「シモネッタのドラゴン姥桜」田丸公美子
田丸公美子さんの(ひと味違う)子育てエッセイ。
P122開成中学での父母会
「あのー、田丸君のお母様ですよね。Eと申します。実はうちの息子が、学校で田丸君に巨乳ヌード写真を見せてもらったって申しましてね・・・・・・」。私は彼女の言葉を途中で遮って言った。「うちの息子に限って、そんな!!彼は、大きすぎるおっぱいは嫌いだ。小ぶりな手の平サイズがいいって、いつも言ってるんですのよ」。言ったあと「まずい、初対面でこんなこと言うべきではなかった」と後悔のほぞをかんでいると、E夫人、高らかに笑っておっしゃった。「まあ、坊っちゃんだけじゃなくって、お母様もユニークですこと!」。アー、良かった。ジョークのわかる人だった。ほっと胸をなでおろす。しかし、もう一つの心配がわいてきた。私は、中学入学式の翌日、イタリア出張に出かけたのだが、その際、彼の部屋に無断でポスターを貼って行ったのだ。それは、アメリカ版「プレイボーイ」大判折込ヌード。巨乳の美しい裸体はピンアップガールのものなのだが、顔の部分には私の顔写真を貼り付け、そばにサインペンで「これを見てママを思い出してね」と書いておいたのだ。帰国したときには、壁にポスターは残っていなかった。「まさか、友達にあれを見せたのではないだろうか」。親の心配は尽きない。
著者も素晴らしいけど、息子のユウタ君も愉快なヤツだ。
頭が良いだけでなく、感性も豊か。
田丸公美子さんの親友が故・米原万里さん。
米原万里 対談集『言葉を育てる』にも、ユウタ君は登場する。
(三者三様の言動が面白い)
P233-234
田丸 私の親友が米原万里さんの血液型はB型じゃないかって言うから、メールで聞いたことあったじゃない。そうしたら“人類を四つに分類しようとするバカとは友だちにはなれません。ちなみに私はO型です”と返事がきた。
米原 ああ、あったわね(苦笑)。
田丸 その画面を、ちょうどうちの息子が見て、「何なんだ、この尊大なヤツは。バカにもいいヤツと面白いヤツがいるじゃないか。こんなこと書くヤツ、こっちから友だちになるのはお断りだ!」って叫ぶの。私が「控えなさい。エ勝手リーナ様ですよ」って言ったら、急に静かになって、「そうか。あの人ならしょうがないか・・・・・・」って。
PS
私のようなものが、子育てエッセイを読んでも意味ない、って言われそう。
責任も義務もないから、他人の子育てを純粋に楽しめる、って話もある。
【ネット上の紹介】
イタリア語通訳として多忙を極めた30代で出産。初めての育児に悪戦苦闘の末、いつのまにやら否応なしに中学受験に突入。開成→東大→弁護士と華麗なダッシュで駆け抜けつつ、アルバイトにガールフレンドと青春を謳歌する息子のエキサイティングな日々を見守った、シモネッタの型破りな爆笑子育てエッセイ。
【目次】
楽して子供を東大に入れる法
成り行きで母
初めての試練
すべての基本は言語にあり
じいちゃん、ばあちゃん、愛の寺子屋
二重保育、誰に預ける?
親はなくとも子は育つ
子供の「人を見る目」
塾は必要悪?
中学入試、そして開成へ
半狂乱の母
男子の本懐
東大受験、初めての挫折
東大生のアルバイト
東大狂想曲
不治の病
司法試験と就職
巣立ちのとき