無名会

連 句 で 遊 ぼ う!
楽しくなければ連句ではないよね。

連句通信8月

2010-08-21 17:17:28 | Weblog
無名会8月2010年8月21日発行
イワタバコ
今回は前々回の無名会のメンバーによる連句に寄せるコメントの続きとして
改めて六魚さんから「連句を始められたばかりの人へ」のメッセージをいただきました。
これを読めば千人力!パワーアップで行きましょう。
 連句案内(連句を始められたばかりの人へ)
       おおた六魚
 連句とは、二人で短歌一首をつくる言語遊戯です
 (古今和歌集の紀貫之も、やっている古くからのお遊び)
 
◎ 遊び方

付ける句は、前句が575なら77を、77なら575を付けます。
これで、上の句下の句が逆になることもある短歌一首となります。
「付ける」ということは、前句を自分なりに解釈して、後句で展開することになります。
連句は、誰かが575の句をおくことから始まりますが、これを発句とよび、この発句につける77の句を脇句とします。両者の関係では発句Aなら、付けの脇句A'とします。ここに限り発句がひろい意味で問いであり、脇句がそれへの答えとも見立てられます。
その後の付け句は、三段謎と同じです。
問いA句に対してC句と答える。ココロはB句である。
(B句を省略してC句をつけていると見なす)
この形式を繰り返すのが、連句です。
その付け方は,取りあえず二通りある、と考えましょう。
一つは,A句に表現されているモノ、コト、ココロから、直接連想出来ることを付け句で表現してみる。(夏休み→ラジオ体操→公園→犬→奥さんなどなど)
もう一つは、A句まるごとの雰囲気から、連想できるなにがしを付け句で表現する。(月が涼しい→風鈴の音→田舎の母→へそくりが旨い→素敵な夏帯などなど)
さらに、そこそこにゲームとしての面白みを出す為に、個々の素材として、何番目の句には何々という役をつけてというようにアクセントを付けます。
役とは、月と花と恋などで、これを四季や世間のもろもろで案配します。
こういうルールをあれこれと複雑にして、言語遊戯としての面白さを盛り上げます。
連句の言語は,古代日本語でも、未来日本語でも構いません。また外国語でもエスペラントでも自由自在に使って、時には化学式があっても悪くありません。ただ、それが連句の流れを興趣あるものに出来るという場合に限ることは勿論ですが。
こういう仕組みで付け句を繰り返すのですが、なかなか思うようには出来ません。しかし思うようにいかないことが大切です。はじめから思うように出来れば、
こんな詰まらないことはすぐ飽きてしまいます。
そしてこれら連句の進行全体をリードする人を「捌」と呼びます。この人に貴方任せでやって貰っていても、連句会のひとりとして十分楽しめる筈です。もし貴方が楽しめなかったら、それは捌が下手だと思うことです。
 
◎ 特色

普通の物語や小説あるいは戯曲や叙事詩と全く違うのは、何十句並べても全体の内容での、起承転結や序破急のストーリイ性はないことです。
また、繰り返しを嫌う遊びですから、次々と違うスナップ写真を膨大に集めて、その変転を愉しむものと見なしても好いでしょう。
連句は古くからある「文芸」とは言えましょうが、近代的な意味での「文学」ではありません。
このことはどちらが良いかという評価ではなく、内容とそれをもる形式の違いで言うことです。例えば都々逸と俳句とどちらか文学的かという問いがナンセンスなように。
そして何よりも連句は、集まる人々がその履歴も価値観も違うことから、当然連句をつくるクセがそれぞれ違うことです。自身のクセを遠慮なく披露する。他人様のクセに新しい発見をする。これぞ連句の醍醐味でしょう。以上



トリカブト(クリックしてみて! 燕岳のトリカブトです)

   二十韻「辛口カレー」     
   秋立ちぬ辛口カレー注文す     梅田  實
    月上りくる一葉落つ窓      古賀 直子
   鰯雲椿油をみやげにて       玉木  祐
    エステに通う息子睨まれ     藤尾  薫
ウ  初耳の崑崙神話聞きほれる     峯田 政志
    色葉の匂う夜を重ねて     おおた 六魚
   庄助も時には苦き朝の酒          實
    磐梯山のトレッキングを         薫
   冬ざれの軍事演習その昔          實
    身を切る風に帽子ま深く         祐
ナオ この世をば見限り猫に癒されて       直
    住民票のチェック忙し          魚
   彼の眼にリトマス試験紙貼ってみる     直
    氷いちごの味の接吻           祐
   羅を透かす妖しい月明かり         魚
    ポワロ眠れぬブルートレイン       魚
ナウ ポーズとるスフィンクスを背景に      薫
    入学式に緊張の顔            志
   大車輪着地を決めて花の中         薫
    子犬のワルツのどらかな午後       志

 平成22年8月7日首尾 関戸公民館

(燕岳のコマクサ) 

    二十韻「パンプキンパイ」
     
   パンプキンパイ昔南瓜で泣きました  玉木  祐
    パティシエ自慢に映える涼月    藤尾  薫
   啄木鳥の庵を破る影見えて      おおた六魚
    筆さらさらと一句したため     古賀 直子
ウ  就職の成功神に祈る爺        峯田 政志
    若い娘の後を追いかけ       梅田  實
   六本木ヒルズに住める二十代         祐
    鯉群れ泳ぐ毛利庭園            薫
   大船に年酒みっしり積み込める        魚
    仕事始めの社長にこにこ          直
ナオ リタイヤも近く初孫双子にて         實
    連れ合いなべて去られたるまま       志
   茜会胸躍らせて通いつめ           薫
    シャーレに培養彼の馴酢          祐
   月隠れちょっと怖いよきもだめし       直
    倫敦塔に響きくる鐘            魚
ナウ ひもすがらエクササイズに精を出す      志
    古本探す春きざす街            薫
   花吹雪車の流れ遅滞なく           實
    雲雀東風吹く高速道路          執筆


  平成22年8月7日首尾 関戸公民館 第3学習室

残暑厳しい中とはいえ、立秋になったとたん蟋蟀の鳴き声を聞きました。
皆様秋は忍び寄ってきてくれています。待ち遠しい爽涼の秋よ~~。