出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

ありがたいコネ

2007年08月21日 | 出版取次口座の取得
最近、このブログへのアクセス数が多くて、ちょっと怖い。もちろんあの本の影響でありがたいことなんだが、妙に緊張もしてしまう。

が、最近会った大きな書店のえらい方から、「今度は日付と実名を挙げて書け」と励まされた(?)。本でさえそうなんだから、もうこのブログも開き直っていいってことかもしれない。

そのえらい方を訪問した理由は、直取引のお願いである。アマゾンのあれやこれやから始まって、3ヶ月ほど前に大阪屋に取引開始の申込をしたんだが、埒があかない。それなら…ということで、行ってみた。もちろん、えらい方に会えたのには理由があって、あの本でお世話になっている晶文社さんに紹介してもらったからである。

ちなみにアマゾンサイドとの経過を報告すると、「定型文じゃなくてちゃんと返事をくれる」部署であるなかみ検索の担当の人と、ちょっとやりとりできた。が、やはり行き詰った。「今度からトーハンからの書誌データが漏れないように、注意します」と言ってくれたが、4月に出した本をその人に登録してもらうのは無理のようだった。ついでに言うと、e託へのお誘いが相変わらず来る。ベンダーセントラルは、意味のないことしかできないIDをもらって、そのままになっている。

で、大阪屋だが、最初の頃窓口の人に数回電話したが、「こっちから連絡するまで待て」みたいな返事だった。

私は、そう言われるとしつこく電話できないタイプである。大阪屋の別の人から「どれだけ熱意があるのか知りたい。ない人は相手にしない」と聞いていたが、どうもその気になれない。が、今回は今までと違って「ぜひとも取引を…」という気だったので、いつもの私よりはしつこかったと思う。

しつこく電話してお願いすることは、その別の人からすると熱意の表れなのかもしれないが、私はなんとなくそういう泥臭いのは嫌いなのである。人間的には泥臭いが、商売となると「過程より結果」と思ってしまう。「何度もしつこく頭を下げる」んじゃなくて、「ダメな理由を教えてもらって、ただちに対応策を練って再度申し込みする」というように動きたい。

ついでに言うと、「忙しいから週に1回電話してみてくれ」というのであればする。もっとついでに言うと、「こちらから連絡する」と言っておいて連絡しない人はあまり好きじゃない。熱意だけじゃなくて力関係もあるんだろうが、それなら「週に1回…」と言えばいいと思う。

で、話は戻ってその直取引を申し込んだ大きな書店だが、自店でのうちの本の動きを調べたりいろいろ話をした結果、「やはり大阪屋で口座を…」ということになった。「規模から考えて直取引は面倒、だから自分はいいけど現場が嫌がる、なんでかっていうと取次口座がまったくないならまだしもトーハンがある」からだという。

なんか、いろんなところで「取次は大手二社だけ」という状態が妙な影響を及ぼしている気がする。最初の頃は「珍しいケースでいいじゃん」なんて気楽に考えていたが、変に妬まれることも無きにしも非ずだし、こういうことにもなる。もちろん、全体的に考えれば非常にありがたいことで常に自覚もしているんだが、なんか上手くいかないこともある。

で、大阪屋も望みを断たれたっぽいし直取引もダメかと思ってガッカリしていたら、驚きの展開になった。なんと、大阪屋に話をしてくれるという。ま、「プレッシャーかけたろか」というのは冗談で、「どうして何度も断るのか、理由を探ってみる」くらいのことだと思う。

でも、もし冗談じゃなかったら?? 昔、大阪屋の人から「ジュンクやブックファーストから御社と取引してくれと言われたら考えますけどね」と言われたことがあるし、出版の本などに「書店に口添えしてもらって、うんと言わせる」ケースがあるとも書いてある。

もし、そのえらい方のおかげで話がまとまったら、きっと複雑な気分になると思う。もちろん嬉しいけど、「結局、この業界はコネですか」みたいな。いや、ありがたいんですが。。。