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「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」島田裕巳

2023年11月15日 09時59分28秒 | 読書(宗教)


「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」島田裕巳

P22
四天王寺は宗派にこだわらないということで、「和宗」と称している。

P94
山伏が実践する修験道は、土着の神道と外来の仏教、とくに密教が習合することいよって生まれた民間信仰である。(中略)中世以降は天台宗系の本山派と真言宗系の当山派に分かれた。その当山派の中心となるのが京都の醍醐寺三宝院で、ソコは真言宗醍醐寺派の本山である。

P103
空也は正式な僧侶ではない私度僧として出発し、平将門や藤原純友の乱、あるいは天変地異で乱れていた京の都で念仏を勧め、「市聖」、あるいは「阿弥陀聖」と呼ばれた。

P132
武士にとっても川の民にとっても重大な問題は、彼らが日々、仏法において戒められた殺生を行っていることにあった。仏教徒が守るべき基本的な戒が「五戒」で、その筆頭には、「不殺生戒」があげられている。殺生を犯したものは、「等活地獄」に落とされると信じられていた。
つまり武士や川の民は、大罪を犯した「悪人」だったわけである。そうした悪人にとって『歎異抄』の悪人正機説は根本的な救いを与えるものである。あるはそこに、親鸞が東国で長く活動した理由があったのかもしれない。

P141
明治に時代が変わる際に、仏教界は、神仏分離と廃仏毀釈の影響を受け、深刻な打撃を被るが、本願寺の信仰では、神仏習合の傾向が希薄であったため、あまりその影響を受けなかった。

P232
団塊の世代が消滅した後からは、死亡者の数は減っていき、葬式の件数の減少も進む。その頃には、葬儀の簡略化はいっそう進み、檀家離れも加速されていることだろう。その時点で、本格的な葬式仏教の危機が訪れるはずだ。

【ネット上の紹介】
日本の仏教はさまざまな宗派に分かれており教義や実践方法が大きく異なる。にもかかわらず多くの人、とくに地方から都会に出て菩提寺とのつきあいを絶った人は関心を持たない。だが親や親戚の葬儀を営む段になって途端に宗派を気にするようになる。家の宗旨に合った僧侶を導師として呼ばねばならないからだ。そこで初めて「うちは○○宗だったのか」と知る。そもそも宗派とは何か。歴史上どのように生まれたのか。本書は、日本の主な仏教宗派を取り上げ、その特徴、宗祖の思想、教団の歩み、さらに他宗派との関係、社会的影響をわかりやすく解説した。
序章 仏教において宗派とは何か
第1章 日本仏教宗派の源流、南都六宗(法相宗、華厳宗、律宗+聖徳宗)
第2章 仏教の総合大学、比叡山の天台宗
第3章 謎多き密教のスーパースター空海の真言宗
第4章 元祖・念仏信仰、浄土宗
第5章 親鸞が開いた日本仏教の最大宗派、浄土真宗
第6章 さまざまな禅文化が花開いた臨済宗(+黄檗宗)
第7章 葬式仏教の生みの親でもある道元の曹洞宗
第8章 2度も流罪に処された日蓮の日蓮宗
第9章 その他の宗派(融通念仏宗、時宗、日蓮正宗)、そして新宗教と葬儀

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