MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『パプリカ』 100点

2010-11-09 23:47:39 | goo映画レビュー

パプリカ

2006年/日本

ネタバレ

畳みかけるイメージ

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 早稲田松竹で10月30日から11月5日まで催された「追悼 今敏」は今年8月24日に46歳という若さで早世した監督の代表作である『千年女優』(2001年)、『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)、そして『パプリカ』(2006年)の3本立の上映という素晴らしいプログラムだった。このように通して観賞することで個々に観るだけでは分からなかった監督が作品内に込めている意図が見えてくることがある。
 3作品を通して、登場人物たちはみんな‘仮の姿’を楽しんでいるように見える。『千年女優』の主人公の女優だった藤原千代子は戦時中に一瞬だけかくまった反体制派の男に恋をしたことから女優になり彼の面影を追って生きていくのであるが、ラストで死の間際で千代子が言う「私、あの人を追っかけてる私が好きなんですもの」というセリフは『千年女優』のみならず、今敏監督の全ての作品のテーマと言えるだろう。
 『東京ゴッドファーザーズ』は『千年女優』と対照的に中心人物をゴミ捨て場で拾われる赤ん坊にすることで、その赤ん坊を拾ってしまうギンちゃん、ハナちゃん、ミユキのアイデンティティーの揺らぎを作品の推進力として機能させている。ご都合主義と見られても仕方がないシーンは多々あるのだが、今敏監督は敢えて物語のスピード感を選んだと思える。
 『パプリカ』においても物語のスピード感は維持されており、刑事である粉川利美の謎解きを頼りに、そのスピードに乗り遅れないように観客は夢が交錯する物語を追うことになる。映像は更にイメージの洪水と化してパレードのシーンは横尾忠則が描くポスターのように見える。
 結局ラストで、映画制作を夢みていた粉川利美自身が人生において‘刑事’という役を演じていることを自覚するように、今敏監督は物語の表層を滑走するだけで物語に深く拘泥しない。そのために観客の物語に対する感動は薄らいでしまうのであるが、あくまでも監督の意図は、自身が持つ映画の知識を駆使しながら作り出す、ほとばしるイメージの澎湃にあり、映画とは観て楽しむものであることを観客は改めて知ることになるのである。もうその特異な視点に教われないと思うと残念でならない。


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