「お母さん、おなかすいたぁ」
「冷蔵庫、からっぽだねぇ。お買い物に行ってこなくちゃ」
「じゃあ、岬はお留守番してるよ」
「………岬じゃなくて、お母さんがお留守番しててもいい?」
「それは、岬がお買い物に行くってこと? 岬がひとりでお買い物してくるってこと?」
私が「そうだよ。行ってみる?」と聞くと、目を輝かせて「行くよ、行く! 本当にひとりでお買い物してきていいの?」とぴょこぴょこ飛び跳ねていました。
と、いうことで。
【おやくそく】
1.くるまにきをつける。
2.よりみちやとおまわりはしない。
3.スーパーについたときと、おかいものをしてスーパーをでるときに、いえにでんわをする。
【かってくるもの】
1.たまご
2.ぎゅうにゅう
首からネコのお財布を提げて、ダッフルコートのポケットに私の携帯電話を入れて。
携帯電話で自宅に電話をかける方法を教えて、練習して、いざ出陣!
いってらっしゃ~い!
岬はちょっぴり緊張していたみたいで、何度も何度も私のほうを振り返りながら「行ってきまぁす」「本当に行ってきまぁす!」「…行ってくるねぇ」と言っていました。
私はそんな岬を見送って、自宅の電話の子機を握り締めながらベランダに出ました。
ベランダに出ると、自宅からスーパーまでの道がところどころ見えるので、ちょっと見守っていようかと思ったのですが。
「岬、歩いてないなぁ…」
目立つように真っ赤なダッフルコートを着せたのに…?
ベランダできょろきょろしていると、自宅の電話が鳴りました。
「スーパーについたぁ。こわくてちょっと走っちゃった」
私の観測ポイントなど、とっくに通り越していたようです。
徒歩3分のスーパーまで、2分弱で到着しました。
初めて持たせた携帯も何とか使いこなせているようで一安心。
電話を切ってすぐ、また電話が鳴りました。
「タマゴ売り場って、どこぉ?」
自分で探してごらん。
するとまた電話。
「タマゴは6個入りはないんだって。11個入りのMサイズとLサイズがあるんだけど」
11個入り??? たぶん10個入りだよ、数えてごらん。
タマゴはLサイズを買ってきてね。
(っていうか、アルファベットのMとLが読めると思わなかったよ)
さらに電話。今度は牛乳で迷っているのか? と思ったら…
「これからスーパーを出て、帰りまーす。牛乳は、大きいのは重くて持てなかったの。だから小さいほうの牛乳を買ったよぉ」
気をつけて、歩いて帰っておいでね。
(自分で牛乳の大きさを選ぶとは思わなかったよ)
再びベランダから外を見てみれば、線路沿いの坂道を買い物袋を提げ、ちょっとうつむき加減に歩く赤いダッフルコートの女の子がいました。
ああ、お姉さんになったなぁ。
「ただいまぁ!」
「おかえり。お買い物ありがとう。頑張ったね。こわかった?」
「うん。こわかったけど…、ちょっとこわかったけど…、こわいなって思うのと一緒にわくわくもしたんだ。楽しかったよ! またお買い物に行くね!」
岬が買ってきてくれた卵と牛乳を使って、二人で一緒にバナナのロールケーキを焼いて食べました。
はじめてのおつかい、お母さんもすごくこわくて、わくわくしたよ。
「冷蔵庫、からっぽだねぇ。お買い物に行ってこなくちゃ」
「じゃあ、岬はお留守番してるよ」
「………岬じゃなくて、お母さんがお留守番しててもいい?」
「それは、岬がお買い物に行くってこと? 岬がひとりでお買い物してくるってこと?」
私が「そうだよ。行ってみる?」と聞くと、目を輝かせて「行くよ、行く! 本当にひとりでお買い物してきていいの?」とぴょこぴょこ飛び跳ねていました。
と、いうことで。
【おやくそく】
1.くるまにきをつける。
2.よりみちやとおまわりはしない。
3.スーパーについたときと、おかいものをしてスーパーをでるときに、いえにでんわをする。
【かってくるもの】
1.たまご
2.ぎゅうにゅう
首からネコのお財布を提げて、ダッフルコートのポケットに私の携帯電話を入れて。
携帯電話で自宅に電話をかける方法を教えて、練習して、いざ出陣!
いってらっしゃ~い!
岬はちょっぴり緊張していたみたいで、何度も何度も私のほうを振り返りながら「行ってきまぁす」「本当に行ってきまぁす!」「…行ってくるねぇ」と言っていました。
私はそんな岬を見送って、自宅の電話の子機を握り締めながらベランダに出ました。
ベランダに出ると、自宅からスーパーまでの道がところどころ見えるので、ちょっと見守っていようかと思ったのですが。
「岬、歩いてないなぁ…」
目立つように真っ赤なダッフルコートを着せたのに…?
ベランダできょろきょろしていると、自宅の電話が鳴りました。
「スーパーについたぁ。こわくてちょっと走っちゃった」
私の観測ポイントなど、とっくに通り越していたようです。
徒歩3分のスーパーまで、2分弱で到着しました。
初めて持たせた携帯も何とか使いこなせているようで一安心。
電話を切ってすぐ、また電話が鳴りました。
「タマゴ売り場って、どこぉ?」
自分で探してごらん。
するとまた電話。
「タマゴは6個入りはないんだって。11個入りのMサイズとLサイズがあるんだけど」
11個入り??? たぶん10個入りだよ、数えてごらん。
タマゴはLサイズを買ってきてね。
(っていうか、アルファベットのMとLが読めると思わなかったよ)
さらに電話。今度は牛乳で迷っているのか? と思ったら…
「これからスーパーを出て、帰りまーす。牛乳は、大きいのは重くて持てなかったの。だから小さいほうの牛乳を買ったよぉ」
気をつけて、歩いて帰っておいでね。
(自分で牛乳の大きさを選ぶとは思わなかったよ)
再びベランダから外を見てみれば、線路沿いの坂道を買い物袋を提げ、ちょっとうつむき加減に歩く赤いダッフルコートの女の子がいました。
ああ、お姉さんになったなぁ。
「ただいまぁ!」
「おかえり。お買い物ありがとう。頑張ったね。こわかった?」
「うん。こわかったけど…、ちょっとこわかったけど…、こわいなって思うのと一緒にわくわくもしたんだ。楽しかったよ! またお買い物に行くね!」
岬が買ってきてくれた卵と牛乳を使って、二人で一緒にバナナのロールケーキを焼いて食べました。
はじめてのおつかい、お母さんもすごくこわくて、わくわくしたよ。