
ヤマハルーターRTX810 Rev.11.01.21リリースノートの解説-機能追加編
こんにちは。匠技術研究所の谷山 亮治です。
今日は「ヤマハルーターRTX810 Rev.11.01.21リリースノートの解説-機能追加編」です。
2014年7月にヤマハルーターRTX810の最新ファームRev.11.01.21がダウンロード開始となりました。
詳細はリリースノートをご覧ください。とはいえ、技術的な用語の多い表記なので、この改訂のポイントをまとめてみます。今回は「機能追加編」で、このファームに追加された新機能を紹介します。

RTX810 Rev.11.01.21 リリースノート(ヤマハへ)
1.L2TPv3を用いたL2VPNに対応
L2TPv3を用いたL2VPN(ヤマハへ)
この機能は、離れた拠点をL2で結ぶ機能です。L2で結ぶので離れた拠点も同じIPセグメントになります。例えば本社が192.168.1.0/24のセグメントのときに、L2接続で横浜事務所を結ぶと横浜事務所も「192.168.1.0/24の一部」になり「同一セグメント」になります。「ブリッジング」であり「ルーティング」ではありません。192.168.01.0/24内の通信はほぼ透過的に伝わります。例えばDHCPサーバーも本社にあるものを設定変更することなくそのまま使います。

これまでの設定では、本社が「192.168.1.0/24」のセグメントであれば、横浜は「192.168.16.0/24」等の異なるセグメントを割り当て「VPN」と「ルーティング」の設定を行いました。新規セグメントでは、DHCPサーバーも必要です。L2VPNでは「ブリッジ」と「VPN」の設定になり、連続した一連のIPセグメントになります。
ブリッジで接続する場合は、回線速度が十分に速い環境で、片方のネットワークが小規模であることが望ましく「数台の張り出し」に適しています。業務環境やIP電話環境を延伸する際に、社内IPネットワークの追加設計・設定が不要です。
2.OSPFv3に対応
OSPFv3外部仕様書(ヤマハへ)
ダイナミック・ルーティング・プロトコルの一つであるOSPFv3はIPv6対応版OSPFです。これまでのIPv4版OSPFとは「独立並行に」どうさします。IPv4のみのネットワーク、IPV6ネットワークでOSPFによる経路情報を構成しない場合は、設定する必要はありません。
3.モバイルインターネット機能で、以下のデータ通信端末に対応
EMOBILE GL08D
IIJ mobile UX312NC
NCXX RT-WJ02
NCXX UX102NC
NTTコム UX302NC
Sonet FS01BU
対応機種が増えています。その他を含めて、詳細は以下のURLをご参照ください。
モバイルインターネット接続機能(ヤマハへ)
4.NTT東日本/西日本フレッツ光ネクストのリナンバリングに対応
インターネットと通信するIPv6アドレスは、全世界で一つですが実際には上流のISPに依存しています。ISP経由のIPv6ネットワークは、ISPを変える、ISPのサービス変更をする、ISPの都合等でIPv6アドレスの変更が発生します。このように、何らかの理由で上流のIPv6アドレスの変更(=リナンバリング)が発生した際に、ルーター配下のIPv6端末のアドレスを付け直す(=リナンバリング)機能です。
IPv6ネットワークのみに対応し、IPv4ネットワークでは関係ありません。
5.VRRPv3の一部機能に対応
VRRP/VRRPv3(ヤマハへ)
冗長経路を提供するプロトコルの一つであるVRRPv3はIPv6対応版VRRPです。これまでのIPv4版VRRPとは「独立並行に」動作します。IPv4のみのネットワーク、IPV6ネットワークでVRRPによる冗長経路を構成しない場合は、設定する必要はありません。
6.以下のコマンドについて、reboundオプションを追加
reboundオプションをonにすると、受信したICMPパケットそれぞれのICMPエラーを、経路=ルーティングテーブルを参照することなく、受信したインターフェイスから返信します。IPv4、IPv6それぞれに設定します。
6.1.ICMP Time Exceededを送信するか否かの設定
ip icmp time-exceeded send send [rebound=sw]
ipv6 icmp time-exceeded send send [rebound=sw]
6.2.ICMP Destination Unreachableを送信するか否かの設定
ip icmp unreachable send send [rebound=sw]
ipv6 icmp unreachable send send [rebound=sw]
7.IPsecトランスポートモードの設定で、テンプレートに対応
IPsecの設定のひな形を作成し、設定のテンプレートとして保存。複数のトンネル設定にテンプレートを適用することで、設定の間違いを減らすなど、管理を容易にすることができます。これまではIPsecのトンネルモード(一般にLAN間=事務所間接続)のテンプレートを作成できましたが、トランスポートモード(一般にモバイル端末間接続)でもテンプレートを作成できるようになりました。