てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

ホミニッド -原人-

2005年04月06日 | 読書
ロバート・J・ソウヤーのネアンデルタール・パララックスシリーズ第1作『ホミニッド -原人-』です。

ネアンデルタール人が進化、繁栄している世界で、量子コンピュータの実験中に物理学者が、こちらの世界に転送されてしまった。。。というお話。

ネアンデルタール人の物理学者というのに興味を引かれて、買ってすぐに読み始めました。

こちらの世界と、ネアンデルタール人の世界の2つの物語が同時進行で進みますが、どちらもそれぞれ興味深く、一気に読んでしまいました。

ストーリーは、予定調和的な感じもしましたが、面白いです。

ちょっとひっかかったところもあります。
転送してきた物理学者の話を聞いて、「うん、うん。確かにネアンデルタール人に間違いない。」と納得するシーンです。
こちらにある世界の化石、遺跡から、そのまま進化したらこうなるだろうという予想と一致しているからなんですが、通常そのまま何の変化もなく進化するものなのかな。
どうもこじつけっぽい感じがしたのでした。
それに、こちらの世界とネアンデルタール人が進化した世界は、別物でしょ。
こちらの世界のネアンデルタール人は、特定の部分が欠けていた、あるいはある種の特徴のために絶滅したとも言えるわけだし。

宗教の問題も興味深かったです。
無宗教の私(多分、一般的な日本人)としては。
ネアンデルタール人の社会には、宗教がないのですが、それに対して、こちらの世界の人が「じゃあ、どうやって人々に道徳を学ばせるのか?」と質問していました。
盗んじゃいけない、傷つけてはいけない、殺してはいけないのはなぜか、皆が納得する理由というのは、宗教でしか与えることができないというのが、少なくともキリスト教徒の間では一般的な認識だというわけですね。
なるほど、それで無宗教だというと、嫌われるんですか。


ネアンデルタール・パララックスシリーズは、第二作『ヒューマン -人類-』、第三作『ハイブリッド -新種-』と続きます。
刊行は、まだこれから。楽しみです。


ヒューゴー賞受賞




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