原題:『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』
監督:錦織敦史
脚本:錦織敦史/橋龍也
撮影:田村仁/加藤伸也
出演:中村繪里子/長谷川明子/今井麻美/仁後真耶子/浅倉杏美/平田宏美/木戸衣吹
2014年/日本
演出とリンクする物語の「ユルさ」について
『映画けいおん!』(山田尚子監督 2011年)ほどではないにしても、765プロ所属のアイドルたちが合宿までしているのに、その成果が少女の成長としてうまく表現されていない理由は、例えば、主人公の天海春香たちが、自分の才能に対して自信を失って失踪してしまい、ストレスによる過食で太ってしまった矢吹可奈を河原沿いで見つけ、逃げる加奈を追いかけるのであるが、暫くして望遠から橋の上を右から左に移動する加奈は、やがて彼女たちの声を聞きつけた別のメンバーたちが橋の左側から現れて、挟み撃ちに遭い、逃げることを諦めるシーンに見受けられる。不思議なことにその後、右から加奈を追いかけていた天海が左のグループに紛れ込んでおり、ジブリ作品ではありえないミスを犯してしまっているのであるが、要するに「芸事」の詳細よりも努力しているアイドルの健気さこそが本作の売りなのであり、ラストの、実写ではありえないコンサートのカメラワークこそ気にして観るべきなのであろう。