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「敗北を抱きしめて 第二次大戦後の日本人」(上)ジョン・ダワー

2018年02月06日 21時07分13秒 | 読書(昭和史/平成史)
 
 


「敗北を抱きしめて 第二次大戦後の日本人」(上)ジョン・ダワー

進駐軍占領時代が描かれている。
とりあえず、上巻を読んでみた。

P47引き揚げ写真

満洲からの引き揚げの途中で孤児になった子供たちが品川駅に到着した。
1946年12月、降伏から16ヵ月が経っている。
右側の子供が首にかけている箱には、家族の骨と灰が入っている。

日本の読者へ---P18
多くの理由から、日本人は、「敗北を抱きしめ」たのだ。なぜなら、敗北は死と破壊を終わらせてくれた。そして敗北は、より抑圧の少ない、より戦争の重圧から自由な環境で再出発するための、本当の可能性をもたらしてくれたからである。

序---P5
マッカーサー元帥にとって、日本は異教徒の「東洋的」な社会であり、キリスト教伝道の任務をもつ白人によって隅々まで支配されて当然の存在なのであった。「白人の責務」という言葉で知られる植民地主義的なうぬぼれが厚かましくも実行された最後の例が、日本占領だったのである。

P12
この天皇の責任について、アメリカ人が単に見て見ぬふりをしただけでなく、否定さえしたため、「戦争責任」という問題の全体が、ほとんど冗談になってしまった。その人の名において、20年にわたり帝国日本の・軍事政策が行われてきた、まさにその人物が、あの戦争の開始や遂行に責任を問われないとしたら、普通の人々について戦争責任をうんぬんしたり、普通の人間が自分自身の戦争責任を真剣に考えるべきだなどと、誰がおもうであろうか。

P120
1946年はじめに子供の間で流行したのは「闇市ごっこ」、街娼とその客になりすます「パンパン遊び」、左翼の政治デモを真似る「デモ遊び」であった。

「パンパン遊び」…子供たちが何ともたまらない表情をしている。
「娼婦役」の女の子のズボンにツギがあって味わいがある。
それにしても、子供の遊びは時代・世相を映し出す、って…ほんとうだ。

P146
RAAの売春婦と短時間すごせば、料金は15円、1ドルであった。これは当時の日本の市場でタバコ半箱の値段とだいたい同じである。この2、3倍だせば、「個人外交」丸一夜分が買いとれた。

戦後カルタ
P201
戦中「進ム日本、カガヤク地球」
戦後「すたる道議に咲く喧嘩」
戦中「オ母サンハ国防婦人会へ」
戦後「親も子も栄養失調」

P262
日本の占領は、すでに存在している日本の政府組織をつうじて「間接的に」行われた。そのため、降伏以前の日本の政治体制のなかでも、もっとも非民主的であった制度を支持することにならざるをえなかった。官僚制と天皇制である。(中略)
つまり、占領軍は日本を直接統治するだけの言語能力と専門能力に欠けていたのである。

【ネット上の紹介】
敗北を抱きしめながら、日本の民衆が「上からの革命」に力強く呼応したとき、改革はすでに腐蝕し始めていた。身を寄せる天皇をかたく抱擁し、憲法を骨抜きにし、戦後民主改革の巻き戻しに道をつけて、占領軍は去った…新たに増補された多数の図版と本文があいまって、占領下の複雑な可能性に満ちた空間をヴィジュアルに蘇らせる新版。
第4部 さまざまな民主主義(くさびを打ち込む―天皇制民主主義(一)
天から途中まで降りてくる―天皇制民主主義(二)
責任を回避する―天皇制民主主義(三) ほか)
第5部 さまざまな罪(勝者の裁き、敗者の裁き
負けたとき、死者になんと言えばいいのか?)
第6部 さまざまな再建(成長を設計する)
エピローグ 遺産・幻影・希望

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