コロナで貧しくなる女性たち。50代以降はさらに深刻に<コロナ貧困>
新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている
。なかでも、生活苦におちいる女性が急増している。そんなニッポンの貧困のリアルを取材した。
非正規社員が多い女性たちの困窮
厚労省の調査では、男性の給与のピークが55~59歳で42万円に対し、女性はピークが50~54歳で27.4万円。
その差は14.6万円と大きい。
シングルマザーの2世帯に1人が貧困という調査もあり、女性というだけで困窮に陥りやすい実態がある。
ノンフィクションライターの飯島裕子氏は「今回のパンデミックは、貧困女性をさらに追いつめていきました」と実情を語る。
「時短営業や休業によって、飲食や宿泊などサービス業や小売業は大打撃を受けましたが、これらの業界には女性就業者が多く、
非正規比率も高い。賃金も最低賃金レベルであることが少なくありません。
彼女たちは雇い止めに遭ったり、シフトを減らされたりしても、
休業補償を満足に受けられていないのが現実」 「女性の社会進出が進んだ」と喧伝されているが、実態はどうか。
「女性の労働者で増えたのはサービス業の非正規雇用ばかり。男女間、正規/非正規間の賃金格差は大きいままです。
一人暮らしや母子家庭の女性がコロナ禍で生活を維持していくには、依然厳しいのが現状です」
ギリギリまで生活苦に耐えてしまう
さらに女性の場合、男性とは異なる貧困の傾向が見られるという。
行政書士の三木ひとみ氏が語る。
「女性の場合、困窮してもギリギリまで耐えてしまう。
背景には、パパ活や性産業などが、ある種の“セーフティネット”として機能してしまうことが考えられます」 しかし、
その頼みの綱さえも、コロナで「夜の街」が感染源のごとく名指しされ、若い女性ですら満足に働けなくなった。
「心身ともにすり減らしながら性産業に従事するのなら、生活保護を受けたほうが明らかに健全です。
コロナ禍で生活保護の申請件数が増加したことを受け、以前よりスムーズに保護を受けられるようになっています」
中高年女性の貧困は、取り残されたまま…
母子家庭には「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」など政府の支援も増えているが、
「50代以降の中高年女性の貧困は、取り残されたまま」と飯島氏は指摘する。
「’20年11月には幡ヶ谷のバス停で、64歳のホームレス女性が殺害された事件が起こりました。
報道では大きく取り上げられましたが、具体的な政策にはいまだ結びついていない。
この世代はネットに疎(うと)い人も多く、当事者の声も可視化されにくい。
またシングルマザーが児童扶養手当や単発の仕事でなんとか子育て期を終えても、
キャリアを積み重ねていなければ晩年になって本格的な貧困に突入してしまう懸念があります」
週刊SPA!が過去に取材した、貧困に苦しむ女性たちにコンタクトを取ると、彼女たちは“負の連鎖が積み重なった”過酷な現実に沈んでいた――。