青春の時(2024.7.29日作)
哀しみは何時も深く長い
喜びは何時も短く過ぎて行く
おお 青春 青春の時よ
せめて今 喜び溢れ
歓喜の横溢するこの時
精一杯 自分の今を生きるがいい
老いは長く 青春は短い
人の世の終わりが何時も 哀しみ
悲哀で彩られ
涙と苦悩で染め抜かれるものなら
今 光り輝く青春の時 わが青春
この時を精一杯生きて
生きるがいい
人の一生は短い
刻一刻 時々刻々 刻み取られ
削り取られてゆく人生の時
時は一刻一秒 止む事なく
ただ過ぎて行く
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<青い館>の女(1)
(1)
「社長、若くてピチピチしたいい子が居ますよ。ちょっと寄っていって下さい。たった一万円、一万円でいいんですよ。それで気に入れば、一晩中でも相手になってくれますし、社長に迷惑を掛けるような事は絶対にありませんから」
夜の深い霧の中から突然現われて若い男は言った。
港の遠い何処かで霧笛が鳴っていた。
わたしは男の言葉も無視して歩いた。
わたしの眼の前には白い霧の流れがあった。
あらゆるものを包み込んで流れる霧は総ての物を見えなくするとたちまち薄い流れになって再び街の姿を垣間見させた。
「ほら、あの店なんですよ。あそこに<サロン 青い館>ってネオンサインが見えるでしょう」
男はわたしの身体を抱きかかえるように身を寄せて来て言った。
北の街の白い霧に濡れて、夜の中に青い灯りが点滅しているのが見えた。
時刻は午後九時にもならなかったが、整然と街路樹の立ち並ぶ石畳の通りには人影もなかった。
北の街の夜は更けるのも早いのだろうか、あちこちのネオンサインだけが 暗い建物の影を映して霧の中に瞬いていた。
「高級な店なんで若い客もいないし、落ち着いて遊べますよ」
白いシャツに黒の蝶ネクタイ、黒いズボンの男はいかがわし気な仕事柄にも係わらず、何処か実直そうに見えるのが可笑しかった。
「いい子が居るっていうのに嘘はないのか ?」
わたしはそんな男にふと、悪戯心を刺激されて少しの酒が入った勢いで言っていた。
「ええ、嘘なんか言いませんよ。騙されたと思って兎に角入ってみて下さいよ」
男はわたしが承知をしたものと思ったらしく、気負い込んで言うとわたしの身体に腕を巻き付け、強引に狭い入口の階段のある場所へ導いた。
背後から男に支えられる様にして十段程の階段を降りた。
眼の前には入口の上に青い豆電球を点して薄汚れた黒い扉があった。
「此処なんです。どうぞ」
わたしの顔を見て男は言った。
わたしはこの時初めて、からかい半分の冗談を言った事を後悔した。
わたしには女達のいる店を探す気などまるで無かった。わたしが会長を務める<スーパー・マキモト>の新店舗開店祝賀会会場からの帰り道だった。
わたしは今年、四月を過ぎて六十二歳になっていた。
わたしの上着の内ポケットには常にニトログリセリンの舌下錠が忍ばせてあった。
まさかの心臓発作に備えてのものだった。
主治医は慢性の心臓疾患をわたしに宣告していた。
現在、日々の活動にさしたる支障はなかったものの、その宣告はわたしの心の中では無意識裡の負担になっていた。
「変だと思ったらこの錠剤を口に入れて下さい。言うまでも無い事ですが、激しい運動などは控えて下さい。運動に限らず、心臓に負担の掛かる様な行為は何事であれ控えた方がいいですよ」
医師は言ったが、言外に女性関係に付いて警告している様にしかわたしには受け取れなかった。
主治医に言われるまでも無い事だった。
わたしは既に女性への興味を失くしていた。
命に対する不安と共に肉体的機能もまた失われてしまっていた。
現在、わたしは自分を抜け殻の様に感じていた。
時として、その不可能性がわたしに奇妙な解放感をもたらす事が無いではなかったが、何れにしてもわたしは過去に重ねて来た幾多の女性関係も今ではすっかり解消してしまっていた。
虚無の思いだけがわたしには深かった。
当然それは、わたしが生きて来た過去と無関係ではあり得なかった。
わたしと妻との関係、会社に於けるわたしの立場。
わたしは妻の父が創業した<スーパー・マキモト>の仕事に大学卒業と同時に係わって来た。
それは一見、恵まれた事の様でもあったが実際にはわたしは、自分が牧本家の奴隷以外の何ものでも無いと思う事がしばしばあった。
屈辱感の中で煮えたぎる思いと共に一切のものを投げ出し、会社を離れ、妻と妻の父の下を離れて自由で身軽になりたいと思う事も数知れずあった。
今日までそれを実行せずに来た裏には、会社禅譲への期待があったからに外ならなかった。
今日、わたしは<スーパー・マキモト>が関東、東北地方を離れて初めて北海道へ進出した記念のパーティーに出席した。
開店を明日に控えてのパーティーは地元の有力者も交えての盛大なものだった。
会長のわたしは支店長を始め、町長や町会議員、地元経済界の人達の至り尽くせりの歓待に音を上げたい程だった。
地味な漁港街の、それも街の中心地から遠く離れて忘れられた様な土地柄では大手スーパーが進出して来る事も無くて、地元の期待はそれだけ大きかった。
「これで、ちょっとした買い物の為にわざわざ二百メートルのトンネルを抜けて、隣り町まで行かなくても済む様になりました。それに、この大型店に地元で獲れた鮮度のいい海産物を置いて戴ければ余所の町からのお客さんも呼び込めますからね」
七十歳に近いと思われる町長はウイスキーの水割りグラスを手に上機嫌でわたしに言った。
わたしはだが、一つの支店が開店に漕ぎ着けた満足感の中でも奇妙に胸の中にわだかまる一抹の寂しさを感じていた。
既にわたしは経営の第一線から退いてしまっている。
この北のはずれの街への進出も義父の死と共に社長に就任した、わたしの息子が計画し実行したものだった。
ほぼ、三年前からこの様な形が形成されていた。
それはわたしが心臓疾患を意識する様になった歳月と重なり合うものだったが、実際には心臓疾患と人事とはなんの関係もなかった。
妻や、妻の父親が描いた筋書き通りに総てが運んだ事の結果に依るものだった。
ーーわたしは会長に就任して社長の後見人になる。
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takeziisan様
有難う御座います
白馬三山 4 きれいな絵に思わず見入ってしまいました
この山々の美しさと冷え冷えとした空気 登山愛好家が
魅せられる気持ちが分かります
今朝もNHKで放送していましたが同じ山に百回登ったとか
いろいろな話題を取り上げていました
それにしても鎖場 力業ですね
力業と言えば千メートル泳ぐ まだまだこれから
体力気力 充分 傍目にはそう拝見出来ます
腰痛に負けず是非 頑張って下さい
頭脳も肉体も使わなければ退化するだけです
ジミー時田 池真理子 懐かしいですね
バッテンボー 昔が蘇ります
ジェイムス デーン モンロー
帰らざる河 このモンローは良いですね
ジャイアンツの デーンとテーラー 一世を風靡した二人も
もう居ない なんだか 総てが夢の様です
現実はうそ寒い 今の世界に華やかさを感じる事が出来ません
総てがお手軽な世界になってしまった様な気がします
それにしても今はこうして手軽に過去をかえりみる事が出来る
手軽になったと同時に便利さも感じます
一面の進歩と一面の退歩 これが現実と言うものでしょうか
有難う御座いました
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