出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

見本の行き先

2005年05月12日 | 発売前
EDITOR NAVIさんのブログに、献本が古書店で売られていたという悲しい話が。。。

似たような話で恐ろしいことを昨日聞いた。新刊を出すときの見本納品。国会図書館なんかに行かないことは知っていたけど、それより恐ろしい話。

その前に、見本納品といえば、1年前くらいまではきかれなかったことがある。

「献本でよろしいですか?」

初めてきかれたとき「伝票ありますか?」ときかれて、何のことかわからなかった。見本は「あげる」もんだと思い込んでいた。なんだよ~、買う気あるなら最初から言ってくれと思ったけど、その日は当然伝票なんて持ってない。

でも、つい最近の見本納品のときも、献本のつもりで伝票は持っていかなかった。というのも、売っていただくんだから、商品サンプルをタダで提供するのは当たり前と思うから。なぜ4冊も…と思わんでもなかったが、あちこちの部署に行くもんだと想像してた。

それに、ホラ、新刊のときってドサーッと本が来るから、周りに気前よく「読んで、読んで」と配ったりしてて、あんまり気にしなかったのだ。(最近はそんなことない。宣伝用は別として、ちゃんと買っていただく)

ところが昨日聞いた話では、見本が返本されてくるという! 残念ながら書店から返ってくる本はしょうがないが、それと一緒に!

よく考えたら、1日300冊を超える新刊が出て、それぞれ4、5冊の見本が提出されるんだから、取次には毎日1000冊を軽く超える本が持ち込まれるということ。じゃまに思うだろうくらいのことは、想像するべきだった。

それも、ただブツが返ってくるだけじゃなくて、返品伝票にその数がきちんと含まれていて、当然計算書でもマイナス数字で入ってくるってこと。仕入れてないのに、引いてくるとは何事だ!

おまけにうちなんか初回配本数が少ないから、4冊だけでも返品率に影響を及ぼす。

勘弁してほしい。

そのことを教えてくれた人は、献本のしるしをつけると言っていた。で、おじさんがドサーッと持ってくるときに、しるしがついた本は受け取らないと言い張るらしい。

いいことを聞いた。うちも今度からマークかなんかつけてやる!

3 コメント

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人からもらったものに限って (タミオ)
2005-05-16 10:25:36
Cafe Wienさん、tyokutakaさん、コメントありがとうございます。



確かに、いっぱい献本を受ける人たちって、処分に困るかもしれませんが、それにしたって処分のしようってものがありますよね。



パブ関係はしょうがないとして、買ってもらおうと思ったのもそこでした。
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出版社の献本をはじめて知りました (tyokutaka)
2005-05-13 11:33:58
こんにちは

よく大学の先生方が、自分の書いた本を友達の所へ送ったりしますが、その本に必ず入っていたのが「献呈」の短冊。一度無理やり授業用に買わされた本にも献呈の短冊が入っていて、閉口したこともありました。しかし、人間、人からもらったものに限って大切にしないのも事実。京都大学の校舎の北側に古本屋がありますが、ここにもたくさんの「献呈」の語の入った本が並んでいました。

やれやれ

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愛情込めてハンコを押します (Cafe Wien)
2005-05-13 00:13:07
EDITOR NAVIを運営しております、Cafe Wienです。この度はトラックバックを有難うございました。



実はうちでも、献本ということが一目でわかるように以前からハンコを用意してはあったのですが、なんだか本を汚してしまうようで、自分はこれまで使わずにきていました。



でも今回のことがあって、私も同じく、 「今度からマークかなんかつけてやる!」 って気持ちでいっぱいです。ハンコ、ハンコ、ハンコって、いっぱい愛情を込めて押してあげようと思います。
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