deep-forest

いつだって感じる
アナタとワタシの距離は
近いようで遠いようで
でもそれが大事で大切な
アナタとワタシの距離

望んではいけないこと

2010年09月20日 20時23分35秒 | 物語系
例えば何か願いが1つだけ叶うって言われたら、僕は何を望むだろうか。でもなんでもいいのかと言えば、ダメだったりする。
2072年に制定された政府の新しい条約は、15歳になる子供に夢を与えることができる画期的なものだった。しかし良くない考えを願い事をする人もいる可能性を示唆して。叶えられる願い事と同じぐらいに、成就制限が設けられている。

誰かを傷付けたり、社会的に危険と判断されること。

安全と判断されても、物理的に贈与される限度の額や数量。

親の承諾。

期限は一週間。


他にもまだまだ縛りはあって。何のために叶えるのか、誰のために叶えるのかも分からない。教室の窓から雲一つない見上げて溜め息を一つついた時、拳骨が頭上から飛んできた。
「…って~!」
「こらカシワダ!ホームルーム中に何ボーッとしとるか!」
あだ名をゴリ先と陰で言われている、ゴリラ顔をしているオオス先生の拳骨の痛みが引かないまま。ホームルームは終わった。

「リュウヘイよそ見して怒られてやんの。でもおかげで俺が怒られずに済んだぜ、ラッキー。」
いつも1日に何回怒られているんだと思うくらい、ゴリ先に目を付けられてる幼馴染みのソウタは、嬉しいそうに僕のいる席まできた。
「今日はたまたま怒られなかっただけでしょ。リュウヘイ君大丈夫?」
幼馴染みのフタバが心配そうに話し掛けてきた。
「あ、うん。大丈夫だよ。ちょっと考え事してたんだ。」
「あ、そっか。もうすぐ願い事決めなきゃいけないもんね。3人の中じゃ、リュウヘイ君が一番誕生日早いんだっけ。」
「リュウヘイはもう何にするか決めたのか?俺はもう決めてあるぞ!メジャーリーグで大リーガーを三振祭りにしてやるんだ!」
「一週間しかないのに、それでいいのかよ。」
「いいんだ!」
「ソウタ君らしいね。私は空とか飛んでみたいなぁ。規約に引っ掛かっちゃうかもしれないけどね。」
「多分大丈夫だよ。」
「ねぇ、リュウヘイ君は何にするの?」
「そうだぞリュウヘイ。お前は何にするんだ?」
「僕は…。」

心の中では思ってていても、それを口に出す事はできなかった。出せば笑われたり、異能者と冷たい視線を浴びるだろう。もしかしたら、逮捕されるかもしれない。

「そうだな。みんなで南の島にでも行きたいな。」
「リュウヘイは現実的だなぁ。」
「でもリュウヘイ君らしいね。」

二人は笑っていた。こういう願いでいいんだろう。僕の本当に望んでいることなんて、誰にも言えない。



この世界が無くなる事を願っているなんて。

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