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遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(542) 小説 <青い館>の女(31) 他 神は心に

2025-04-06 11:13:13 | 小説
              神は心に(2025.3.20日作)



 全知全能の神など 
 存在しない
 神とは何か 真理だ
 真理とは何か 心だ
 心とは何か 人間だ
 人間とは何か 自己だ
 自己とは何か 他者だ
 他者とは何か 自己だ
 自己が他者 他者が自己とは何か
 人間は一つ 人間は一つとは何か
 人は総て同じ形態の生き物
 総てが溶け合う
 溶け合うとは何か
 他者の痛みは自己の痛み
 自己の痛みは他者の痛み
 他者の喜びは自己の喜び
 自己の喜びは他者の喜び
 人の心に変わりは無い
 他者は自己 自己は他者
 他者を愛す事は 自己を愛す事
 他者への憎悪は 自己への憎悪
 その真理
 人それぞれの心の裡に
 自覚を促す存在 神
 全知全能の神など 存在しない
 豪華絢爛 飾り立てた教会に
 神など居ない
 人 その人自身の心の中にのみ
 存在し得る 神
 自身が 自身の心の裡で育む存在 神
 全知全能 頼り得る神など
 何処にも居ない
 豪華絢爛 飾り立てた教会に
 神など居ない




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               <青い館>の女(31)




 
 二人で入った湯船は小さかった。
 わたしは自ずと触れて来る加奈子の肉体に手を延ばし、加奈子もまた、わたしの身体に触れて来た。
 小さな湯船はだが、わたし達の自由な行動を阻んでいた。
 わたし達は裸のままベッドに移ると改めて身体を寄せ合って横たわった。
 わたしはだが、その時、早くも兆して来る何時もの喉元を締め付けられる様な感覚を感じ取っていて、途端に委縮する気力を意識した。
 加奈子に向けられた熱い思いも同時に冷えて早くも、微かな怯えにも似た不安が意識の総てを覆っていた。
 わたしは心此処に在らずの思いのまま、加奈子の肉体に触れていたが、その手はためらいがちなものになっていた。
 加奈子はそれでもなお、熱心にわたしの肉体に触れて来て、その行為に没頭していた。
 わたしは気を取り直し、加奈子の肉体に没頭する事だけを意識した。
 加奈子はその中で何度か熱い思いを滾(たぎ)らせ、身を反らした。
 ーーわたし達が眼を醒ましたのは明け方近くだった。
 加奈子はわたしを見ると微かに恥ずかし気な笑顔を見せた。
 わたしはその加奈子を抱き締め口元に顔を寄せていった。
 長い抱擁の後でわたしは加奈子を離した。
 加奈子はわたしが依然として不可能だった事にも不満の表情一つ見せなかった。
 わたしはその日、加奈子が店へ出る時間の少し前までの時間を加奈子の部屋で過ごした。
 その日の目覚めが遅かった事もあるが、わたしに取っても何も予定の無い一日だった。
 加奈子は店へ出る時間が迫って来ると、
「わたしちょっとぉシャワーを浴びて来ますねぇ」
 と言ってベッドを降りた。
「わたしも一緒に浴びて来よう」
 二人並んでシャワーを浴びても身体を触れ合う事はなかった。
 浴室を出て出勤の身支度をする前に加奈子はわたしを見て何かの言い訳の様に言った。
「ちょっとぉ管理人さんの処へ行ってぇ、昨日、おじさんが東京から来ているからって言って来ますねぇ」
 その様子にわたしは、
「管理人は煩いの ?」
 と聞いた。
「そんな事ないですけどぉ、でも変に思われると嫌だからぁ、ちょっとぉ、断って置いた方がいいかなあって思ってぇ」
 別段、気にする程の事でも無い様に加奈子は言った。
 その言葉に反応する様にわたしは聞いてみた。
「この部屋は賃貸なの ?」
「そうですょぉ」
 当然だという顔で加奈子は言った。
「家賃は幾らなの?」
 別段の興味もなくわたしは聞いていた。 
 自然に口を出た言葉だった。
 加奈子はその問には、
「八万円なんですよぉ」
 と言って拘る様子も無かった。
 その値段が安いのか高いのか、この地方の事情に疎(うと)いわたしには分からなかった。 
 それでもその時、わたしの意識の中にはふとした閃(ひら)きと共に浮かび上がって来る一つの思いがあった。
 その思いと共にわたしは言っていた。
「今、ちょっと思ったんだけど、今度から会う時にはこの部屋で会う様にしてくれないか、そうすればわざわざホテルへ行かなくても済むし、落ち着いて君とも会える様な気がするんだ。勿論、ホテル代に使っていたお金は君に上げるよ」
 突然の思い掛けな言葉に加奈子は当然の事ながら、驚いた表情を見せてわたしを見詰めた。
 その加奈子にわたしは重ねる様にして言った。
「管理人には、おじさんが仕事の都合で月に一度ぐらい、東京から来る様になったのでとでも言って置けばいい」
 加奈子はそれでも決心が付き兼ねる様子だった。
 わたしは更に言葉を重ねて言った。
「どうだろう、そうしてくれないか。そうすればわたしの方も傍目を気にする事も無くて気苦労が少なくて済む」
 その言葉に対して加奈子は初めて口を開いた。
「今までの十万円の他にホテル代のお金もくれるんですかぁ」
 金銭に引き付けられる加奈子の心のうちが垣間見える気がした。
「うん、二万円とちょっとだから、三万円を上げるよ」
 加奈子の気持ちを煽る様にわたしは言っていた。
 加奈子はそれで漸く、不承不承ながらにもわたしの提案を受け入れる気になったらしかった。
 黙って小さく頷いた。
 加奈子にしてみれば、煩くは無いと言ってもやはり、管理人の眼は気になるに違いなかった。 
 もしもの事を思う気持ちは充分理解出来た。
 それでもわたしはその方がより強く加奈子との結び付きが得られる思いがしていて、その気持ちに動かされていた。
 或いは、わたしのこの様な行動は他人から見たら恐らく、愚かで馬鹿げた行動に思えるに違いなかった。
 たった一晩のうちに二十歳を少し過ぎた位の特別な魅力がある訳でもない一人の女に、次から次へと途方も無い金を注ぎ込んでゆく。
 恐らく、世間一般、多くの人達に取っては多分、小遣いでは済まされない金額に違い無かった。
 それだけの金額でひと月の生活費を賄うわたしと同年配の人達も数多く居るに違いない。
 無論、わたし自身、それは承知の上での事であった。
 しかし、それでもなお、そうしなければいられない気持ちがわたしの心の裡には鬱積していた。
 伊達や酔狂で済まされる事では無かったのだ。




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                takeziisan様


                 有難う御座います
                漸く春の気配 我が家の近くのそれなりに大きな公園の桜も
                今 満開です
                今年は雨の日が多く 心配しましたがそれでも頑張ってまだ散る
                事も無く華やかな彩りを添えています
                 画面上に見る花々 春の気配 心もほのぼのとした思いに誘われます
                 モズの生け贄 子供の頃 良く見た風景です
                あの頃過ごした自然の環境を懐かしく思い出します
                 それにしても雑草の力強さ 驚きです
                三日見ぬ間の雑草かな というところでしょうか
                バイモ 初めて知りました スズランの様にも見えて来ます
                 痛っ 痛っ 愚痴りながらも続ける散歩
                どうぞ 頑張って下さい 人間 動かなくなったら終わりです 
                畑仕事も 多分 年々 苦痛になって来ると思いますが
                どうかこのブログの為にも頑張って下さい
                良き収穫の品々 楽しみにしております
                 有難う御座いました

                  
                 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 




















































 
 
 


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