前回更新で紹介しきれなかった
読売新聞『就活ON!』の記事から
続けてインスパイアです。
(ワコールのホームページから)
下着大手「ワコール」人事部長のコメントから
いろんな就活ヒントをもらおう。
※※※
◆説得する力◆
「ワコールが大好きです」と言ってくれる学生は少なくないのですが、その先を知りたい。ビジネスとして売り場を、商品を、どうしていきたいか、そういう説得力が必要です。
◆再チャレンジの力と共感する力◆
女性に愛される「女性共感企業」を目指していることからも、人に共感し、接することができる人間性が必須条件です。失敗をしても、検証してそれを生かすことのできる自立型の人、チームで仕事をする際に信頼関係を築ける人に来ていただきたい。
◆理解する力◆
最近の若い人は、インターネットにキーワードを入れ、情報を集めることには長けていますが、それを取捨選択する能力が、社会では問われます。
(ワコール執行役員人事部長 山口雅史さん)
※◆見出しはtarebonで表記しました。
※※※
読売新聞『就活ON!』2011.7.26記事
たとえばワコールをネット検索したら情報はたくさんあります。
そこからどうやって
自分の説得力(入社の志望動機など)の材料を見つけ出せるか。
「説得力」はどこの企業応募でもポイントになってきます。
そして「他人への共感」と「失敗してもきちんと立ち上がれる力」は
今までの人生経験にプラスして就活で身につけていくのがベストだよ。
★★
ネット情報ではあまり見つからない
ワコールの創業者、塚本幸一(1920~1998)が
松下政経塾で講演したときの講話録を紹介しよう。
※※※
昭和16年の4月19日がいわば、私の第一回の死んだ日です。
その時突然、ダーンと体がはね飛ばされた。靴の先に弾が当たったのです。
軍隊というのは、大きな靴をはかせるのですが、その先端に弾が飛んできて、
ぶつかって、体ごと飛ばされたのです。
その時に、「命をかけて守ります」といって彼女がくれたサンゴの数珠がパッと切れたのです。「あ、死んだな」と思ったら、その日にその女性が死んでいたのです。
※※※
松下政経塾講話録(松下政経塾編:PHP文庫より)
20歳の塚本幸一が戦場で体験した実話です。
塚本には病弱の彼女がいて、戦地に向かうときその彼女から
「命をかけてあなたを守る」という手紙と共に貰ったのが
サンゴの数珠でした。
その数珠が切れた同じ日。彼女は日本で亡くなりました。
彼女が身代りになって塚本の命を救ったのだ。
◆現実の生々しいリアル
※※※
戦争から帰って護国神社へ、まず行きました。
その中で、ガサガサと音がするので、ハッと見たら、何のことはない、アメリカの兵隊と日本の女性です。戦争で日本のために死んだ人を奉ってある神社の境内で、日本の女性が敵国の兵隊とラブシーンをしているということです。
敗戦というものの意味、どういうことが起こるのかという、そのことを痛感させられました。
しかし、それはそれとして、やはりその時代はその時代なりに受けて立たなくてはなりません。
そういうふうに変わった日本の女性というところから、パッとひらめくものがあって、それがいろいろ曲折はありましたが、いまの仕事に結びついたわけです。
※※※
(前掲書から)
塚本の命を守った彼女も、アメリカの兵隊とラブシーンをする女性も
同じ日本人の大和撫子であるという現実が、目の前に訪れたわけです。
塚本がこの現実から何を考えたか?
ということに
これからの就活ヒントを見出していこう。
★★
「必ず日本の婦人は洋装化するだろう」
「洋装化したら、婦人の下着というのは、相当分の市場をつくるに違いない」
「(日本の)女性を美しくする産業である」から
この商売は「日本再建、国家社会のため」である。
★★
※「」内は塚本の講話録(前掲書)から
考えるヒントということにしてワコール創業者
塚本幸一のエピソードを紹介しました。
こういうエピソードは、仮に
知らなくてもワコールに内定はできると思う。
ただこういうエピソードを知っていて
自分が何を、どう感じたか、をまとめておくことは
「説得力」や「他人への共感」や
「失敗してもきちんと立ち上がれる力」
を身につけるヒントになると思うんだ。
★★なでしこ就活★★
平成に活躍する大和撫子たち
女子就活生たちは
大切な勝負をする瞬間(注:就活のことだぞ)
愛する男が戦場で死なぬよう自分の命を捧げたという
塚本幸一の彼女の魂に、静かな祈りをささげてみよう。
物事はなんだって命をかけるような
真剣勝負のほうがいい。
塚本幸一の伝記はいろいろと入手可能です。
松下政経塾で塚本幸一の講話を聴いたのは第一期生のようで、与野党の中堅政治家に育っています。
彼らにはもう一回講話を思い出してもらいたい気分です。
※※
自分は少なくとも自分個人のちっぽけな私利私欲そのもののために、あの多くの犠牲のなかで生かされたのではない。生かされていることを百パーセント意義あらしめるような、そういう何かをしなきゃならないんだ(塚本幸一)
※※
塚本は自分の命が彼女や、無数の偶然に助けられて生かされてきたことをこのようにうけとめました。
(自分が)生きていることには必ず使命があり、役目があり責任があるのだ。だから百パーセント意味のある生き方をせよ。
(tarebonの解釈)
塚本の場合、(おそらくですが)
「亡き彼女に報いたいという男としての心情」と、
「神社でのアメリカ兵と日本女性のセックスシーン」
という
「男女の暗示的なインスピレーション」が結びついて
「洋装化する日本女性の下着を作る」という直感が働いたようです。
人生にはいろんな出来事が、ある一点で結びつく瞬間があります。
そのことを予感していろんな経験を相互に結びつける感覚を研ぎ澄ましていると、チャンスも必ずやってきます★
「どんな経験も、いつかは必ず役にたつ」という証拠を、いろんな伝記から見つけてみよう。