無名会11月 2012年11月29日発行
霜月とはよく言ったものですね。11月という月は寒かったんですねー(笑い)。
今年は気持ちのいい秋の気配を味あわないうちにいきなり冬に突入でした。
虫のすだく音も、秋の静謐な空気の中でしんみり物思うこともできませんでした(また笑い。)
でも、こういうときって紅葉はいいですよね。ドウダンツツジの色づきがことのほか綺麗!。
今回は、祐さんにお心のうちをすこし寄せていただきました。
∞ 好きな言葉 ∞ ―私の本音― 玉木 祐
好きな言葉というと、まず好きから始まり、美しいも、美味しいも、反対語から比べると
はるかに否定より肯定語のほうが心地よく好きである。
好きとは、本能につながる事柄の言葉を肯定するような気がする。
だが近頃、歳をとったためか、若い時のようにそうとばかりいっていられなくなった。
例えば“生きる“についてもそろそろあちらの世界に行く方が、
良いのではないかと考えるようになった。
それほど体力に自信が持てない訳でもなく、何故かふっと現世よりまだ見ないあの世に憧れる。
何かそんな思いにさせたのか、これきっと老いであろうと思う。
考えてみると、今が一番好きな暮らしである。一人で自由気まま、
これといって困ることも無く、これぞ幸せと言うのかも知れない。
そうなると、もうこの世で欲も無くなる。未知に憧憬するのかも知れない。
今朝の雨も何故か愛おしい。暑さも、寒さも、思い出すことが懐かしい。
老いを静かに迎えることが今わたしの好ましい言葉かもしれない。
二十韻「偃武」の巻
冬の鵙啼いて過ぎたり偃武かな 坂本統一
掛け大根の列の白々 古賀直子
手拭の姉さまかぶり古民家に 玉木 祐
駅前広場の足湯にひたり 統一
ウ
望の月窓ごしに見る終電車 直子
瓢の尻をなでることする 祐
氷頭膾がぶりと噛んだ男よし 統一
酔ったかしらとしなだれかかる 藤尾 薫
大正のラベルを貼って限定品 祐
売り切れご免鳴らす拍子木 直子
ナオ
おばあちゃん祭ばやしにいそいそと 薫
山車曳き出せば若衆に月 統一
親の脛細くなりますニ一トです 直子
スト一カ一なのパリまで追って 祐
ほだされて指輪交換神の前 統一
大盛況の質草放出 薫
ナウ
新宿でまんじゅう買って故郷へ 祐
雪解の川の橋渡り来る 直子
幼子の犬連れ走る花の門 薫
妖精笑う種浸す桶 統一
2012年11月10日 首尾 関戸公民館 創作室