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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

[マネジメント] ”紙一枚”の工夫改善

2005-06-29 | マネジメント
企業での工夫・改善では、何か大掛かりなことをするというイメージがどうしてもついて回ります。しかし、小さな手元の”紙一枚”を工夫することでも、劇的に作業を改善することが可能な場合があります。

どこの企業でもよくあるのが「出張旅費」の精算です。出張に関する事務手続きでよくあるパターンは次のとおりです。
(1)用務で出張する場合には、「出張申請書」を作成して上長に提出
     ⇒承認後、保管
(2)出張のための切符やホテルを手配(たいてい自力)
(3)出張から帰ってきたら、「出張報告書」と「出張旅費精算書」を提出
(4)申請書と報告書・精算書を突合確認して、旅費を支払い(現金又は振込みで)


このような場合だと、出張した人は「出張申請書」「出張報告書」「出張旅費精算書」と実に3種類もの書類を作成しなければなりません。1枚の作成に5分程度かかり、さらに切符手配等で窓口に出向くのに15分かかるとすると、1回の出張で30分かかる計算です。年収480万(=1ヶ月20日・1日8時間勤務とすれば時給2,500円)の人であれば、1,250円もの「見えないコスト」がかかっている訳です。もし仮に月1回出張に行っているとすれば、一人年間15,000円もの隠れコストを生み出しているわけです。それに加え、内容突合の手間もかかりますので、実際にはさらに多くのコストが発生します。

では、このような場合はどのように合理化すればいいのでしょうか?まずは、上の3つの書類をひとまとめにしてしまうことです。例えば、申請時には、上段の申請書部分だけ記入して承認印をもらい、いったん手元に保管します。出張後の報告・精算の時には、下段に必要事項を記入して提出します。当然上段に書いてあることをいちいち転記する必要はないわけですから、記載内容は格段に減少します。また、1枚の紙に全ての内容が記載Sれていますので、内容突合の手間もかかりません。
さらに、申請部分に「切符手配依頼書」もあわせて記載しておき、事務員が事務的に処理できるようにしておけば、さらにコストは減ります。

このような方策をとることで、今まで手間がかかっていた処理を楽に行うことができます。そうすれば、浮いた時間が”余裕時間”となって、別の力を生み出す源泉とすることができるのです。例えば、この一連の改善で1回20分の時間を短縮できたならば、年間10,000円の”見えないコスト”が投資に振り向けられるようになるのです。

このように、作業の中で別々に起こしていた伝票・帳票類を一まとめにして、”紙一枚のワークシート”にすることで、作業をぐんと楽に進められるようになるのです。一つ一つはほんの少しの工夫ですが、企業の体力このようなところから差がついてきます。”小さな工夫・改善”を生み出す力を持っている企業だけが、成長を続けていくことが可能なのです。