麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の死刑執行…第一報は日テレ「スッキリ」がテロップ速報
麻原彰晃死刑執行 「極秘テープ」に残されたオウム真理教の真実【前編】
麻原彰晃死刑執行 「極秘テープ」に残されたオウム真理教の真実【後編】
原題:『パンク侍、斬られて候』
監督:石井岳龍
脚本:宮藤官九郎
撮影:松本ヨシユキ/尾上克郎
出演:綾野剛/北川景子/東出昌大/染谷将太/浅野忠信/村上淳/國村隼/豊川悦司/永瀬正敏
2018年/日本
パンクが作り出すアナーキーの是非について
麻原彰晃を含む7人の死刑囚の刑が執行されたニュースを聞いた直後に観たためなのか、本作に登場する新宗教団体「腹ふり党」がどうしてもオウム真理教とダブって見えてしまった。
そもそも腹ふり党の元大幹部だった茶山半郎のふざけた顔にしても麻原彰晃の顔にしても誰もがやり手だとは思えない彼らの風貌こそが油断の元で、掛十之進や内藤帯刀が権力闘争の中で上手く利用してやろうと目論んだのであるが、何故か部下として優秀なはずの幕暮孫兵衛や超能力を有するオサムが彼らが抱えるコンプレックスを刺激されたためなのかハマってしまい、茶山半郎は何も言わないが茶山の後ろに付いている仮面を被った2人の男たちの声に従って「ろん」と呼ばれる美人の広告塔の元、「聞きたいことしか聞きたくない」人びとの絶大な支持を得るところなど、オウム真理教の成り立ちとそっくりである。
冗談半分だった「腹ふり党」が大勢を巻き込んで冗談でなくなってしまい、黒和藩の藩主である黒和直仁が全くユーモアを解さないことが事態をさらに深刻化させ、ついには大臼延珍が率いるサルの軍団に頼らざるを得ないという皮肉が強烈であるが、何よりも「腹ふり党」が暴走を始めたきっかけがある殺人だったことも同じなのである。今年の邦画の最高作かもしれない。