朝、いつもと違う駅へ歩く。
このあたりは古い農村だったので、今でも車が入れないような、細い道が残っている。
そんな道を見ると、つい入ってみたくなる。
ちょっと遠回りになるんだけれど、入ってみたら、どこからともなく良い香りが。
振り返ってみると、古い蔦の絡まった、土蔵のような家の庭に、大きなロウバイの木が2本。
それがなんとも言えない高貴な薫りをあたりに振りまいている。
蝋梅をはじめて知ったのは結構おとなになってからだった。
不思議な花である。
まるで蝋のような梅。梅とは言うものの、黄色いし、
枯れ木についた飾りのようにも見える。
それがなんとも言えない良い香りなのだ。
私の中では一番くらい、好きな薫り。
小さい頃、祖母がお花を教えていたのでたくさんの花がいつも家のどこかにあった。
母もいつも花を生けていたし、庭には花が咲く木が何種類もあった。
でも、薔薇のたぐいはなかった。
それでかも知れないが、今も好きなのは、水仙のようなさわやか系の香りの花。
薔薇の香りはあまり好きではない。
特に薔薇の薫りをつけた化粧品などは嫌いかも。
鈴蘭も、日本の種類のものは好きだが、ジャーマン系のものは香りがきつすぎる気がする。
これは、小さい時の香りの記憶によるのかもしれないと、
道いっぱいに広がった蝋梅の香りに包まれながら思った。
蝋梅の香りは水仙などと同じ種類の香りだもの。
通勤途中のほんのちょっとした考え事。