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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

報道のあり方:「編集」という作業

2007-01-27 | ケンカイ
「あるある大辞典」問題の顛末について先のエントリを書いていたら、つけっぱなしのTVからこの問題に関連して、辛抱治郎さんがキャスターを努める土曜朝の報道番組の中で非常に興味深い発言をされていました。
昨日の他局のテレビ番組で、安部総理の施政方針演説を「美しい国」という発言をしているところだけ「編集」して、

「これが、昨日の施政方針演説です」

と解説していた。今回の捏造はあってはならないことだが、報道番組の方がもっとひどいことをしていることもあるんじゃないか?
(要旨を聞き書きでまとめました)


この話しを聞いて、思い出したのが以前に相方が収録でのラジオ出演させていただいた時にディレクターの方からお話しです。収録した内容を時間内に収める編集作業について、このディレクターさんからは、
「編集」は非常に慎重になる。時間内に収めなければならないが、切り取り方一つで全く違う趣旨の発言にしてしまう可能性がある。
との話しがありました。

報道において一定の時間やスペースに収めるために行われる「編集」という作業の中では、「切り抜き」と「つなぎ合わせ」という作業が必要不可欠です。また、「キャッチーな見出し(ラベル)付け」というものも非常に重要な「編集」作業の一つでしょう。これらの作業は必ず「材料」に手を加えることになりますがその過程において「(自分たちの主張や営業政策として)不都合な部分を意図的に落とす」ということも可能ですし「都合の良いところだけを強調する」ことも可能となることは忘れてはならない部分であると感じます。

例えば、先日来話題になっている「ホワイトカラー・エグゼンプション」の報道では、例えば、私が比較的「丁寧に解説している」と感じるものでも
◇ことば…日本版ホワイトカラー・エグゼンプション 労働基準法に基づく労働の時間規制(1日8時間など)を除外し、成果などを基に賃金を支払う制度。米国の制度をモデルにしており、年収など一定の要件を満たす管理職一歩手前の企画、研究職などホワイトカラー労働者を対象に導入を検討。本人の裁量で、例えば繁忙期には連続24時間働き、そうでない時は1時間勤務も可能になる。一方、時間規制がないため、どれだけ働いても残業代は一切支払われない。米国では当初、高所得者のステータスシンボルのように扱われたが、現在はファストフード店の副店長レベルまで適用範囲が拡大されている
(Mainichi-msn-毎日新聞「ホワイトカラー・エグゼンプション:労政審報告に盛る」06.12.27より引用)
といった内容になっています。
しかし、実際の労政審報告の中では、年収などの対象者要件のほかに、導入にあたってのもう一つ重要な側面の要件である
●労使委員会での決議
●週休2日相当以上の休日の確保及びあらかじめ休日を特定すること(罰則付き)
●対象労働者の個別同意+不同意に対する不利益取扱いの禁止

などについて触れられている報道は私の知る限りほとんどありませんでした。

この報道での要件が意図的なものなのかどうかは分かりませんが、「報道(人の目を通す)ことによる情報の切り取り」は日常通常に行われていることを、もう一度認識しなければならないと私は感じます。(ちなみに、ホワイトカラーエグゼンプションに関しての詳細解説については、1/7のエントリをご覧頂ければ幸いです。)

TVに限らず全ての報道(+ブログ等のCGM)には、報道する側の「編集」という切り取り作業が行われているということを、報道する側も受け取る側ももう一度しっかりと考える必要があると私は感じます。

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