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無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

無名会6月~7月

2012-07-22 22:30:54 | Weblog

無名会6月~ 7月     2012年7月22日発行

高幡不動のあじさい

 

    二十韻「子の声の」

  子の声の三階あたり梅雨晴間        古賀直子
   窓いっぱいに湧く夏の雲         玉木 祐
  リバイバル西部活劇映画観に        坂本統一
   私の趣味は乗馬と射撃          藤尾 薫

  月照らす女王陛下の船下り           直子
   ロンドン橋を歌い梶の葉            祐
  七夕の踊りに逢いしが初めにて         統一
   宇宙のどこか火の鳥の棲む           薫
  大好きなラピュタの城の冒険を          祐
   飲み過ぎ注意法螺を吹く癖          直子
ナオ
  郷里の母息子に送る寒卵             薫
   祖父の戒名冬の月居士            統一
  デジカメの猫の絵葉書好評で           祐
   方位占い南東が吉              直子
  勝負する桐生お召でいざ見合い          薫
   筋肉隆々スマートな彼            統一
ナウ
  たっぷりの雲呑麺でボランティア         祐
   耕す人に交じり勢出す            直子
  花びらを受けて嬉しき花万朶           薫
   蛍烏賊漁いま最盛期             統一

    平成二十四年六月十七日首尾
        於関戸公民館ワークショップルーム

      二十韻 『声のころがる』

オ  梅雨晴れの声のころがるねんころろ    玉木  祐
    雄蕊軽やか咲く未央柳         藤尾  薫
   絵手紙のいろうすうすと書き上げて    古賀 直子
    筆圧のなき母のメモ帳             祐

ウ  退院せしベッドを照らす軒の月      坂本 統一
    あなた好みの栗飯を炊く            直
   蔦紅葉林の奥へ二人連れ             薫
    妖怪変化の集う道祖神(さいの神)       一
   発見の理解は不能ヒッグス粒子          祐
    科学館には列なす児童             薫
ナオ
   顔見世の切符売り場の先頭に           直
    火の見櫓に月登りくる             祐
   擦半を猿が戯れて打ち続け            一
    飲みすぎですと部下が眼くばせ         直
   ほつれ毛を何気にあげるクラブママ        薫
    別れ惜しみて誘う後朝             一
ナウ
   空港へ急ぐ外車の標識灯(テールランプ)     祐
    巴里のモードの春コート着て          薫
   釣り逃がす鯉が揺らした花筏           直
    お玉杓子も群れて遊べリ            一

  平成二十四年七月七日首尾
     於関戸ワークショップルーム

 


無名会4月~5月

2012-06-08 20:44:51 | Weblog

2012年6月8日発行

もう梅雨も間近だそうですね。
遅れておりました 無名会通信です。    

キューイフルーツ
(♂)花

満開になると花蜂さんが
ぶんぶんと忙しそうに蜜を集めるんですよね。
甘い香りがあたりに立ち込めて幸せな気分になります・・・。

 

 

 

 

 

 
  「朱儒」の巻

    侏儒浮かれ云いえて妙や四月馬鹿     坂本統一
   踊るグループ地虫出ず頃        藤尾 薫
  春疾風弓なり歩む杖つきて        玉木 祐
   自転車駆ってセール会場        星 明子
ウ 
  生ビールぐっと飲み干す背に月      古賀直子
   龍の刺青の汗に魅せられ          統一
  あこがれは琴弾く人ぞ忍ぶ恋          薫
   昭和の残る路地の黒塀            祐
  なゐ津波爆弾ロケット次は何         明子
   びっくり箱がぼくのお宝          直子
ナオ
  霊魂の巫女呼び出す声冴ゆる         統一
   梟の鳴く森の湖               薫
  ヘアピンの落ちあるベッド三鬼の愛       祐
   秋の簾にこもる睦言            直子
  清流に月をくだきて舟下る          明子
   おのずとハモル照る山紅葉         統一
ナウ
  断捨離で色留袖を捨て難く           薫
   夢叶うまで努力奮闘            明子
  飛花落花花びら立ちてコロコロと        祐
   凧合戦の空の広々              直
  
 *皆様不調で完成になかなか至らず、挙句は編集人が2句の中から勝手に選ばせてもらいました。
    これで1巻出来上がりといたします。コメントお願いします。

 2012年4月7日 以後、名残の裏から文韻4月22日満尾  於 関戸公民館

 

 カンパニュラ(鐘)

フジ子ヘミングさんの
ピアノを思い出しますね。
ホタルブクロの親類です

 

 

 

 

 

 

 

 二十韻「万歩に満たぬ」

  薫風や万歩に満たぬ万歩計         古賀直子
   しばしば起こる遠き雷          星 明子
  好物を買い込む夕餉時にして        玉木 祐
   ナイフフォークを磨く楽しさ         直子

  月の舟連子の窓を覗きゆく           明子
   後朝の庭白露を踏む              祐
  残り香を抱きしめている秋袷          直子
   満期の保険忘る爺婆             明子
  入学金に使いなさいと遺言に           祐
   つい飲み過ぎて猫を蹴飛ばす         直子
ナオ
  冬麗欧州特急ひた走る             明子
   東南東に風疼く月               祐
  燭台の灯影に祈る神父様            直子
   峠を越えて襷をつなぐ            明子
  今宵こそ決死の覚悟でプロポーズ         祐
   弱気の彼がちょっと可愛い          直子
ナウ
  射幸心煽るゲームに禁止令           明子
   テレビ賑わす熊穴を出ず            祐
  狩衣の冠者舞いたる花吹雪           直子
   棚田見廻る土匂う頃             明子

              平成24年5月12日首尾  於関戸公民館創作室

                


無名会3月~4月

2012-04-24 21:36:04 | Weblog

2012年4月24日発行

ようやっと春になりましたね。
せわしいことに、もうすぐ、GWですが・・・。
3月は会員の皆様も何かとご用があったのですがそれでも
2人の方が連句をまいてくださいました。
なかなか、おしゃれな巻きに出来上がってますよね~。(^_-)-☆

 二句表 「入り彼岸」   

 発句 自ずからゆけぬ国あり入り彼岸     仲春 玉木  祐
     つば広帽子とばす強東風       三春 古賀 直子
 ウ 
    砂まきつ光の中を鯉の来て              祐
     祭太鼓に子等は駆け出す       三夏     直
    向日葵に目口を付けて刺繍する     晩夏     祐
     汕頭土産もらう縁側                直
    十六夜の母に団子を買い来る      仲秋     祐
     火を恋うように恋に恋して      晩秋     直
ナオ
    大奥の側女争う虫合せ         三秋     祐
     肩を抱かれ試写会の席               直
    熱燗につい誘われる月の道       三冬     直
     終相場の今年上々          仲冬     祐
    フェラーリをキャッシュで買って夢心地        直
     占いの凶に左右されたり              祐
ナウ
    白髪の三千丈に花吹雪         晩春     直
     ふらここ揺らし天まで届け      三春    執筆


       20012年3月13日首尾 於関戸公民館

 

(オキナグサ)

   二十韻「クッキーの缶」 
 
    クッキーの缶蹴とばして目借時    古賀直子  
    クレソン摘んで山盛の皿      星 明子  
   行く春を野辺の堀川遊びいて     坂本統一  
    荷馬車が通る暮れる村里      藤尾 薫  

   数え日の皓々の月屋根の上      玉木 祐  
    降誕祭に指輪をねだる          薫  
   プリクラに残るマークはキスのあと     祐  
    一時停止のY字交叉路         直子  
   油絵の横尾忠則展覧会           祐  
    ラピスラズリの青に魅せられ      明子  
ナオ
   エーゲ海泳ぐバカンス今年また       祐  
    野外劇場大入り満員          直子  
   弱いのよ甘いかんばせ甘い声        薫  
    想いのたけを霧の明石へ        明子  
   これやこの源氏の君の眺め月       統一  
       栄転祝い新酒なみなみ         直子  
ナウ
   賜りし古備前の壺神棚に         統一  
    みんな嫌がる瓦礫受け入れ        薫  
   咲き満ちて花の都のいやさかえ      明子
    告天子啼く大空の果          統一

     平成24年 4月7日起首 4月12日首尾
         於関戸公民館ワークショップルーム
               (17句以降 文韻)  

 

ギボウシ

まだ、巻いている途中の巻があります。「朱儒」の巻です。乞うご期待!

 

 

 


無名会2月

2012-03-15 23:08:41 | Weblog

無名会2月 2012年3月13日発行 

今年はことのほか春が遅いですね。
梅の花など、少しいじけて咲いている感じです。
そんな花を見るのはかわいそうですね。
そこで今回は山の雪景色をお届けします。

                            八方尾根にて

二十韻「多摩川渡る」の巻

   春立つや多摩川渡る風明し     統一  初春

   幼児あそぶ土匂ふ頃       明子  三春

  裏庭の蟇穴出づと声のして      祐  仲春

   試運転する蒸気機関車      直子


   
半夏生ぽっかり浮かぶ昼の月     薫  仲夏

   行水使う肌に魅せられ       一  晩夏

  なりゆきで思い通りにゴ一ルイン   明

   新居の隣りゴミ捨て場にて     祐

  見てみたいふわふわと飛ぶ放射能   直

   渚たたづむ故里の町        薫

ナオ
  名物の鮟鱇鍋をふるまわれ      一  三冬

   石の坂道聖燭祭の灯        明  晩冬

  年下に挑発しきり着飾りて      祐

   追って行きます霧のロンドン    直  三秋

  月見酒一姫二太郎爺と婆       一  仲秋

   運動会の借り物競走        薫  三秋
ナウ
  沖縄はトップの椅子の定まらず    明

   こんなところで呼ばれて困る    祐 

  絵手紙をはみだして描く花吹雪    直  晩春

   蜜蜂の舞う北の温室        薫  三春

 2012年2月4日(立春の日に)首尾 関戸公民館 創作室 

秋田県 田沢湖高原にて  

     二十韻「立春の富士」

    立春の富士すっぽりと大玻璃戸   古賀直子
     リフト止めたるフェーン現象   玉木 祐
    親の笑み入園式はなごやかに    藤尾 薫
     末は博士か大臣は昔       坂本統一
ウ 
    雪見酒配所の庭に仰ぐ月      星 明子
     八丈島におしどり訪れ        統一
    舟べりに海女を見守る夫の居て      薫
     採用試験縁故限定          明子
    モモが来て時間戻して欲しい夜      祐
     夢がふくらむ手品師の箱       直子
ナオ
    騙し絵に薄翅蜉蝣入り込む        祐
     金魚すくいに尼さんも出て       薫
    雨だれにショパンの恋を恋渡る      祐
     名残の蚊帳が広すぎるのよ      直子
    月のぼる嫁に食わすな秋茄子       祐
     雲井の雁の掛け軸の賛         薫
ナウ
    挙手をして最終便の発車ベル      明子
     晩節なれどスリル満点        直子
    咲くよりも花のきわみは花吹雪     統一
     放牧の丘若駒を駆る         統一

2012年2月4日首尾 於関戸公民館創作室 

        志賀高原 熊の湯にて

それでも、もう春の装いをしてる花も有るんですよね。

早春の花々

 


無名会12月~1月

2012-02-06 22:10:10 | Weblog

無名会2011 Dec.~2012 Jan.  2012年2月6日発行

昨年の秋、流水さんこと 梅田實さんがご逝去されました。
生き方の達人の實さんがなくなられて仲間は、大変寂しく気落ちしました・・・。
生々流転の掲示板で流水連句をうけついでやっていこうと気を取り直して始めたところです。

無名会でも月一の会になりましたが、のんびりと楽しく巻いてまいりましょう。
無名会に興味のある方どうぞ覗いてみてください。聖蹟桜ヶ丘(多摩市)で巻いています。

 梅田 實さん追悼

  二十韻「白線一条」   膝送り

  冬光る白線一条空に消え      坂本統一
   小春日和のモネは浪費家     玉木 祐
  乳母車母親あやすきりもなし    藤尾 薫
   轍のあとに靴を踏み入れ     古賀直子

  わっと云う君と見ている月今宵      祐
   色鳥に似たうなじに見惚れ       一
  梨もぎの梯子を落ちて骨折し       直
   情にもろくてなれぬ仙人        薫
  憧れは忠に殉じた羽将軍         一
   鼓を習うクラブ活動          直
ナオ
  制服の汗が気になる高校生        薫
   月の登山はしんがりつとめ       直
  この齢南無阿弥陀仏忘れいて       祐
   あの恍惚のとき呼び覚まし       一
  カクテルに媚薬入れたい酔わせたい    直
   地中海クルー船の晩餐         薫
ナウ
  丁半の賭博儲けは六兆円         一
   求む求人地虫穴出ず          祐
  夕闇のぼんぼり揺れて花明かり      薫
   耕し終えて急ぐ畦道          直

  2011年12月3日 首尾  於関戸公民館第3学習室

 

    二十韻「龍祝う」
 
  龍祝う二十日の雪や初懐紙       坂本 統一
   やっとお湿り三寒四温        玉木  祐
  塗り立てのベンチに鳩の止まりいて   古賀 直子
   中国土産筆のいろいろ        星  明子

  父親の永字八法月の窓             祐
   秋海棠とは許されぬ仲            一
  女子会の流れで成就虫すだく          明
   停めたバイクはなんとハーレー        直
  ラスベガス百億すった若社長          一
   芥川賞物理学者が              祐
ナオ
  乾杯の麦酒の泡をふっと吹き          直
   月と見ている僧の峰入り           明
  ポッキリと折れた心を癒す犬          祐
   やさしく撫でる黒髪の背           一
  下駄箱に手造りチョコとラブレター       明
   クロスワードが解けそで解けぬ        直
ナウ
  義経記に判官贔屓いや増して          一
   みるなの部屋へ薄氷を踏み          祐
  花吹雪うつつの夢に子等の声          直
   鐘朧なる池を経巡る             明

   2012年 1月20日  首尾関戸公民館 創作室 

 

                                                     


無名会11月

2011-12-01 16:17:21 | Weblog

無名会11月  2011年11月30日発行


マユミの木

    二十韻「手のひらにメモ」

  手のひらにメモ書き秋は終わります      玉木  祐
   遠くの海に沈む弦月            おおた六魚
  仏掌芋大すり鉢に擦り上げて         古賀 直子
   ルームランナーひとり精出す        藤尾  薫

  窓の外知らぬ顔しておしゃべりし       梅田  實
   老いても彼女眼妖しく           峯田 政志
  兵を追うグレタ・ガルボの恋でした          祐
   つい飲みすぎてうたた寝の夢            直
  枇杷の実を揺らしゆりかご昼下がり          薫
   水しぶきあげ撒水車行く              實
ナオ
  評判の茶店の団子ひと口に              志
   見目麗しくエルメスの売り子            祐
  ひげ混じり白粉たっぷりニューハーフ         薫
   あなたに止まる冬の蝶です             直
  月照らすおかめひょっとこ酉の市           志
   三三三一手拍子の音                魚
ナウ
  風を切り飛びゆく鳥を見送りて            實
   震災の地に春の訪れ                實
  花びらの色かがやきて花筏              薫
   回転寿しの馬鹿貝が好き             執筆

         平成23年11月5日 於関戸公民館創作室

マユミ

  二十韻「イヴのお臍」

  いちじくやイヴにお臍のある不思議      古賀直子
   自転車こいで重陽の夕           藤尾 薫
  藁塚を明るく望む月明に           梅田 實
   しばし佇む猫の片影           おおた六魚

  首すこし伸ばして背を揉まれおり       玉木 祐
   エステの先生なぜかまぶしい          直子
  カップルのダンスうっとり夢の中          薫
   髪紫に染めているのよ              實
  麦笛の時に響ける見えぬ径            六魚
   木曽三川に風薫りくる              祐
ナオ
  太公望逃げた魚を口惜しがり           直子
   占星依頼諸葛亮さん               薫
  恋人は今宵は何処旅すらん             實
   ならぬ情にお神渡り越ゆ            六魚
  寒月に掛かるかつよき間欠泉            祐
   十年もののシャンパンをポン          直子
ナウ
  おとうさん定年退職おめでとう           薫
   よろこんでいるうららかな日々          實
  曼陀羅の道は曲がりて花吹雪           六魚
   お江戸日本橋巣籠りの鳩             祐

         平成23年11月5日 於関戸公民館創作室



無名会10月

2011-11-02 22:19:34 | Weblog

無名会10月  2011年10月31日発行

 

     二十韻 「朔日の」

  朔日の風はひやひや季の移り       星  明子
   色とりどりに秋草に月         梅田  實
  落鮒を塩加減よく焼き上げて       古賀 直子
   スケッチブックに送電線を       玉木  祐
ウ 
  ユトリロの展覧会の列長く        藤尾  薫
   父を知らずに母を恋う彼            祐
  想い見る心は常に夢にみて            實
   口ずさんでる古いララバイ          直子
    パラソルが軽快に過ぐ浜通り           薫
    葉陰に休むとうすみ蜻蛉           明子
ナオ
    泥んこの遊びは楽し子供達            薫
     酔ったはずみでついたしりもち        直子
    墨東の荷風の町を見にゆかん           祐
     待ちかねる戸に止まる雪沓          明子
    肩寄せてこごえる月に熱き恋           薫
     名門に生れ名跡を継ぐ            明子
ナウ
    僧院の塀にのつそり眠り猫           直子
     日光街道陽炎の中               祐
    野次喜多の二人連れ行く花吹雪          實
     山の彼方に初虹を見る             實

     平成二十三年十月一日 首尾

         二十韻「冥府より」

   冥府より届く便りか満珠沙華    古賀直子
    千枚田から昇る金精       玉木 祐
   親子してべったら市に買物に    藤尾 薫
    メタボ気になり散歩毎日     星 明子

   登場の人物舞台に数多く      梅田 實
    昔の彼に似てる彼なの        直子
   初めてのデートの時にもうH       祐
    手先器用な職人亭主          薫
   行きずりの暖炉の燃える喫茶店     明子
    警笛鳴らし消防車ゆく         實
ナオ
   ロンドンのお巡りさんとツーショット  直子
    ジャンケン石(ぐう)で鬼の子は泣く  祐
   長じては村一番の伊達男         薫
    麦酒買い置く上司との仲       明子
   月仰ぐゆったりとして白絣        實
    猫が三匹渡る踏切          直子
ナウ
   モスクからアラーの祈り流れくる     祐
    カルメンを観る春のオペラ座      薫
   山峡の花降りそそぐ峠越え       明子
    遥かに揚がる畦火のんびり       實
   
    平成23年10月1日 於関戸公民館 ワークショップルーム

 



無名会9月

2011-10-06 14:43:36 | Weblog

無名会9月  2011年10月6日発行

 涼しくなりました。時に肌寒く・・・。
 時は過ぎ行くですね。
 最初は歌仙です。3日の会では時間が足りず裏まで。名残の表からは文韻で。

  歌仙「青虫」 

  菜の中の青虫出でて厨事     三秋   薫   自
   涼も新たに窓を吹く風     初秋  直子   場
  雲切れて覗く半月淡くして    三秋   實   場
   誰が弾くやら下手なマズルカ       薫   他
  お稽古をさぼる言い訳けなんとしよう    直   自
   暖炉の前に蹲る犬       三冬   實   場

  嬉々としてして雪合戦の童たち  晩冬   薫   他
   あの背あたりに狙い定める        直  自他
  丸顔と瓜実顔の見初めあい         實  自他
   ラストダンスはわたくしにして      薫   自
  駆け込んだ駅を去りゆく終電車       直   自
   そうだそうだと同僚と愚痴        實  自他
  あれこれと政治談議に泥鰌鍋        薫   他
   菖蒲満開柳川の月            直   場
  戦友は山峡の湯に集いたる         實  自他
   馬上の剣にあげる祝杯          薫  自他
  粗削り円空佛と花を浴び     晩春   直   自
   腰をおろして憩う耕人     三春   實   他
ナオ
  汽笛鳴らし沖行く船に春の雨   三春   薫   場
   金門橋を渡りきったよ          直   自
  留学はフルブライトで箔付けて       實 他/自
   老人クラブ多士済々で          薫   他
  売り声の威勢を競う年の市    仲冬   直   場
   おとなしやかに葉牡丹の鉢   晩冬   實   場
  お見合いは大正ロマンの矢絣で       薫   自
   触れてごらんよ着痩せする性質      直  自他
  さてここが思案しどころ首傾げ       實   自
   新発売の湿布よく効く          直   場
  開かれた机の日記月照らす    三秋   薫   場
    到来の古酒したたかに飲み   晩秋   實   自
 
ナウ
  竹林の賢者に憧れ秋の末     晩秋   薫   自
   虎のパンツがもう乾く頃         直   場
  朝刊をメガネはずして読んでいて      實   他
   太極拳の動作ゆるやか          薫   他
  同窓会おいでを待つと花便り   晩春   實  自他
   夢ふるごとく降れる淡雪    三春   直   場

   平成23年9月 3日起首(桜ヶ丘ヴィータにて)
       9月22日満尾(20句目より文韻)

  二十韻「ゴッホの夜」

  馬鈴薯を食べる灯やゴッホの夜    六魚
   簾収めし縁照らす月        直子
  蓑虫の来てもの申す厠にて       祐
   宇宙の息を聴いてゐる刻      六魚

  福耳の形いいねと褒められる     直子
   あの頃彼は高校生で         祐
  音楽の教師は白き指細く       六魚
   クレッシェンドに募る片恋     直子
  島よりの霜月鰈送られ来        祐
   侘助活けた窓の翳りて       六魚
ナオ
  坊さんの読経メリハリよく響き    直子
   紀ノ川下る舟で一献         祐
  色事も仕事も鬼となる夢を      六魚
   カンカン帽で気障に迫られ     直子
  天心の月の浜にて西瓜割り       祐
   怪獣の尻尾波を切りゆく      六魚
ナウ
  ばば様を載せて運んだ救急車     直子
   春山スキー峠越えする        祐
  ワシントン花浴びて立つ儀仗兵     實
   仔猫三匹かたまって寝る      六魚
 
 2011年9月18日 関戸公民館

 十和田湖近くの草原
 群がり咲く野菊
 (9月19日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十和田湖近くの山林にひっそり
 ギンリョウソウ(9月19日)

 


無名会8月

2011-09-14 17:23:12 | Weblog

無名会8月  2011年9月14日発行
8月は無名会はお休みでした。
編集人も、あまりの暑さで何もする気にもならず苦しい夏でした・・・。
暑さに強い人がうらやましい・・・。

さて今回は前の続きです。
日常生活、その時々でふと耳にした、目にした言葉がなんか心に残っている。
題して惹かれる言葉です。

 特集 惹かれる言葉

   星明子

1)橋というものはそこに着いたら、渡れば良い。次の橋はその橋が来た時にゆっくり渡れば良い。
            ローラ・インガルス・ワイルダー  作「大草原の物語」より

 この物語は今から140年前の北アメリカの開拓時代を自給自足の生活をし乍ら幾多の困難をのり越えて生きた少女の自伝的物語で当時の俚諺が沢山出て来ます。
”十の損にも一の得””強く願えば必ずかなう””終わりよければすべてよし””いそいで結婚してゆっくり後悔する”一番暗い闇は明け方の前””死んだライオンより生きた犬””人間に確実に来るのは死と税金””自由とは選ぶこと””貧者には冬に氷富者には夏に氷”

(私は小心者で、心配で夜寝られない時などいつもこの言葉を思い出します。愛読書等々から選びました。)

2)空に星  海に真珠  そして~そして地には愛を   ハイネ詩集 井上正蔵訳
 真珠はないけど、あとの二つはあるかな・・。  

松葉牡丹

      梅田 實

皆さん、この言葉に惹かれませんか?この間友達がこの本を読んだらと貸してくれました。 森村誠一の 老いる覚悟 という本から 共感する言葉を 抜き書きします。 
森村さんは1933年生まれ御存じの作家 生涯現役を志す作家です。 東北大震災を踏まえてこの本を書いた。

イ. 晩節(現役が終わった60か70以降を言いますかね)は
   貴重な時間  だと分からない年寄りがいる
ロ. 何歳になっても発達途上人であり続ける
ハ. 平凡な中にドラマを自発的に求める覚悟が肝要

私今年84歳になってとみに体が衰えてきました。 歩きのろのろふらふら、 字は速く書けない、頭が痛い、一日のうちにいい時と悪い時があり いよいよ年貢の納め時かと思はないではない。 願いはトンコロリ。 
こういう状態の私に前記のイロハは惹かれる言葉です。
特にハは毎日の指針です。
今やっている生活 まだのろのろでも歩けるうちは外に出て人からエネルギーをもらう。これが一番。 歩けなくなっても 連句の仲間からはネットで元気をもらって生きる。 良い仲間があって幸せというものです。
 欲を言えばいい連句がときには俳句が詠めないかなということです。

フロックス(花魁草)いいにおいがしますフロックス(花魁草)
いいにおいがします.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


     古賀 直子

ポール・ヴェルレーヌ「秋の歌」
 映画「史上最大の作戦」(The Longest day)で描かれた第2次世界大戦のヨーロッパ戦線、連合軍のノルマンジー上陸作戦が行われた際に、連合軍から仏レジスタンスへ作戦開始の合図の暗号として放送されたのが、かの有名なヴェルレーヌの「秋の歌」でした。

イギリスBBCのラジオ放送を通じて送られたのです。1944年6月のことです。

秋の日の
ヴィオロンの
ため息の   が先ず放送されたのです。そして

身に沁みて  
ひたぶるに
うら悲し  がついに放送されました。

 あらかじめ 秋の日のヴィオロンのため息の が流されると作戦決行決定、そして身に沁みてひたぶるにうら悲し の語句が流されるとその後48時間以内に上陸作戦が決行されると決められていたのです。

1962年の映画でした。その後 テレビでも何度も放映され何度もみましたが、あの 秋の日のヴィオロンの を聞いていよいよだと緊張する仏レジスタンスの仲間の姿が忘れられません。ドイツ側もこの情報は掴んでいたそうですが、まさか公共放送を通じてそんな重大事項が流されるとは、、と疑っていたふしがあるそうです。決局連合軍の大勝利、ドイツは敗戦へと雪崩れていったのです。それにしてもBBCがこのノルマンジー上陸作戦の暗号メッセージをその放送の中で流しそれをフランス・レジスタンスのメンバー達が地下などに隠したラジオのボリュームをしぼりスピーカーに耳をくっつけるように聴いていて、しかもその暗号メッセージがかの有名なヴェルレーヌの詩だったいう話はなんともロマンチックですね。電子情報化時代の今と比べると隔世の感ありですね。詩そのものも素敵ですが、あの戦争の只中ヴェルレーヌを流すという西欧の文化に圧倒されました。若かった私の感動的な思い出です。



ハイビスカス


 

 

 

 

 

 

 

 

     藤尾 薫

いでそよ人を   谷川 雁 作

笹原には 声がないと
見わたすとき ひるがえる白
こころの裏 風すきとおり
谷をうめて ゆれる文字は
いでそよ人を 忘れやはする

あて名なしの うすい手紙
おいてきたか  封もしないで
夜がくれば ながれぼし読む
露にとけた 墨の文字は
いでそよ人を忘れやはする

これは歌集(声楽)に出てきた詞の
抜書きです。美しい旋律でコーラスにもよく歌われるようです。
この曲は言葉が美しくて好きな曲です。作曲:新実徳英。
作詞:谷川雁(1923年- 1995年)詩人、評論家、サークル活動家、教育運動家。
社会主義的な リアリズムを基調とにした詩人。

私が惹かれたのは「いでそよ人を忘れやはする」という言葉。
この言葉は小倉百人一首 大弐三位の歌。

有馬山
猪名の笹原
風吹けば
いでそよ人を
忘れやはする

 を連想させます。その和歌の内容については
「どうしてあなたのことを忘れたりするもんですか」ぐらいに理解していました。
調べてみると、反語というかアイロニカルな響きを持って作った歌のようです。
大弐三位は名前は藤原賢子といい母は紫式部。

仲の絶えかけた男が(訪れない自分のことは言わずに)、三位の心変わりを疑ってきた。
それを受けて三位が詠んだ返歌。
有馬山から猪名にかけて風が吹くと笹葉もそよそよと揺らぎます。
さあそれですよ、(私のほうこそあなたの心変わりが不安なのですから、)
どうしてあなたのことを忘れたりなどするものでしょうか。
言外に男に対する抗議も漂わせているらしい。

そこで谷川雁と大弐三位の二つの詩句を比較してみますと、
風、笹原、うすい手紙=短冊 、墨の文字=王朝時代の手紙文は筆文字。と共通の題材です。
内容は谷川雁のほうは、出す気はないが自分の思いをどうしようもなくて綴った人恋しい歌のようです。
どちらかというと感傷的。本名は巌(イワオ)ですが、やや女性的な気持ちの表現にみえます。
大弐三位のほうは宮廷女房の知が勝ったしっぺ返しの歌。この句で
相手のこころが戻ってきてくれるとは到底おもえません・・・。
谷川雁の詩は趣向が違った百人一首の本歌取りの歌なのでしょう。
谷川の歌を歌曲で歌うと、旋律と良くあってとても抒情的で惹かれました。

カクトラノオ


無名会7月

2011-08-09 23:45:22 | Weblog

無名会7月  2011年8月9日発行

(沢に咲くイワタバコ)

今回は会員の皆様に”私が惹かれた言葉”というテーマで書いて頂きました。
一番にいただきました六魚さんからご覧いただきます。それぞれの方々から、興味深い
内容のものが次々に送られてきていますのでこれから順次掲載いたしますね。
どうぞ、お楽しみに!

~・~ おおた六魚 ~・~・
● 『空想より科学へ』
 
中学2年の時、ある貸本屋で見つけた岩波文庫の題でした。
 その時,これは天動説という空想が,地動説という科学に転換したといった自
然科学系の話かなと思って借りました。
 しかし内容はご存知の通り,サブタイトルにある「社会主義の発展」という、
つまりサンシモンなどの夢を、新しく理論的に構築し言わば科学的社会主義に発
展させたという社会科学系でした。(戦前版ではなく大内兵衛の新訳)
 その後この親本である「反デューリンク論」はついに読みませんでしたが,
空想癖のつよい自身のあれこれに,これは科学的な考え方かな,この文脈は法則
的にも誤り無いかな、等と時に自省することがあるようになった気もしますが(?)。

●『魔術から数学へ』
 それから30年余あとに、これに似た上記のタイトルで講談社学術文庫の一冊
を読みました。
 著者は昨年訃報が新聞に載った数学者森毅。この人の専門は「関数空間解析の
位相的研究」ということだそうで、どういうものなのかサッパリ見当もつきませ
んが,中年辺りから数学史,数学教育論にも力点を移して活躍し、素人も面白が
る啓蒙本を次々と書いたようです。
この人はキチンとした「数学史」も書いていますが、上記のものはルネサンス辺
りを重点的に描いたものでした。
(親本はカッパ・サイエンスの「計算のいらない数学入門」)

 以上の2册,それぞれ社会も研究も転換発展するということが通奏低音として
響き続け、当世まったく人気のない「進化論」的発想があるやに思います。
 このあたりも、へそ曲がりのわたしが思い出す好きなフレーズにピッタリ。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
半歌仙 「白の映えおり」

  戸を操れば白の映えおり半夏生      薫
   昼の蛍をかくす袖垣          實
  足ぶみのオルガン今も弾かれいて    直子
   訪れ来る様々の子等         政志
  梨をむく縁に月出て風呂上り       祐
   山の向こうへ雁鳴き渡る        薫
ウラ
  杣の行く紅葉かつ散り足軽く       實
   幼なじみの頬のなつかし        直
  未だ尚今生の夢追い求め         志
   バイアグラ買うインターネット     祐
  税関はシェパードの鼻ものを云い     薫
   定刻どおり定期便立つ         實
  火の用心しゃっしゃりまっせと柝を打ち  直
   クリスマスケーキ待つ月の宵      志
  のら猫はなぜか首輪に鈴をつけ      祐
   胸おどらせた怪奇小説         薫
  着飾って花見に集う大人びて       實
   せいくらべする風光る頃        直

   2011年7月2日(土) 関戸公民館 首尾

  

二十韻「けんか忘れて」

 日雷けんか忘れてしまいけり     古賀直子
  大笊に盛る熟れた枇杷の実     藤尾 薫
 悪がきは校舎の裏にたむろして    梅田 實
  たばこの煙教師かけつけ      玉木 祐

 まんまるの月もわびしげ影おとし   峯田政志
  二人で食べる秋刀魚一匹         薫
 濁り酒すっかり空けて閨に入り       實
  御仏の掌の広さしみじみ        直子
 シャンソンを唄う街角集う人       祐
  娘ミュールで私つっかけ        直子
ナオ
 湯婆が売れております百貨店        祐
  月も冴えてる計画停電          薫
 腕組みて行きつ戻りつ恋語らい       實
  美男か財かおおいに迷う         薫
 夢のようこれが噂の宝島         直子
  放射能にて水府ざわめく         祐
ナウ
 ケイタイで撮る漫遊の旅模様       政志
  新入生は元気いっぱい          實
 有酸素運動の輪に花吹雪         直子
  朝の庭から小綬鶏が呼ぶ         祐

平成23年7月2日首尾 於関戸公民館第三学習室


無名会6月

2011-07-10 20:12:28 | Weblog

無名会6月  2011年7月10日発行

柏葉あじさいカシワバアジサイ

梅雨だというのに本当に暑い暑い日が続きましたね。
そしたらもう梅雨が開けたんですって!!
あ~あ~これから本格的な夏になるんですねー
熱中症に気をつけましょうねー。

 二十韻「父の日や」    梅田 實 捌

     父の日や腹式呼吸ゆっくりと     梅田   實  仲夏
      積乱雲のくっきりと朝       玉木   祐  三夏
     遠来の友と珈琲楽しみて       古賀  直子
      蹲っているお預けの犬       峯田  政志

ウ  初月を載せた列車は港町       おおた六魚   仲秋
    林檎を剥いて待ち侘びている         實  晩秋
   頬染めて秋の灯そっと消し           祐  三秋
    神経痛の湿布張替え             直
   夢にまで死んだ亭主の法螺話          魚
    こわれそうです宰相の椅子          直

ナオ 音たてて風吹き抜ける冬木立ち         實  三冬
    ボーナスが出て月と飲んだよ         祐  仲冬
   それからは競輪競馬つきにつき         魚
    往生時よ南無阿弥陀仏            實
   世界中おばたりあんが元気とか         志
    胸とお尻が円く艶々             魚

ナウ 人知れぬアバンチュールをゴンドラで      祐
    踏んでしまった風船がぽん          魚   三春
   花眩し道頓堀は満開に             志   晩春
    お玉じゃくしがゆらりゆらりと        執筆  晩春

 平成23年6月4日首尾  

 クレマチス

ビヨウヤナぎ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十韻『一羽一声』

    電線の一羽一声梅雨がらす      玉木  祐
     傘傾けて揺らす枇杷の実      藤尾  薫
    遠来の友に珈琲濃く入れて      古賀 直子
     フォマルスーツ決めて来たりぬ       祐
ウ   月今宵楽しむ野外コンサート         薫
     うそ寒だねと抱き寄せる肩         直
    くちびるに酸漿の香の残される        祐
     何語を話す隣の座席            薫
    オリエント急行車掌ポアロ似で        直
     平積みにして本屋大賞           祐
ナオ  鬼ころし炬燵囲んで杯をつぐ         薫
     除夜の鐘打つ月の山寺           直
    日曜のテレビ政談菅おろし          祐
     ギャル投票は商魂みえみえ         薫
    祖母仕込み狙った的ははずさない       直
     若旦那から横恋慕され           祐
ナウ  定年後末広亭に通う日々           薫
     泣いて笑って万愚節です          直
    花の下ア・カペラでソロ大喝采        祐
     子犬ヨチヨチたわむれる蝶         薫

  平成二十三年六月十九日 首尾 
   於関戸公民館創作室

キョウカノコ

 

  人々の祈りの部分が
   もっとつよくあるように

 人々が地球のさびしさを
  もっとひしひし感じるように

  ねむりの前に
     僕は祈ろう

  * 「ニ十億光年の孤独」から

 

 

(京鹿の子)

 


無名会5月

2011-06-07 23:24:21 | Weblog

無名会5  2011年67日発行 
 シロバナエンレイソウ

 小さな旅    玉木 祐 

  ディズニーランドが出来てもう何年になるだろう。何となく年寄りの行く場所とは違う別世界のように思えて、この歳まで行きたいと思ったことは無い。この度、夫に会った時冥途のみやげ話のつもりで、一度は経験してみるのも良かろうと軽い気持ちで出かけた。 
  我が家からは、中央線で東京に出て京葉線に乗り換える。その構内の長いことエスカレーターで、地下へもぐる。動く歩道を歩く。この辺りからもう、かの遊園地に行くと思しき、人があふれている。みな遊びにいくと言う顔よりも緊張な面持ちが、異様にさえ感じられる。電車に乗り込む。
ほっとしたのも束の間舞浜駅に近くなると、窓外には別世界が現れ始め、降りるサインだ。

 ひと刷毛の雲立冬の風が吹く    祐 

 駅の前は、ディズニーランドの出入り口。傍らを走っているモノレールのような電車は、ディズニーランドの専用車。これに乗るとディズニーシー、またはホテルに向うとのこと。われらはゲートを入り、ここでマップとパスポートを受け取る。私には何も解らず、全て娘と孫の役割。このパスポートで、並ばずに早くに乗れるファストパスをとる。娘がその手続きの間、孫はすかさずポップコーンを買う列に並ぶ。容器いっぱいに詰め込んだポップコーンを首からさげて、歩きながら食べる。回りも皆同じスタイルなのも不思議。さあこれから戦闘開始。
 
私には今までに経験の無いおもちゃの国か、絵本の中に紛れ込んだような、不思議な、違和感が走る。時代遅れの今浦島なのかもしれない。 まず一番はマップの左真ん中に位置する、ウエスタンランドを目指す。そこのビックサンダーマウンテンに乗るべく、列に並ぶ。鉱山列車が猛スピードで駆け抜ける。と言う乗り物。二人乗りのトロッコが五台位連なっている。昔一度だけ乗ったことのあるジェットコースターより視界が開けず、岩山の狭い場所が模してあり、のぼったり下ったり、速度があるので急カーブ、回り込む時は、体が九十度位傾く、宙に放り出されるような気分。若い娘子たちの「きゃぁーきゃあー」の絶叫。風を切る音を感じる間もなく到着。これぞ一瞬の夢の如き体験。娘は「列の中で髪の白い人は母さんだけ、若い人が被っているような、ミッキーマウスの帽子を被れと進めるが、それだけは勘弁ねがい週日白髪を晒して歩く。
言われてみると確かに小さいお孫さんをベビーカーに、老夫婦が押している姿を、一度見かけたが、好奇心丸出しの私のような年寄りは、周りは何と思っただろう。それより人のことなど、誰も気にしない。こんな場所が人気の源かもしれない。そんな人込みでも、国際的な中国人、インド人はやはり目に付く。サリーの女性より香料の強い男性には、辟易した。

   鰯雲小さくちぎり息吹けり       祐

 救われたのは、こんな人工的な庭にもカナダの楓が紅葉している石畳には、馴れた雀がポップコーンを拾い啄ばんでいたことだ。手入れの行き届いた庭のハワイランド辺りにはハイビスカスの赤い花もまだ綺麗に咲いている。人工的だが心休まる。とに角広い半日が瞬く間。お昼を頂くのに、やっと椅子にかける。

  歩道の陽温しすずめの肥えており    祐

 
そろそろ昼のパレードが始まるらしく、沿道に場所取りの縄が張られ出している。パレードはミッキー、ピーターパン蝶の群れが延々とつづく。そこを横に見ながら、次の館に並ぶ。または、ゴーカードにも、孫に乗せてもらう。何しろ園内が広い、歩く、一日にこんなに歩く事がこの頃無かったが、それをあまり意識している暇が無かった。これが正直のところ。
 街中が甘いポップコーンの匂いで包まれ、ジングルベルが流れている。園の真ん中には、クリスマスツリーが、耀いている。
 
一日の早かった事。そろそろ夕闇が迫ってくる。夜の部は又パレード、花火と続くらしい。 もう帰ることに決める。朝早くから一日経験の無い日常と異なる時間と空間を過ごしたからだは、疲れより心が空っぽになったような、気分が飢餓状態のような妙な高ぶりを味わいつつ電車の人となった。老人の一日であった。

 

  さらさらと前頭葉は黄落期      祐
                    
 (2010年 秋記)

  シラネアオイ

 歌仙 「緑増す」            梅田  實捌

  街路樹やそぼ降る雨に緑増し       初夏     實
   でんでん虫をはやす子供等       三夏    直子
  書斎には名作選を並べいて              明子
   鉛筆ばかり削る半時                六魚
  大時計ふいに鳴り出す宿の月       三秋     直
   車の前に秋の七草           三秋     實

  古酒少しなめてみている娘たち      晩秋     魚
   初めてなのにサドの香りが              明
  なぜかしら離れられない仲となり            實
   仏の顔も三度までとか                直
  エルメスの財布はたいて豪華船             明
   オムレツ好きのパリの公爵              魚
  白鳥に乗せて行きたい夢のあと     三夏      直
   雲の切れ間に冴える月影       三夏      實
  官邸にひそと妖怪居り候                魚
   遠隔操作で動くロボット               直
  列島の花前線を追って行く       晩春      明
   蜜蜂の箱ずらり並べて        三春      實
ナオ
  流れ来る復活祭の弥撒の曲       晩春      明
   行列をして「夜警」鑑賞               魚
  復興のボランチアを志願して              實
   アンパンマンをつけたジーパン            直
  野馬追いの若武者の鞭銀の鞍      晩夏      明
   昼寝のいびき老爺頻りに       三夏      魚
  露天湯のうなじみとれつつい長湯            直
   おのが小町をしっかりと抱き             實
  不渡り手形は未だ破かずに               魚
   信濃の国の深き山道                 明
  月美しき全ての川の注ぐ海       三秋      魚
   菊師の鋏切れ味の良き        晩秋      直

  爽涼に思いきり打つホームラン     三秋      明
   さっと総立ち満場の沸き               實
  PTA会長なぜかわたくしで              直
   蜆のあぶく鍋に浮かべる       三春      魚
  天守閣花爛熳の上に立ち        晩春      實
   一日過ごすぬくき庭先        三春      明

                 (* 季を入れてみました。)

    平成23年5月7日期首5月15日満尾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お花見会の計画があったのですが、震災でそんな気分になれなくて延期してたら、新緑の季節になり
新緑をめでる会になりました。昭島の緑が美しいホテルでおいしい中華の昼食をとりながら「源心」を
巻きました。

源心  「昭和の森」    膝送り 

   夏初月昭和の森の句会かな       薫
    玻璃の向こうに揺れる新緑     直子
   絵画展色の深さに魅せられて     明子
    ベビーカーゆくホテルの庭に     祐

   女将出て暖簾をはずす十三夜     政志
    秋の鏡に匂う片肌         六魚
   添寝する暖かき床虫時雨        實
    赤い電車が登るアルペン       薫
   僧院の塔のてっぺん雲流れ       直
    葡萄酒の樽味は芳醇            明
   おみやげにアンデルセンの絵本買う   祐
    辞書を引けどもチンプンカン     志
ナオ   
   老男女花供懺法会鞍馬寺        魚
    耳をすませば田螺鳴くなり      實
   地の揺れて種まき惑う民がいて     薫
    レトロなものに羅宇屋鋳掛屋     直
   ソルフェージュ調子はずれのオクターブ 明
    山小屋暮らし放射能さけ       祐
   大船に乗った気持ちもうすくなり    志
    猫舌なのか?吃っくりのKISS     魚
   マッコリを酌み交わしてはしっぽりと  實
    小豆洗いの音がしゃかしゃか     薫
ナウ
   雪像がはらりと崩れ月の道       直
    鮟鱇鍋を友と囲んで         明
   家紋入り大漁旗を贈られて       祐
    軽く一礼バスは出発         志
   百鳥は花を散らして飛び廻り      實
    春宵一刻遅遅に遅遅たり       魚
 
    2011年5月15日首尾
          昭和の森フォレストイン昭和館にて 
   

いかりそう

  イカリソウ 

 

 


無名会4月

2011-05-21 22:54:53 | Weblog

無名会4月  2011年5月21日発行 

みなさま、如何お過ごしでしょうか。しばらくご無沙汰しておりました。

何回も訪れてくださった方には更新できなくて申し訳ありませんでした。
未曾有の大災害で心がワサワサしておりましたのも、私ばかりではなかったでしょうか・・・。
とにかく続けましょうとまた始めます。よろしかったらコメントを残していただければ・・・。



    二十韻「常の世」

 常の世の少し戻りぬ弥生尽           星 明子
  橋渡り来る陽炎の中             玉木 祐
 たっぷりのサラダ菜鉢に盛り上げて       古賀直子
  あれやこれやと話題沸騰           梅田 實

 残業の窓の灯消えて夏の月           峯田政志
  チケット二枚初蝉の頃               明
 別荘の夜の短かくて待ちわびて            祐
  党首会談またも不調に               直
 被災者の落着き褒める外国人             實
  ようこそ先輩見合わせる顔              志
ナオ
 熱燗の徳利並ぶ縄暖簾                明
   あらたまの年禁煙同盟               祐
  アラフォーで嫁に行きたい貰いたい          直
   姿よろしき秋の鮒なり               實
  嵐山夜寒の月を賞出ており              祐
   爽籟渡る高き城壁                 明
ナウ
 のんびりと友と散策低吟し              志
  学生服はLサイズです               直
 花吹雪あゝ玉杯と踊りたり              實
  鳥打帽の踏青の人                 志

   平成23年4月17日首尾 関戸公民館      

ヤマブキソウ(高尾山の麓にて)

    二十韻「行く春や」

   行く春やこのごろ祈ること多し     古賀直子
    たんぽぽぽの黄が飛びて川音      玉木 祐
   柳鮠諸子鮎並驚いて          梅田 實
    チョコを頬ばる幼児の笑み      峯田政志

  奥座敷玄冥の月仰ぎみる        星 明子
   ひとみ美しき娘大原雑魚寝         祐
  ついちょっと出したちょっかいだったのに  直子
   あとの後悔先に立たない          實
  家系図に子々孫々の栄見て         明子
   異界の扉そこここに開き          祐
ナオ
   パリ祭のオペラの舞台暗転し        明子
   竹夫人抱き目覚めざる夢         政志
  ねえあなた煙草吸うのは後にして      直子
   松茸飯のお代わりをする          實
  残月の地球の一角崩れたり          祐
   風に吹かれて蓑虫の鳴く          實
ナウ
  わびぬれば暫し佇む庭の隅         政志
   酒瓶下げて山門に入る          明子
  花筏のんびり橋をくぐりぬけ        政志
   車窓はるかに望む初虹          執筆

    平成23年4月17日
              於 関戸公民館ワークショップルーム

この春山々を散策してすみれを撮ってみました、種類が多くて憶えきれません。
△をクリックしてみてください。
すみれ2011

牡丹が入ってしまったのは手違いです。
 


無名会3月

2011-03-16 21:24:26 | Weblog

無名会3月2011年3月17日発行

 

 東北関東大震災。大変な災害で言葉もありません。
被害に遭われた方、関係者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。
私たちにできること、停電、買い控え?まだほかに・・・?に協力します。

がんばりましょう

 


 

 

 

    

 

      二十韻 「臨時停車」 膝送り 

  急行の臨時停車の梅見かな         梅田  實
   積もらざるとや降れる淡雪        玉木  祐
  春鰯大漁の旗上がるらん          星  明子
   てんぷら鍋を当てた懸賞         古賀 直子

  竹婦人抱いて目覚める月の影       大田  六魚
   蛍を追って迷う路地裏         峯田  政志
  四畳半都々逸めかし言い寄って           祐
   なびく振りしてさらり肘鉄            實
  ジョンウェインの二丁拳銃オークション       直
   産地偽装を知るや知らずや            明
ナオ
  日暮れから風強くなり臘八会            志
   飼い猫増えてもう漱石忌             魚
  想い人なおこさんと噂たち             實
   手に手を取って紅葉訪ねる            祐
  乾杯の葡萄酒に月射し入りて            明
    歓喜の歌を唱う爽涼              直
ナウ
  長江の洋洋として注ぐ海              魚
   停年旅行世界一周                志
  花筵小籠包を山盛りに               祐
   雨晴れ上り陽炎の立つ              實


 平成23 年2月20日 首尾  於聖蹟桜が丘関戸公民館



        二十韻  「爪を切る」
   啓蟄や光る縁側爪を切る               星  明子
    そろり過ぎゆくぬくき風色            おおた 六魚
   背伸びして蓬餅とる若人に              峯田 政志
    大きさ較べ隣ながめる               梅田  實
ウ    
   ゴキブリの一ぴき女々し雨後の月           玉木  祐
    品定めする羅の肌                 古賀 直子
   薫りよき夢かうつゝの毛並み賞で               魚
    てんやわんやの京都大学                  明
   目を覚まし取越苦労あくびする                實
    まだ放せない経理部の椅子                 志

ナオ 
   ロンドンの土産でホットウイスキー              直
    寒復習には置屋総出で                   祐
   客船の底に隠れて逃避行                   明
    施餓鬼の寺の男女曼陀羅                  魚
   月今宵一糸纏はぬ閨の闇                   志
    庭の芝生にちちろ聞き入る                 實
ナウ
   悲の器誰にでもあり持ち歩く                 祐
    鞄の中に読みかけの本                   直
   海は知るしきりに乱れ散る花を                魚
    暮れかねる山遠く連なる                  明


   平成23年3月5日 首尾
    於聖蹟桜が丘関戸公民館
春よこーい、早く来いー


無名会2月

2011-02-16 22:56:19 | Weblog
無名会2月2011年2月18日発行
藪柑子
      二十韻「早春賦」  

   厨事心に謳う早春賦        星  明子
    水菜青々山盛りの笊       古賀 直子
   竜天に昇る野山の基地にして    玉木  祐
    ガム噛みながら鉄柵に依る    梅田  實

ウ  ナイターに歓声あげる子等に月      直子
    麦酒片手に次の約束           明
   馴れ初めをまことしやかに延々と      實
    八百長力士またも発覚          祐
   このところ新燃岳も噴き上げる       明
    蹴った小石が当たる坊さん        直

ナオ あの顔はおかめに似てる酉の市       祐
    そば屋に入りぐいと熱燗         實
   門限は忘れましたとささやいて       直
    駅前旅館きりぎりす鳴く         明
   その上の盤余の池に月浮ぶ         實
    天竺まもり軒に吊るして         祐

ナウ 居並びて祖母の自慢のとろろ汁       明
    昭和も遠くなりしこの頃         直
   花吹雪三島由紀夫の金閣寺         祐
    尺八を吹くうららかな午後        實


   平成23年2月5日首尾  於関戸公民館
センリョウ

       二十韻「ど真ん中」
   微苦笑の猫料峭のど真ん中      玉木  祐
    春の炬燵にうつらうつらと     星  明子
   葉大根味噌汁の実に引き抜いて    梅田  實
    紙飛行機に広告の赤            祐

   月凉しアメリカまではご相席     古賀 直子
    単身赴任現地妻出き            實
   四畳半消しても消えぬものいくつ       直
    次から次へ収賄事件            實
   悠々と変わらぬ流れナイル河         明
    遊び道具に十字架盗む           祐
ナオ
   塀の中夢に見ました玉子酒          直
    外は大雪熱にうなされ           實
   持て余す恋に焦がれて化粧顔         祐
    年増たらしに紅葉かつ散る         直
   西東下界ながめる月高し           明
    瓜坊が行くねぐら求めて          實
ナウ
   泣き虫の子を先頭に鼓笛隊          直
    打出の小槌ふれど甲斐なし         祐
   次々と花の吹雪の湧き上がり         實
    耕人遠く鍬を休める            明


    2011年2月5日首尾  於関戸公民館