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報道に見る:報道における「肩書き」の意味

2007-04-12 | ケンカイ
今日のニュースから。

<外為証拠金取引>1億4千万円脱税 東京の個人投資家(Yahoo!ニュース-毎日新聞)
外国為替証拠金取引(FX)などで約4億円の所得を隠し、所得税約1億4000万円を脱税したとして、東京国税局が個人投資家の○○○○氏(59)=東京都世田谷区=を東京地検に所得税法違反容疑で告発していたことが分かった。FXはここ数年個人投資家に人気で、多額の利益がありながら税務申告しないケースが目立つ。先月末にも豊島区の個人投資家が告発されていたことが分かるなど、国税当局が調査に力を入れている。(以下略、個人名は筆者伏せる)


Yahoo!ニュースでこの記事を見つけた時には、既に毎日新聞以外にも同じように取り上げられておりましたが、これを斜め読みしていると、一つ「おやっ」と感じることがありました。

それは、今回の報道における「肩書き+氏名公表の有無」という個人についての表現方法、そしてその報道内容に大きな違いが見られるということです。

例えば、毎日新聞は、前述の通り個人の肩書きを「個人投資家」とした上で、個人名を公表するいうパターンとなっています。報道内容としては、事実報道に加えてFXの仕組みやFXを取り巻く申告漏れの実態、そして業界の問題にフォーカスしています。

一方、時事通信の記事では、個人については「東京都世田谷区の主婦」と表現し、個人名は掲載していません。報道内容についても、事実報道のほかには、今回用いられたであろう「手口」についてと、「関係者による脱税の経緯」といった形になっています。

さらに、読売新聞の報道では、個人の表現を「東京都世田谷区の主婦とした上で、個人名を掲載。そして、事実報道以外の部分では、「関係者による脱税の経緯」について主にフォーカスしており、さらには「元手資金の額や入手の経緯」、さらには「(既に亡くなっている)親の職業」まで掲載しています。

ちなみに、朝日新聞の記事は、時事通信と同じようなスタンスとなっており、産経新聞については、「主婦+氏名公表なし」の形で、事実報道中心となっております。

このように、主要報道を一覧してみるといくつか感じるところがでてきます。

まず、毎日以外は告発を受けた人を「個人投資家」とせずに「主婦」としています。しかし、今回の場合、数千万円の資産を運用し、かつ、数億円に上る利益(所得)を上げている人ですので、「普通のいわゆる専業主婦」と同じカテゴリにしてもよいかどうかは疑問があります。

また、事実報道以外の部分として伝えていることを見比べていると、「なぜそれを伝えるのか」ということについて、考えさせられる部分が出てきます。(あえて特定社を挙げての多くは語りませんが、見比べていただければ幸いです。)

さらに、これは一様にですが、現時点ではまだ「告発」された段階であり、現段階では事件化されているものではありません。これについて、このタイミングでどこまで報道すべきかについても、恐らく考えるべきところがあるのではないかと思われます。

こうした報道に接する時に、報道の受け手として「この報道では、なぜこれを伝えているのか?これを伝えることが、なぜ必要なのか?」という観点から一歩引いて冷静に見ることも必要であるということを改めて感じさせられた今回の報道でした。


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