「永遠の武士道」研究所所長 多久善郎ブログ

著書『先哲に学ぶ行動哲学』『永遠の武士道』『維新のこころ』並びに武士道、陽明学、明治維新史、人物論及び最近の論策を紹介。

第4回教育政策研究会

2007-11-17 23:50:35 | 日々の出会い・感動
11月15日の午後、日本会議熊本・教育政策研究会(座長 熊本県退職校長会前会長 坂田光人氏)主催で第4回教育政策研究会を開催した。今回は、熊本県に於ける道徳教育の現状を学習しようと、熊本県教育庁から義務教育課長・主幹・道徳教育指導主事の3方を派遣して頂いて講演及び質疑応答を行った。

義務教育課長さんから熱の籠ったお話を戴き、とても詳しい資料を配布して頂いた。内容は、
1、本県児童生徒の現状
  (1)児童生徒の問題行動等
  (2)いじめの発生件数
  (3)熊本県のフリーター・若年無業者の動向
  (4)中学生の規範意識(文部科学省資料)
2、教育基本法及び学校教育法の改正について
  (1)教育基本法
  (2)学校教育法(一部抜粋)
3、道徳教育について
  (1)道徳教育における目標(中学校学習指導要領解説道徳編より)
  (2)道徳教育の内容
  (3)道徳教育実施上の課題
  (4)道徳教育の改善
4、道徳教育の実際
  (1)道徳の指導計画
  (2)道徳の時間の指導
  (3)実際の指導例
  (4)熊本の子どもたちの心は育っている
  (5)平成19年度義務教育課取組の方向
5、その他
   ・就学前教育の取組
(資料)
 ①平成16年度子どもたちに「豊かな生き方」をはぐくむために
 ②「心に響く道徳教育の一層の充実のために」(平成17年度熊本県道徳教育推進協議会からの提言)
 ③くまもと家庭教育10か条
 ④熊本の地域教育力3つの提言
 ⑤インターネットの有害情報を見せない仕組み「ファイルタリングで子どもを守ろう」

印象に残った点について書きたい。

1、翌日新聞にも掲載されたが、いじめの件数が熊本県は全国一の数が発表された。それは、教育長が各学校に全生徒への面談を命じ、本人が少しでもいじめられたと感じたら、それをいじめの件数として数えたからである。少しのいじめでも見逃さないという県教育長の意欲が、全国一の数字となって表されたのである。問題をそこまで、見出し解決しようとの県の意思の現れであり、他県の数字が「なるだけ出すまい」との意識で出されているのに対し、熊本県が「疑わしきもいじめ事例と判断する」との見解を出した事は素晴らしい。

2、新教育基本法の「教育の目標」が具体的に定められている事に対し、「国がこの目標を達成するとの強い意欲の現われである」と的確に認識されていた。

3、質疑で「道徳の評価」について尋ねたが、「それが重要な事だと思います。指導後に実践活動にどのように生かされているかを評価したい」との回答だった。

4、愛国心については『熊本の心』(昭和60年ごろに編纂)の中の「熊本スピリッツ」(ラフカディオ・ハーン(小泉八雲))を使っての指導案が出されていただけだったが、それが全校で行われているかどうか徹底までは行っていないとの事だった。

5、H17年度の道徳教育の実施状況が出されたが、年間35時間に満たない学校が、34時間(小学351校・中学85校)33時間(小学4校・中学86校)32時間(小学2校・中学61校)31時間(小学3校・中学15校)30時間(小学2校・中学20校)29時間以下(小学0・中学1校)と未だに存在している事に対して強力に指導していきたいとの事であった。

6、道徳の授業を楽しいと感じている生徒の割合が学年が上がるにつれて低くなってきている実態(ほぼ全員が楽しいと感じている割合は、小学低学年43.1% 中学年24.6% 高学年18.2% 中1年10.8% 中2年1.6% 中3年7.6%)が示され、心に響く道徳の授業が出来ていない問題が指摘された。

7、道徳教育の構内研修を実施していない学校が15.3%(小学校)7.6%(中学校)あった。

8、道徳教育の有り方を示す為にビデオ教材を作成して「型」を示したいとの事だった。

9、旧矢部町の議員の方からは「教科書に代わる物を示さないと、狭山事件の石川少年の漫画などを使って勝手な教育を道徳と称して行っている」との要望があった。

10、学校教育法で評価や公開が定められているので、学校評価についても第三者評価が導入されるようになるとの事だった。

11、いじめ問題については、スクールカウンセラーのみでなく「スクールソーシャルワーカー」として家庭環境づくりのアドバイザーを配置する様になってきているとの事だった。

12、幼児教育について、義務教育との整合性が重視され、幼稚園指導要項や保育所指導指針も新しい学習指導要領に基づいて改正になるとの事だった。新教育基本法第十一条で「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」と書かれた事を重視されていた。

13、教育基本法第9条に基づいて「教職員非行の問題」を取り上げるべきとの意見が出された。

14、男女共同参画に基づくジェンダーフリー教育への危惧に対しては、「ジェンダーフリー」は使わない、行き過ぎた性教育に対しては「発達段階に応じていない」ので厳しい指導をしているとの事。男女混合名簿も余り推進していない、それよりも男女それぞれの役割を果たし協力し合いながらやってくべきであり、先ずは子ども達の心を耕す事から行うべきだと指導しているとの事であった。

【総評】
他にも色々と質問したかったのだが、時間が足りなかった。総体的には、県教育庁は道徳教育に対しては極めて重視して力を入れているとの実感を得た。教育庁や現場の先生達の熱意と努力とが実って行くためにはどの様な援助や働きかけが必要なのか、今後吾々が国民運動としてなすべき事に対して、教育政策研究会に集われている経験豊かな教育関係者の方々と共に協議て行くつもりである。
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