無名会10月 2011年10月31日発行
朔日の風はひやひや季の移り 星 明子
色とりどりに秋草に月 梅田 實
落鮒を塩加減よく焼き上げて 古賀 直子
スケッチブックに送電線を 玉木 祐
ウ
ユトリロの展覧会の列長く 藤尾 薫
父を知らずに母を恋う彼 祐
想い見る心は常に夢にみて 實
口ずさんでる古いララバイ 直子
パラソルが軽快に過ぐ浜通り 薫
葉陰に休むとうすみ蜻蛉 明子
ナオ
泥んこの遊びは楽し子供達 薫
酔ったはずみでついたしりもち 直子
墨東の荷風の町を見にゆかん 祐
待ちかねる戸に止まる雪沓 明子
肩寄せてこごえる月に熱き恋 薫
名門に生れ名跡を継ぐ 明子
ナウ
僧院の塀にのつそり眠り猫 直子
日光街道陽炎の中 祐
野次喜多の二人連れ行く花吹雪 實
山の彼方に初虹を見る 實
平成二十三年十月一日 首尾
二十韻「冥府より」
冥府より届く便りか満珠沙華 古賀直子
千枚田から昇る金精 玉木 祐
親子してべったら市に買物に 藤尾 薫
メタボ気になり散歩毎日 星 明子
ウ
登場の人物舞台に数多く 梅田 實
昔の彼に似てる彼なの 直子
初めてのデートの時にもうH 祐
手先器用な職人亭主 薫
行きずりの暖炉の燃える喫茶店 明子
警笛鳴らし消防車ゆく 實
ナオ
ロンドンのお巡りさんとツーショット 直子
ジャンケン石(ぐう)で鬼の子は泣く 祐
長じては村一番の伊達男 薫
麦酒買い置く上司との仲 明子
月仰ぐゆったりとして白絣 實
猫が三匹渡る踏切 直子
ナウ
モスクからアラーの祈り流れくる 祐
カルメンを観る春のオペラ座 薫
山峡の花降りそそぐ峠越え 明子
遥かに揚がる畦火のんびり 實
平成23年10月1日 於関戸公民館 ワークショップルーム