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消えた年金:本当に請求できるの?

2007-11-27 | ケンカイ

消えた年金救済、民主修正案成立へ 拒否企業に国が請求(asahi.com - 朝日新聞)


民主党は27日、与党が衆議院に提出している厚生年金の「消えた年金」を救済する特例法案に対する修正案をまとめた。事業主が未払いの保険料の支払いに応じず国が税金でその分を補填(ほてん)した場合、未払い分の請求権を従業員本人に代わって国が取得し、損害賠償を求めていくことが柱。与党も受け入れる意向で、法案は修正の上、近く衆院厚生労働委員会で可決される見通し。今国会で成立する公算が大きくなった。

 「消えた年金記録」の回復の可否を判断する年金記録確認第三者委員会では、「従業員が企業から保険料を給与天引きされていたが、企業が社会保険庁に保険料を納付していなかった」というケースが21日までに300件確認されている。

 与党の特例法案は、法律で定められた2年間の時効を過ぎていても企業に自発的な保険料の支払いを求め、拒否された場合には未払い分の保険料を税金で穴埋めし、被害にあった従業員本人に年金を支給するという内容。

 民主党は「与党案では、支払いを拒否した企業に対する責任追及が棚上げされることになり、国民の納得が得られない」と主張。税による補填が多額にのぼる場合は、国が企業に損害賠償請求の訴訟を起こせるようにする修正案を27日の党の会合で決めた。
(以下略)

“消えた年金”問題、参議院で第1党を取る民主党が強気の姿勢ですが、感情論はさておき、法的視点でいうと「ムチャな法律作ってるな~」というのが率直な印象です。

そもそも、年金については「2年過ぎたので、あなたは過去分の年金保険料を払うことができません」等という理屈が通っていた世界ですが、これですら本来は不思議な「時効」の解釈だと感じてきました。

年金に関する時効については「支払ってください」という国に対して、納付義務を負っている企業が「納付義務はなくなりました(消滅時効の援用)」といって、はじめて「時効が成立」するというのが本来の筋道であるはずです。これを後付けの法律で「納付をお願いする」程度ならまだしも、「納付しなければ損害賠償を請求」となると、ちょっと筋違いではないかと感じます。

この流れで民主党案で成立したとしても、はたしてどこまで実効性があるのか、また、もし実際に裁判となった時に、裁判所がどのような判断を行うのかが非常に興味深いところです。