一年が終わる。
裏庭を望む窓際に固定したスーパー8のムービーカメラを回し切った。
雪が溶けて芽が出て花が咲いて鳥が遊ぶ。花が散って葉っぱが赤くなり、それも散ってまた雪が降る。表情が変わる度に少しずつフィルムを回して数年が経つ。 何のためにやるのか。これといった意思もなく、だらだらと続けては、2分間の一年を眺めて、「ふーん。」と引き出しの中にしまい込む。
今年もフィルムを取り出して、イースト・ビレッジの地下室で魔法のように営業を続けているPACというフィルムラボに現像に出して、さらに新年用の生フィルムを買う。現像代込みのセット価格だと一ドル安くなるので以前はそうしていたが、今年はフィルムのみの購入にした。頭に一瞬よぎった「ここもいつまで持つか分からない。」という考えに、次の瞬間申し訳ないような気持ちになる。年に一回しか来ないくせに、いつまでも続けてもらいたいなんて虫のいいことだ。