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遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(543) 小説 <青い館>の女(32) 他 語れない

2025-04-13 11:46:18 | 小説
             語れない(25.3.15日作)



 真に物事を理解する人は 寡黙だ
 物事の本質は言葉では語れない 深奥に
 潜んでいる
 その本質を理解するには 何事に於いても
 正面から真摯に向き合い
 行為 行動 その中で 一枚一枚
 本質を覆う ベールを剥いでゆくより 方法は
 無い
 たゆまぬ努力 探求心 による 行動 それがやがて
 物事の本質 その真実を
 垣間見させてくれるだろう
 本質を掴む
 言葉や理論 理屈より 感覚
 感覚で 物事の深奥 そこに潜む
 本質を掴み取る
 言葉での理解 その理解の 稀薄さ 脆弱さ
 物事総ての本質は 感覚の中でしか
 掴み得ない
 感覚で掴み取る本質 その
 堅固さ強硬さ
 物事 総てに於いての真の理解は
 此処に在る
 



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               <青い館>の女(32)



 
 
 わたしの人生、或いはわたしの宿命、わたしが現在置かれた立場に向けての無意識的報復にも似た思いが込められた金でもあったのだ。
 現在、わたしは趣味という趣味を持っていなかった。
 ゴルフも止めた。
 スキーも止めた。
 忙しさにかまけてスキーは何十年来、手にしていなかった。
 まして、体調を崩してからのわたしには、昔取った杵柄などという言葉も通用しなかった。
 スキーと言う言葉に未練を残す事さえ無かった。
 むしろわたしは、妻との出会いを連想させるこの言葉に、かつての卑屈だった自分を思い浮かべて嫌悪の感情すら覚えるのだ。
 他人は体調を崩してからのわたしに向って、
「のんびりした時間の過ごせる釣りなんかいいんじゃないか」
 或いは、
「金があるんだから、絵画の収集なんかしたらどうだい。絵が好きなんだしさ」
 などと言ったりする。
 馬鹿げた話しだ。
 わたしの財産などでどれだけの名画が買えるというのか。
 明日の命さえ分からない様な人間が、一枚や二枚の名画を手に入れてそれが何になると言うのか !
 名画など美術館へ行けば好きな時に好きなだけ見られる。
 わたしは競馬や競輪など、賭け事は一切しなかった。
 貧しさの中で育ったわたしには、賭け事に使う金などは無くて、その習慣が身に付く事も無かったのだ。
 パチンコさえわたしはしなかった。
 効果の読めない行為はわたしに取っては、無駄以外の何ものでも無かった。
 その点で、義父はわたしを買っていた。
 義父が何かに付けて文句を言いながらも、わたしを<マキモト>の社長の座に据えたのも、娘婿という立場以外にそんな事情が関係していなかったとは言えなかった。
「あいつなら、財産を食い潰す様な事は無いだろう」
 わたしの堅実さが義父の眼には優柔不断に見えたとしても、それがかえって御し易く思えたに違いないのだ。
 だからと言って、わたしが全く浪費をしなかったかと言えば、そんな事は無かった。
 各地の支店を廻る時にわたしの浪費が行われていた。
 女性に注ぎ込む金だった。
 特定して囲い込む女性は居なかったにしても、各地に行き付けの料亭、バーやクラブ等があって、それなりに親しい女性達が数多く居た。
 その関係はわたしが体調を崩すまで続いていた。
 わたしに取ってはその時得られる時間だけが唯一、自分を解放出来る時間であった。 
 更にまた、多年に渡って積み重ねられて来た、妻や義父に対する鬱憤への意識するともない反発でもあった。
 そうしてわたしは長年、心の平衡を保って来たのだ。
 何時かはきっと、完全に<スーパーマキモト>を掌握する日を夢見ながら。
 だが、今のわたしにはもう、その夢も無い。
 現在、妻や妻の母親が<マキモト>の株式の大半を握っていて、息子がわたしに代わって会社を仕切る様になっていた。
 問題は、そこに有るのではなかった。
 何よりもまず、わたしの体調不良がわたしの気分を滅入らせるという点にあった。
 わたしはまるで、手足を縛られた奴隷の様にわたし自身を思う事がある。
 自分の意志のままに動く事が出来ないのだ。
 少しの行動違反で警告が出る。
 その警告を恐れてあらゆる行動の前で躊躇する。
 尻尾を巻き、頭を垂れて引き下がる負け犬の様に背中を見せて引き下がる。
 息を潜めてひっそりと生きる。
 引退の人生。
 わたしはまだ、六十歳を少し過ぎたばかりなのだ。
 まだ若い。
 意欲は少しも衰えていない。
 まだ、何かが出来る年齢なのだ。
 しかし、何も出来ない。
 眼の前に見えて来るのは、人生の境界線とその向こうにある虚無だけだ。
 わたしは考える。
 わたしが生きて来た意味は一体、何んだっんだろう。
 今のわたしには何も無い。
 最早、抜け殻だけをわたしは生きている。
 それだけの存在なのだ。
 その中で出合ったのが、北の街に住む加奈子だった。
 その加奈子がわたしに微かな生の息吹を吹き込んで来る。
 何故なのか ?
 わたし自身にも分からない。
 特別な魅力に溢れた女性でも無かった。
 極めてありふれた、街中などでよく眼にする二十歳前後の女性達となんら変わる事の女性だった。 
 その加奈子がわたしに微かな生の息吹を吹き込んで来る。
 その女性に更なる蘇生を求めてわたしは法外とも言える金を注ぎ込んでゆく。
 法外とも言えるその金がわたしに取っては、わたし自身の抱えた宿命への報復で無くてなんであろう。
 加奈子がわたしを受け入れてくれた事が既に希望であった。
 その希望に縋ってわたしは生きる事が出来る。
 その為にわたしは、この北の街へ来るのだ。

 加奈子が部屋を出たのは四時過ぎだった。
 すっかり身支度が整い、外出する段になると加奈子はそっと窓辺のカーテンに近寄り、慎重に警戒しながら窓の外の状況を窺った。
 すぐに安心した様にカーテンから離れた。
「どう、居なかった ?」
 わたしは聞いた。
 加奈子が男の存在を気にしている事は明らかだった。
「ええ、居ないみたいです」
 加奈子は言った。

 


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                  takeziisan様


                   春の気配
                  身体も動いて来ます それでも
                  花の命は短くて・・・
                  老木は後何年 ? 迎える時を数える年代になりました
                  花びらながれ・・・
                  流れゆく時は一瞬のためらいも残さず過ぎてゆく
                  散りゆく花の命のはかなさ
                  昨日 今日 既に散った桜で道が彩られています             
                  美しい桜並木もひと時の夢と化して間もなく
                  五月 若葉の季節となるのでしょうね
                   今回も山の景色 楽しませて戴きました
                  富士山の美しさ 霊峰と崇められる理由も
                  分かる気がします
                  近頃の富士山噴火の予測 ちょっと厭な気がします
                  せめて自分の生きている間は穏やかであって呉れ
                  と願う気持ちです
                  噴火があれば多分 あの美しい形態も失われる事でしょう  
                   高山の天辺 岩の上に立つ人々
                  多分 その爽快感には山の経験の無い人間には
                  想像も出来ない達成感があるのでしょうね
                  その気持ちだけは理解出来る気がします
                   年金時代 上手いですねえ
                  こうして笑えるうちはまだ良いのですが
                  最近の物価高 米不足 どうにかしてくれよ !
                  年金暮らしにはその思いだけです
                  政府の無策無能さ 腹立たしい限り
                   歩け 歩け ついつい 自転車に乗ってしまいます
                  何しろ 年中 時間に追い掛けられている様な気持ちで
                  日々を過ごしているものですから
                  それでも 毎朝 身体を動かす事は欠かさずしています
                  身体も頭も使わなければ錆び付くばかりだという
                  思いがありますので
                   今回も楽しませて戴き いろいろ
                  考えさせて戴きました
                  有難う御座いました
                   
 

                  
                
                  
            



    
 
 



 


















































 
 
 

 
 

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