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保管場所別在庫管理パターン

2005年06月30日 | データモデルパターン

◆棚別在庫管理
商品によっては、組織(工場、倉庫等)別ではなく、棚別に在庫を管理したり、引き出し別に管理したりする必要があります。

倉庫に在庫保管用の棚を用意し、その棚別に在庫数量を管理するということです。
その場合、倉庫には複数の棚が存在し、棚は唯一の倉庫に存在しているはずですから、“倉庫”と“棚”の関係は以下のようになります。  

(図1)倉庫と棚の関係

そこで、倉庫と棚の関係を考慮した在庫管理のモデルは以下のようなモデルとなります。


(図2)倉庫の棚での在庫管理



◆組織(場所)に依存する保管場所別在庫管理
しかし、上記のモデルでは、倉庫の棚にある在庫は管理できますが、“工場”の仕掛品や“得意先”の預託品の管理を行うことができません。

そこで、”倉庫”で、”倉庫”のスーパータイプである”組織”との関係で在庫を管理するようにします。(”組織”のサブタイプとして”工場”や”取引先”の情報が存在します。)

また、保管場所も棚に限定する必要はありません。保管エリアに直置きすることもありますし、ラックや引き出し、ロッカーなどに保管されるかもしれません。
そこで、棚ではなく”保管場所”というエンティティを追加し保管する場所を管理するようにします。


(図3)保管場所別の在庫管理


◆組織(場所)に依存しない保管場所別在庫管理
商品(製品)の特性によっては、組織に依存しない保管場所で管理されることがあります。

家電製品等は箱詰めされて棚に保管されていることが多いと思いますが、洋服であれば、ハンガーラックに掛けて保管されていることもありますし、宝石等の小さくて価値の高いものは、施錠可能な引き出しや金庫に保管されているということもあるでしょう。

このように、商品(製品)の特性によって、保管の方法が異なり、組織(場所)に依存しない保管場所の場合、”保管場所”エンティティと”組織”エンティティの関係を参照関係とします。

組織(場所)に依存する保管場所であれば、”保管場所”エンティティの組織コードに値が入っていますが、組織(場所)に依存しない保管場所の場合は、”保管場所”エンティティの組織コードに値が入っていないという状態となります。


(図4)組織に依存しない保管場所別の在庫管理


◆保管場所タイプ
商品を保管する場所は、さまざまな種類が存在しています。

例えば、「棚」「ハンガーラック」「施錠可能な引き出し」「金庫」といったものです。保管場所としてどのような種類があるのかを“保管場所タイプ”で管理していきます。  

各組織(倉庫、工場等)には、商品を保管するための場所が用意されています。
通常、倉庫には在庫を管理するための棚が複数存在しているはずですし、棚が存在する組織(倉庫)も複数存在しているはずですので、“組織”と“保管場所タイプ”の関係は多対多の関係になります。

そこで、“組織”と“保管場所タイプ”との間に中間(関連)エンティティとして、“保管場所”エンティティを追加し、どの組織(倉庫、工場等)にどのような保管場所があるかを管理します。

(図5)保管場所と保管場所タイプ

保管場所タイプと保管場所のテーブルイメージを以下に示します。

(図6)保管場所の例

各組織には複数の保管場所が存在しているはずですので、組織と保管場所の間には1対Nの関係が存在します。

保管場所と組織との関係でいうと、組織に依存する保管形態もあれば、組織に依存しない保管形態も存在します。

例えば、棚という保管形態は組織(倉庫等)がなければ存在しないと考えられますので、従属(依存)関係になります。しかし、ラックや金庫等は、移動が簡単にできますし、場所に依存するようなものではありません。

そこで、組織と保管場所の関係は参照関係として定義しています。場合によっては、保管場所に関連する組織が存在こともありえます。(保管場所の組織コードの項目に値が入っていないことがあります。)

組織との関連で参照関係を定義しているのは、その保管場所についてどの組織が保管責任を持っているか(管理責任を持っているか)を表していると考えても結構です。

棚卸を行う場合、棚別の在庫リストを出力し、各棚別に在庫数の確認を行います。

しかし、この在庫リストが倉庫全体、工場全体で在庫が何個あるかというリストであった場合、倉庫全体、工場全体の在庫場所の商品を数えるということになります。

一斉棚卸の場合であれば、問題はないかもしれませんが、循環棚卸や臨時棚卸を行う場合は、どの保管場所に在庫商品が何個存在しているのかをリストとして出力する必要があります。

どの商品がどの組織(倉庫、工場等)にあるかだけではなく、どの保管場所にあるかまで管理したいといった場合は、保管場所別の在庫数量を管理する必要があるわけです。  

保管場所別在庫の例を以下の表に示します。
   

(図7)保管場所別在庫の例

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