岩切天平の甍

親愛なる友へ

サタデー・モーニング

2007年08月11日 | Weblog

 サタデー・モーニングにサタデー・モーニングが届いた。

1975年のソニー・クリスの名盤。
福岡のジャズ・レコード店、アーリーレコードに注文してあった。
封を切ると、なつかしくタバコくさい日本の匂いがする。
ソニー・クリスはビッグ・ネームでは無いけれど、サックスを手に、ロスアンゼルスの恵まれない地区の学校でコンサートを催したり子供達に音楽を教えたりアル中患者を助けるための奉仕活動に走り回るような人だった。ジャーナリストのマーク・ガードナーは、ライナーノーツに「このアルバムの一曲一曲に真実がある」と書いている。

チャイナタウンのイー先生のところへ針治療に行く。
じいさん先生今日のBGMはなんとベートーベン。
いきなり“歓びの歌”、続いて“月光”だ。
うーん、趣味が合うなぁ。
たまらん。

治療を終えて、 潮州菜館で海鮮麺を食べる。十八年前、ニューヨークに来て初めて入ったレストラン。それ以来の馴染み。
チャイナタウンのレストランでは合席は当たり前、今日も小さなテーブルに見知らぬおばちゃんと向かい合わせに座ることとなった。
注文を待つ間、顔を突き合わせて沈黙し続けるのも難しい。
東洋人の顔をしたおばちゃんが英語で注文したのをきっかけに話しかける。
「英語で注文してたけど、中国人じゃないの?」
「中国人?違うわよ、何人に見える?」
「うーん、よくわかんないけど、ベトナム人かなぁ。」
「なにー!ベトナムだとー?」
しごく御不満の様子だ。タイ人なのだそうだ。
注文した物が来る。
「ふーん、美味そうだね。何、それ?」
「モツのヌードルよ、こうやって麺と具と別々にたのんで、ソースを混ぜて食べるのよ。あんた食べた事ないの?」
「うん、この店もう十八年来てるけど、いつも海鮮麺なんだ。」
「いい若いもんがそんなこっちゃいけないわね。いろいろトライしてみなきゃ。」
話は盛り上がって、おばちゃんはフライパンを使った美味しい肉の焼き方まで伝授してくれた。

この国では見知らぬ同士が気軽に会話を始める。
そのタイミングは絶妙で、馴れると病みつきになりそうな程気持ちいい。
電車の中で突然、「いいねぇ、それ。」から始めて誰も違和感を持たない。

食べた後は二時から公園でやっているはずのアジアン・アメリカン・サウンド・フェスへ。知人のキューピー・ヒロシマがボーカルで参加するオキナワポップジャパニーズちんどんウルトラ民謡バンド、“Happy Fun Smile”を見る。かっこいーい!
客席になだれこんで盆踊りにいざなうキューピーに「うーん、行きたいけど荷物をもってなかったらなぁ。」なんて一人で言い訳する腰引けが情けない。

パパイヤと桃とトーフを買って、帰りにBAMに寄って五回目のウォン・カーウァイの “Fallen Angels”を見て、五回目に撮影と映画の関係を考え込む。