仕事&研修で、前回エントリから日が空いてしまいましたが、本日は前回のエントリのコメントに対して私の意見をお答えさせていただきます。
その前に、前回エントリで言いたかった「私の論点」の整理をさせていただきます。(あまりうまくまとまっていませんでしたので・・・)
私としては、まず、今回の一連の「社会保険料の不正免除」について「マスコミが騒ぎ立てるほどの“悪行”とは感じない」と考えています。その理由は次の2点に集約されます。
(1)今回の一連の出来事によって、制度設計上余分に国費(税金)が投入されることになるわけではない。
(2)対象とされた人たちは結果として「本来得られるべき利益(=納付の猶予)」が得られたできたこと。
もともと、私は『全国民が強制加入』となる社会保険については、出来る限り得られる利益が最大となるような制度設計・手続設計が必要という考え方を持っています。その意味においては、『申請主義という手続制度』にむしろ問題があるのではないかと私は考えます。
と、論点を整理した上で、全エントリにコメントを頂きましたお二人への回答。
まず、P太郎様からは
とのコメントを頂きました。
私も、今回の一連の出来事には『現行制度上での手続き上の瑕疵』があることには間違いがないと思います。その点においては、このご指摘は確かにごもっともなご意見です。
ただ、一つ考えなければならないのが『制度の妥当性』についてです。私は前述の通り「現行の『申請主義』制度そのものに課題がある」と考えていますし、また、今回の一連の出来事ので実質的に行われたこと(免除・猶予基準を満たしていることが各種資料により確認されたものについて、結果として正しく免除・猶予が受けられたこと)の方がむしろ『社会保険制度の納付手続面におけるあるべき姿』に近いと考えています。
こういった『制度よりも運用の方が望ましい状況にある』といった場合には、『制度に合わせさせる』ことはかえって不利益を生じさせてしまう恐れがあるのではないかと私は感じました。
次は、fujikawa様から頂きました次のご指摘について。
こちらも、今回のケースの場合少なくとも『内心の動機』の面では納付率を“水増し”しようと思っていたのは間違いないと思います。しかし、これが即“粉飾”になるかどうかというと、私は『?』マークをつけざるを得ないと考えています。
通常の意味での粉飾決算は『実体を伴わない(又は実体の正確な表現ではない)会計上の処理を施す』ことによって『利益を過大(又は損失を過少)に表示する』行為をさします。ポイントになるのは『実態と会計処理に不一致(不正確)な点が存在する』というのが“粉飾”の意図するところだと考えられます。
そうすると、今回のケースの場合、たしかに免除・猶予決定に至るプロセスとしては『手続き上の瑕疵』はありました。しかし、これらの決定は“空決定”ではなく『実体としての免除・猶予効果を伴った決定』になります。
また、先ほどもご説明した『免除・猶予基準を満たす人は、等しく免除・猶予を受けられる状況が望ましい』という考え方に基づいて考えると、「真の納付率(本当に納付しなければならない人の中における、実際の納付した人の割合)」を正しく計算するには、『申請さえすれば免除や猶予を受けられる(=本来納付義務が免責されるべき良い)被保険者の数』というは、そもそも『分母から除外』すべき数であるといえるのではないかと存じます。
したがって、今回のケースについては動機は不純だが、実際に行われたことは“粉飾”とはいえないというのが私の意見です。(もちろん、免除・猶予基準にあてはまらない人たちに免除・猶予決定を出していたら、これは『粉飾』でしょう。)
報道での断片的な情報のため、認識が十分でないところはあるかもしれません。しかし、私の意見への賛否はともかくとして、現状の情報の中ではこのような考え方を取ることもできることは「一つの意見の組み立て」として御理解いただけるのではないかと感じます。
また、ご意見をお寄せ頂ければ大変幸いです。
その前に、前回エントリで言いたかった「私の論点」の整理をさせていただきます。(あまりうまくまとまっていませんでしたので・・・)
私としては、まず、今回の一連の「社会保険料の不正免除」について「マスコミが騒ぎ立てるほどの“悪行”とは感じない」と考えています。その理由は次の2点に集約されます。
(1)今回の一連の出来事によって、制度設計上余分に国費(税金)が投入されることになるわけではない。
(2)対象とされた人たちは結果として「本来得られるべき利益(=納付の猶予)」が得られたできたこと。
もともと、私は『全国民が強制加入』となる社会保険については、出来る限り得られる利益が最大となるような制度設計・手続設計が必要という考え方を持っています。その意味においては、『申請主義という手続制度』にむしろ問題があるのではないかと私は考えます。
と、論点を整理した上で、全エントリにコメントを頂きましたお二人への回答。
まず、P太郎様からは
ルールを守れという側の人間がルールを破ったらマズイですよね!!
このようなことをやってると不信感が募って、
猶予されても払う人は増えないのではないでしょうか。
とのコメントを頂きました。
私も、今回の一連の出来事には『現行制度上での手続き上の瑕疵』があることには間違いがないと思います。その点においては、このご指摘は確かにごもっともなご意見です。
ただ、一つ考えなければならないのが『制度の妥当性』についてです。私は前述の通り「現行の『申請主義』制度そのものに課題がある」と考えていますし、また、今回の一連の出来事ので実質的に行われたこと(免除・猶予基準を満たしていることが各種資料により確認されたものについて、結果として正しく免除・猶予が受けられたこと)の方がむしろ『社会保険制度の納付手続面におけるあるべき姿』に近いと考えています。
こういった『制度よりも運用の方が望ましい状況にある』といった場合には、『制度に合わせさせる』ことはかえって不利益を生じさせてしまう恐れがあるのではないかと私は感じました。
次は、fujikawa様から頂きました次のご指摘について。
やったことは、一般企業で言えば粉飾決算でしょう?
これは、ダメだと思いますね・・・。
こちらも、今回のケースの場合少なくとも『内心の動機』の面では納付率を“水増し”しようと思っていたのは間違いないと思います。しかし、これが即“粉飾”になるかどうかというと、私は『?』マークをつけざるを得ないと考えています。
通常の意味での粉飾決算は『実体を伴わない(又は実体の正確な表現ではない)会計上の処理を施す』ことによって『利益を過大(又は損失を過少)に表示する』行為をさします。ポイントになるのは『実態と会計処理に不一致(不正確)な点が存在する』というのが“粉飾”の意図するところだと考えられます。
そうすると、今回のケースの場合、たしかに免除・猶予決定に至るプロセスとしては『手続き上の瑕疵』はありました。しかし、これらの決定は“空決定”ではなく『実体としての免除・猶予効果を伴った決定』になります。
また、先ほどもご説明した『免除・猶予基準を満たす人は、等しく免除・猶予を受けられる状況が望ましい』という考え方に基づいて考えると、「真の納付率(本当に納付しなければならない人の中における、実際の納付した人の割合)」を正しく計算するには、『申請さえすれば免除や猶予を受けられる(=本来納付義務が免責されるべき良い)被保険者の数』というは、そもそも『分母から除外』すべき数であるといえるのではないかと存じます。
したがって、今回のケースについては動機は不純だが、実際に行われたことは“粉飾”とはいえないというのが私の意見です。(もちろん、免除・猶予基準にあてはまらない人たちに免除・猶予決定を出していたら、これは『粉飾』でしょう。)
報道での断片的な情報のため、認識が十分でないところはあるかもしれません。しかし、私の意見への賛否はともかくとして、現状の情報の中ではこのような考え方を取ることもできることは「一つの意見の組み立て」として御理解いただけるのではないかと感じます。
また、ご意見をお寄せ頂ければ大変幸いです。