)。他の世界に比較して将棋界は2世や兄弟は少ないように感じますしどうでしょう?でも、身内には厳しくなりがちなので、最初はやさしく教えてあげることがいいかもしれませんね。

Q2.渡辺竜王(現在23歳)と羽生三冠の23歳の頃ではどちらが強いですか?
A2.敵わないんじゃないですか?(笑)(会場から”そんなことないっ”という掛け声に)いや、ありがとうございます。なんか、今日はノリがいい人が多いですね。でも、渡辺さんはしっかりしていると思います。将棋もそうですし、人間性もそうです。ブログで情報発信し続けているのはなかなかできそうでできないことと思います。

Q3.女流棋士と対戦するときは目のやり場とか大変ですか?
A3・公式戦では経験ないですが、非公式で20局ぐらい経験あります。ただ、そうですね、将棋の対局が始まってしまうと男女の違いがあるわけでなく同じ将棋、気になることはないです。目というとよくニラム、ニラムと言われますが、目つきが悪いだけですので(笑)

Q4.中だるみ、集中力を保つ秘訣は?
A4.タイトル戦などの対局で5時間ぶっとおしで集中力を維持することは無理です。考えどころでは考え、休むときは休む、そういったメリハリが必要と考えます。普段の勉強もそうですね。無理なく続けることが肝要だと思っています。(いつもはどれくらい研究されているかの問いに)わかりません(即答)。気分次第でやりたいときに集中してやることが多い。それが”長い”棋士生活を考えるとベストと思っています。

Q5.スランプの抜け出し方は?
A5.それがスランプか、はたまた実力がないかの見極めを先にすることが大事です。実力がなければそれを補う勉強することです。これしかありません。スランプのときは気分転換でしょうか?そして勝っても負けても引きずらず忘れることでしょうか?

Q6.また七冠になれますか?
A6.近くになったら考えます(苦笑)。何と言えばいいんでしょう、例えば100連勝できますか?と質問されるのと同じなんです。考えるのも億劫になるというか(苦笑)。それが90連勝できたら少しは考えることができるかもしれません。マラソンでも、あと50kmだよと言われると途方に暮れそうですが、1kmずつ目標を刻めば気持ちが楽になります。目の前の一歩一歩をまず着実に進みたいです。

Q7.(お子さんの質問で)何段でプロになりましたか?
A7.四段になったらプロと呼ばれます。でもアマからイキナリはなれません。まず奨励会というところに所属することが必要です。そうですね、アマ四段が奨励会6級くらいでしょうか?(管理人弁:羽生さんはアマ五段で奨励会6級に入会されました)

Q8.スーツはコナカで購入されましたか?
A8.みなさんと同じようにスーツは購入します。ええ、みなさんはぜひ京急百貨店でお買い求めください(笑)

Q9.将棋は辛いものですか?
A9.”将棋”というと”長い”という言葉が浮かびます。例えば他の人の対局を見ていると1時間の長考があるとまだ指さないのかなあと思ってしまいます。好きなことを続けてこられているので辛いと印象はありません。

Q10.(お子さんの質問で)得意な戦法は何ですか?
A10.横歩取りですね。子供のときは急戦でやっていました。すぐ勝敗が決まったりしました。(一番勝率のいい戦法は何ですか?の質問に)ええっと、何でしょう?
(今度調べておいてもらえますか?の問いかけに)はい、わかりました。(羽生さん、玲瓏DBに項目増やしました。(^^))

Q11.(お子さんの質問で)将棋は何が一番大事ですか?
A11.いい質問ですね~。やっぱり気持ちですね。大事なところでも"踏み込んでいく勇気”が重要じゃないかなと思います。(自分を信じることが重要なんだと?という問いかけに)それが一番難しいんです。でも、そうですね。自分を信じて踏み込んでいくことができればいいですね。

以上、羽生さん、お疲れ様でした。