なんでそこで倒れ込んでいたのかも、私には分からなかった。6月なのに、降る雨は少し冷たくて。胸に穴がポッカリと空いたような感覚があって、寂しい気持ちになって。
涙を流していた理由も分からなかった。もしかしたら雨が頬を流れているだけかと思ったけど、どっちなのかも分からなかった。
目が覚めた時、私の視界には雨でボロボロになって溶けていたタバコと、黒い石が転がっている。誰かが落としていったものかな。それとも、ただ石が転がっているだけなのかな。
立ち上がり、公園から出る。その時に私と同じように倒れ込んでいる人がいた。
声をかけようかと思ったけど、何か狂い笑っている姿を見て、声が掛け辛かったのでやめた。
公園を出て、脈打つ鼓動をどこからか感じる。とても近くにあって、でも遠くにあるような感じがして。
聞いたことない鼓動なのに、どこか懐かしい。でもなんでかな。それを理解してしまうのが恐かった。
私は黒い石を右手に握り締め、家に帰る。
end
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