Dishes Are Burning ~燃ゆる皿~

宇宙、そこは最後のフロンティア。UFO時代のときめき飛行、動くなよ、弾が外れるから。

何処にも行かなかった夏の思い出

2024-09-11 23:54:24 | 日記
たまにはコンサートレビューを気取ってみるのもよかろうて。


8月12日のフェスタサマーミューザKAWASAKI2024フィナーレ(指揮・原田慶太楼、演奏・東京交響楽団)の模様が
YouTubeで一ヶ月の期間限定ながら公開されていて、最近はもっぱらこの動画ばかり繰り返して視聴している。
にわか伊福部昭ファンの目当てが「ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲」なのは言うまでもない。

今回のソリストは川久保賜紀。
同氏は昨年11月に同曲を原田氏が指揮したクラシックキャラバン札幌公演にも出演していて(その時のソリストは豊嶋泰嗣)、
今年の春にこのコンサートの詳細が発表された時に、何か繋がりがあるのか、それとも偶然か…と思ったのだが、
原田氏が同曲を気に入り、川久保氏も「いつか演奏してみたい」と言った事から今回のキャスティングに至ったそうな。

素人の感想だが、指揮者・ソリストの意気込みに比例してか、やや早めのテンポながら精緻な演奏。
指揮者の指向によるものか、木管パートがよく聴こえる。この曲でこんなに木管が聴こえる音源は珍しい気がするが、
カメラが抜いてくれることもあいまって、今まで聴き逃していた細かいフレーズを聴き取れて面白い。
ソリストは、第二楽章で思わず苦笑いしている場面もあったが、それもご愛嬌と思える叙情的で繊細な好演。

楽章間で一部の観客が拍手してしまうが、原田氏が「いいですよ〜、拍手しても」とフォロー。ソリストもにっこり。
フェスには普段クラシックを聴きに来ない人も来るのだから、これでいいのだろう。
そもそもクラシックファンですら大抵は伊福部作品なんて聴かないのだから、どこで拍手すべきか誰にも分かるまい。
一応プログラムには二楽章と書いてあるが、初めて聴くと曲の力でつい持って行かれるというか…。

しかしこの日の端正な演奏の前には、初めてこの曲を聴いた人にも楽曲の魅力がストレートに伝わったと思う。
動画内に流れるニコ生のコメントにもそれが表れていたのではあるまいか。

それにしても、これ程優れた演奏が明日までしか視聴できないというのは実に勿体ない話だ。
公演全体としてもマイナーな邦人作品を挟みながらもエンタメ性の高い、フェスならではの楽しい選曲だと思う。
せっかく全曲収録してあるのだからソフト化とかないのかな?今の時代、DVDなんて売れないのかも知れんけど…。

コメント
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