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「森の写真動物記」(1)-(8)宮崎学

2011年05月21日 08時03分04秒 | 読書(写真エッセイ)




宮崎学さん動物写真シリーズ。
『森の写真動物記』シリーズ、全8巻。
2ヶ月くらい前から、少しずつ読んでいった。
いずれも興味深い内容、である。
例えば「樹洞」。
樹に出来た穴を動物が順番に住んでいく。

台風や大雪などの自然の力で枝が折れると、そこに菌類やアリなどの昆虫が入りこみ、10~20年ぐらいかけて、穴ができていきます。そうした穴にシジュウカラが巣をつくり、世代交代をしながら10年くらいかけて、利用していきます。
そのうちに、巣穴にのこされた巣材が内部でくさって、菌がひろがったり、昆虫やムササビがかじったりして、穴がさらにひろがると、シジュウカラは利用できなくなります。すると、この穴をムササビが巣穴にします。ムササビも世代交代をくりかえしながら、20~30年間つかいつづけます。
やがて、穴がもっと大きくなると、こんどはアオバズクやオオコノハズクなど、小型のフクロウのなかまが、世道交代をしながら50年、さらに大型のフクロウが100年かけて、つかいつづけていきます。
そして穴が、木がもちこたえられるギリギリの大きさになったところで、さいごにツキノワグマが、冬眠用の穴につかいます。ここまでくるのに、200年~300年。そこからクマは、おなじく世代交代をくりかえしながら、さらに200年~300年ものあいだ、つかいつづけていくことでしょう。


こうして考えると、人間の家など、なんと寿命が短いことでしょう。
自然だと、シジュウカラ→ムササビ→アオバズク→フクロウ→ツキノワグマ・・・と、様々な動物が利用し、1000年のスパンで使われる。

まれに何百年に1度というような大きな自然災害があり、森が大きなダメージを受けることもあります。これは、1000年以上の単位でみたときには、古くなった森をつくりなおしたほうがよい場合があるからです。

う~ん、実に奥深い。

【ネット上の紹介】
日本の森に、どんな生きものが、どのようにくらしているか、知っていますか。この本では、森でくらす鳥や動物を、無人で撮影できるデジタル・ロボットカメラで追いました。人間に通学路があるように、動物たちにも、毎日とおる道があります。それを「けもの道」といいます。たくさんの動物たちが、この道をつかっています。動物たちが踏みかためてつくる道、渓流の飛び石づたいの道、人間がとおる登山道や車道など、「けもの道」には、いろいろあります。「けもの道」を、山の頂からふもとまで、じっくり観察することによって、わたしたちがふだん知ることのない、動物たちのいきいきとしたくらしがみえてきます。小学中級から。
宮崎 学 
1949年、長野県に生まれる。精密機械会社勤務を経て、1972年、独学でプロ写真家として独立。『けもの道』『鷲と鷹』で動物写真の世界に新風を巻き起こす。現在、「自然と人間」をテーマに社会的視点に立った「自然界の報道写真家」として日本全国を舞台に活躍中。1978年『ふくろう』で第1回絵本にっぽん大賞。1982年『鷲と鷹』で日本写真協会新人賞。1990年『フクロウ』で第9回土門拳賞。1995年『死』で日本写真協会年度賞、『アニマル黙示録』で講談社出版文化賞。2002年「アニマルアイズ(全5巻)」シリーズで学校図書館出版賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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