岩切天平の甍

親愛なる友へ

CYCLONE

2008年09月22日 | Weblog

コニーアイランドの世界一怖いローラーコースター“サイクロン”。
古くてガタガタなので、いつ崩れるか怖いのだ。時々死人が出るらしい。

どう撮ったら面白いか考えていた。
う~ん、やっぱり外からとってもつまらん、乗って撮るべし。
いやがるカミさんとその友達のコロンビア人画家、ハイメ氏を座らせて出発。
カメラなんぞ禁止なので、小さいコンタックスをポケットに隠して、カタンカタンと登る時に取り出し、後ろを振り向く。先ずは一枚、「ぎゃ~あ、おちる~!」と叫ぶカミさんの声を聞きながら後ろ向きに体が宙に浮いた瞬間にもう一枚、「ぐへ~!なんのこっちゃ~!」
古いマシンは安全バーも簡素な物で、カーブで吹っ飛びそうになるのを必死でしがみつきながらシャッターを押す。「わっ、わっ、わっ!!」

このカメラ、オートフォーカスが合わないとシャッターが降りない様になっているらしくて、結局最初の2枚しかちゃんと押せてなかった。

「あんた、ブログなんかに載せるんじゃないわよ。」と脅されているので、ほどなく削除するかもしれませんが、せっかく命がけで撮ったので載せます。
ちなみに私は高所恐怖症です。

彼女らをご存知の方は話題にしないように。

あ、それからこういう事はやめておいた方が良いです。
本当に危ないです。死ぬかと思った。





ハッピーアワー

2008年09月18日 | Weblog

証券会社リーマンブラザースの破綻、
不良債権の保険を大量に抱え込むAIGの政府による救済。
盛り上がる経済危機に、カメラを抱えてウォールストリート界隈をウロウロ。

貧乏人の夢につけ込んで、「住宅価格は上がり続けているから、あなたの収入では買えない筈の家でも数年後には高く売れて、もっと良い家に買い替えられるし、もし払えなくなってもその値上がり分があるから損はしませんよ。」
だなんて売りまくって、
頭のいい人たちだから、いつまでも上がり続けるわけが無いことは解っていたんだろうなぁ。

稼げる時に稼いで自分が儲けたらあとは知った事じゃない。
バブルのツケは会社が潰れればそれで終わり。
責任は個人まで追いかけては来ない。
莫大な報酬をつかんで逃げろや逃げろ、
また違う場所でぼろい商売を考え出せばいいさ。
ってところか。
何も間違ってはいない。

破綻したリーマンブラザース本社ビルの並びにあるアイリッシュ・バーでは、リーマン社員限定の“ハッピーアワー”をやっていた。
ビールがタダで飲める。殆どが制限時間を過ぎても飲み続けるので売り上げが上がる仕組みだ。商売繁盛、やるなあ。

何とか潜り込んで撮りまくるテレビカメラにエリート達は何の屈託もなくジョッキを掲げて笑い合う。みんなの憧れる“勝ち組”だ。

一生懸命勉強して良い学校に入って、あげくのはてがこれだって言うのなら、そりゃあ純真な子供達は引きこもるかもなぁ。なんて考えながらへらへらお愛想笑いで撮影していたら、ほどなくいかついお兄さんに(飲み屋だけに)つまみ出された・・・。



友遠方ヨリ来タル

2008年09月10日 | Weblog

ええ~っと・・9月10日・・・。
高校時代からの旧友、米澤君から連絡があった。

大手出版社で編集者としても働くロック・ギタリストは、AC/DCの取材でニューヨークに来ているのだと言う。
仕事が終わって会うことになり、ハーレムの老舗、St. Nick's Jazz Pub に誘った。ジャズ・オルガンの敦賀明子が出演していた。

薄暗くひなびた紅いステージのかぶりつきに座る。
真横でつるりんがにこにこと身をくねくね捩りながらブルースを弾いている。
明日は9/11の追悼式典がある。 朝早い中継の仕事だからあまり飲めないなぁ・・でも、なんだかやばいなぁこの雰囲気・・・

・・・ん~? どこかで電話が鳴ってる・・・。ここは何処?
ああ、ウチの玄関に倒れてるんだ。
「はい、もしもし・・・。」
「ぼく、4時半集合って言いませんでしたっけ?」
とプロデューサー氏の低くドスの効いた声。
「ひぇ~っ!す、すいましぇ~ん!!」
スタッフはにやにやしながら見て見ぬふりをしている。
何とか中継には間に合って、ぐったりと家に帰る。

鞄、財布、カメラ、なくした物は無いみたいだなと一息。
録音機?・・ああ、そう言えば夕べ演奏を録音してたんだけっけ。
ふんふん、なかなか良く録れてるじゃない。良かったねぇ、この曲。
それにしてうるさいなこの客、せっかく良く録れてるのに・・・。
ん?なんだこの酔っぱらい俺じゃん!

ヘッドホンを差してボリュームを上げると冷や汗が出て来た。
「どうしているんだい。」と真面目に問いかける友にへらへらと逃げを打つ泥酔者の会話が克明に録音されている。
「おっれはサァ~、おっまえがすっきなんだヨォ~れろれろ。」
最低! とても聞けたもんじゃない。誰にも聞かせられない。

僕にしても世間的にはそれなりのキャリアで(撮影の仕事を始めて20年以上になる)それなりにちゃんと働いている(翌朝を除いて)にもかかわらず、我が友は「そんな事を言っているんじゃない。」と手厳しい。
「オマエは自分の歌をうたっていないじゃないか。俺はお前の歌を聞いてから死ぬよ。」
「・・・。」

まったく、古い友とはありがたい。

誰かを本当に反省させようと思ったら、酔っぱらっている時の会話を録音して聞かせるに限る・・・俺だけか。
つるりんはオルガン弾きながらあの会話を聞いていたのかなぁ・・・。

これはしばらく立ち直れそうに無い。