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「かなしみの詩」上條さなえ 「10歳の放浪記」その後

2011年05月22日 08時18分39秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)


「かなしみの詩」上條さなえ 「10歳の放浪記」その後

先日読んだ「10歳の放浪記」続編。(→「10歳の放浪記」上條さなえ)
前作では、養護施設「竹田学園」へ行くところで終わった。
本作では、そこでの生活が描かれている。

P198
竹田養護学園での日々は、ホームレスだったわたしの再生の日々でもありました。世の中の守るべきルールや規範から大きく逸脱していたわたしにとって、学園での生活は、朝起きて夜寝るまで、すべてが再生のための学習でした。

そこで、著者は石川啄木「一握の砂」と出会う。

いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ

P139-140
「早苗ちゃん、啄木の歌をいくつ覚えた?」
山下先生にきかれて、わたしは首をかしげた。
「うーん、八十ぐらい・・・・かな」
「いちばん好きな歌は、どんなの?」
「みんな好きですけど・・・・・」
わたしは、ちょっと考えてから言った。

かなしみとはいはばいふべき
物の味
我の嘗めしはあまりに早かり

【ネット上の紹介】
昭和36年、10歳のホームレス生活を経てたどりついた学園で、11歳の著者を待っていたのは…。愛情あふれる先生と、それぞれに事情を抱えた生徒たちとの出会い、将来の夢、友情、勉強する楽しみ、そして、文学への目覚め…。「10歳の放浪記」の著者が描く、再生の物語。児童文学作家・上條さなえ、渾身の自伝第2弾。

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